■ 『「こども庁」問題Q&A』補説――危機の本質と思想的背景 「モラロジー道徳教育財団(2021-11-29)」より
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●『Q&A』への問い合わせが殺到
※mono....この項転載略)

●有識者会議報告書に盛り込まれた子育て当事者・有識者の意見
※mono....この項転載略)

●「子ども基本法」「子どもの権利基本法」案の問題点

 日本財団が事務局の「子ども基本法」研究会が公表している「子ども基本法(仮称)の条項の制定イメージ(案)」によれば、第3条三「差別の禁止」、第5条(地方公共団体の責務)、第6条(市民社会との協働)、第8条(子供の権利計画の策定一閣議決定、毎年改訂)、第10条(子どもの参画制度の創設)、第15条(子どもコミッショナー(仮称)の設置)、第17条(地方公共団体の附属機関一都道府県レベルでの子どもコミッショナーの設置)などが盛り込まれている。

 最も注目されるのは、同案において、第1章 総則、第2章 基本的施策、第3章 子どもコミッショナー(仮称)の三本柱の一つに位置づけられ、子供の権利を擁護する監視機関である「子どもコミッショナー」(仮称)の設置を重視していることである。

 9月17日に日本弁護士連合会(略称:日弁連)が公表した「子供の権利基本法の制定を求める提言」は、国連の子どもの権利委員会の日本政府に対する勧告を根拠に同基本法の制定の必要性について述べ、同基本法の役割は以下の6つであるという。

⑴ 権利条約の効果的な国内実施を進める根拠法一「差別の禁止」など
⑵ 権利条約の理念と原則に照らして、子供の権利に関係するすべての国内法制の整備を促進する根拠法
⑶ 子供の手続的権利を保障する制度を創設する根拠法
⑷ 国及び地方公共団体において、子供の権利保障の総合的かつ効果的な施策の策定、組織の整備のための根拠法
⑸ 子供の権利救済制度の創設のための根拠法一個別的な権利救済と、立法・政策提言を含めた権限を有する権利救済機関
⑹ 国や地方公共団体と子供に関わるNGOとの連携、協働を促進する根拠法

 この提言に基づいて、日弁連は、「子どもの権利基本法案」を公表しているが、元日弁連人権擁護委員会副委員長の岡島実弁護士によれば、同案の目的は子供の人権をネタにした「利権獲得」であり、第3条(差別の禁止)、第12条(国連子どもの権利委員会からの勧告の尊重等)は、国連の人種差別撤廃条約や児童の権利条約と連動しており、朝鮮学校、アイヌ、性的少数者等の問題と連動させようとしている、と指摘している。
(※mono....略)
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●「性愛化」を促進する「包括的性教育」の年齢別内容

 次に、「グルーバル性革命」思想に基づく「包括的性教育」についても補足しておきたい。ガブリエル・クビー著『グローバル性革命』によれば、1968年に起きた学生運動によって急進的なフェミニズムと性の解放を目指す性革命が始まった。性に対する認識を根本的に変革することを目指す世界的な戦略である「性革命」を主導するジェンダーイデオロギーの思想的淵源は家族破壊を目的とするマルクス主義にあった。

 性革命論者は、性道徳を固守する人を嫌い、「差別禁止法」という欺瞞的な悪法を成立させて、その法律に反する人を「逆差別」し、弾圧することを狙っているという。彼らが性革命を実現するために取り組んでいるのが「包括的性教育」で、性に対する道徳的制限を撤廃し、ゆりかごから幼稚園・学校に至るまで、ジェンダー平等イデオロギーを子供たちに注入することを狙っている。

「包括的性教育」の最重要メッセージは「性とは楽しむものである」という「性愛化」の促進にあり、国際家族計画連盟やユネスコなどの「性愛化」促進団体が後押ししているという。具対的な年齢別性教育の内容は、以下の通りである。

  • 0~4歳:裸の状態と身体と性同一性を探求する権利がある。
  • 4~6歳:自慰行為を通して自分の体に触れる楽しさの情報が与えられなければならず、同性に向かう友情と愛秘密的な愛と初恋、権利に対する認識を学ばなければならない。
  • 6~9歳:様々な避妊方法、インターネットを含むメディアでのセックス自分の体をタッチする時の楽しさと喜び(自慰行為等)、自ら自分の体を点検し、性的言語を使用し多様性を受け入れなければならない。
  • 9~12歳:最初の性体験性行為の多様性避妊薬とその使用法快楽、自慰行為、性的権利等について学ぶ。性的な経験をするか否かの意識的な決定を下さなければならない。
  • 12~15歳:コンドームを使用する技術を学ぶ。ポルノを扱う方法を習得する。
  • 15歳以上:処女膜と処女膜再生同性の関係での妊娠避妊サービス性別出産、性売買について学び、妊娠および親になることと関連した多様な「文化的・宗教的規範に対する批判的見解」を身につける。

 クビーはこの「包括的性教育」は子供たちを「性的強迫の深淵の中に溺死させ」、親の子供を教育する権利と文化的宗教的規範を破壊し、若い世代に伝えなければならない性道徳の価値を全面否定している点を厳しく批判している。さらに、自慰のススメ、性行為のススメ、中絶のススメによって、「全世界の若者たちが自分のまだ生まれていない子供を殺害(中絶)できる『権利』を持つ必要はない」と批判している。

(※mono....以下項目略)
●「性主流化」と「ジョグジャカルタ原則」の危険性
●性規範・家族の解体と人口減少が性革命の目的
(※mono...後半の行のみ転載)

この「ジェンダー主流化」イデオロギーは、「男女共同参画第3次基本計画」によって、全国の大学に広がった「ジェンダー学」において、女性学者たちが導入しており、日本学術会議ジェンダー分科会提言にも盛り込まれ、国連勧告にも影響を与えた。今日の「こども庁」「子ども基本法」問題の背景には、このジェンダーイデオロギーという根本的な問題があることを見落としてはならない。このジェンダーイデオロギーに対する知的戦略の練り直しを急がねばならない。












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最終更新:2021年12月06日 12:29