● レカネマブ〔Wkipedia〕
アデュカヌマブとの違い
「レカネマブ」も「アデュカヌマブ」も広義ではどちらも脳内に蓄積するアミロイドβに対する抗体医薬品であるが、レカネマブはプロトフィブリルに対して、アデュカヌマブはアミロイド線維に対してとターゲットとする物質が異なる。アミロイドβは凝集する過程において、毒性が強いと言われる可溶性の低分子オリゴマーから高分子オリゴマー(プロトフィブリル)を経て、不溶性のアミロイド線維を形成する[44]。レカネマブは脳内に蓄積されたプロトフィブリルに選択的に結合し、取り除く[44]。アデュカヌマブは完成されたアミロイド線維や老人斑のアミロイドに反応する抗体である。





アルツハイマー病に対するレカネマブの安全性と有効性:無作為化臨床試験の系統的レビューとメタ解析 2023年5月

レカネマブはARIA(神経画像の異常)の高リスク因子であることが証明されたため、研究者らはホモ接合体およびヘテロ接合体のAPOE 4キャリアへの高用量レカネマブの投与を中止し、2022年に複雑な結果説明がなされた。これらの研究によると、レカネマブ群の効果は過大評価されており、これはMMSEスコアが高い人ほど進行が遅いためである。

APOE-e 4の患者、特にホモ接合体の患者では、薬物治療効果は限定的であり、ARIAがかなり多い。さらに、最近の研究では、アミロイドを除去すると脳の萎縮の程度が増加することが示されており、これはアミロイドのPET SUVr値の減少と関連している可能性がある。

脳内のPETアミロイドレベル、あるいは死後の脳内アミロイドの推定値と認知機能との間には相関がないことから、アミロイドβ自体はADの病理学的徴候であって、ADの経過の原因でもなければ、ADの認知機能障害の原因でもないことが示されている。

いくつかの論文では、アミロイドβが、脳の免疫介在性組織損傷を防ぐユニークなシーラントを持つバリアタンパク質として、抗病原性機能性の主要な責任を担っていることが提唱されている。したがって、アミロイドβの不足は、下流出血や浮腫などの一連の合併症を引き起こす危険性があり、注意を払う必要がある。

副作用の中には、吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振、めまい、抑うつ、頭痛などの消化器系や神経系の副作用も認められている。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37213538
午後1:02 · 2023年9月26日

※ Safety and efficacy of lecanemab for Alzheimer's disease: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials 「NIH - PUB MED(2023 May 5)」より
アルツハイマー病に対するレカネマブの安全性と有効性:ランダム化臨床試験の系統的レビューとメタアナリシス


Alzhacker
@Alzhacker
現時点ではいくつかの限界を認めざるを得ない。第一に、我々の結果の一般化は、利用可能な試験数が少なく、提供された患者数が比較的少ないことによって制限される可能性がある。

3つのRCTはエーザイ株式会社から資金提供を受けており、ポジティブな臨床効果について選択的なデータが報告され、出版バイアスが生じる可能性がある。

第二に、臨床結果では主に認知機能の変化を比較している。レカネマブの有益性を検証するために使用された測定尺度のほとんどは、MMSEを含む古いものであり、MMSEは、特に中等度認知症の前では、時間経過との非線形関係を考慮すると信頼性の低い検査であることが示されている。

さらに、CDR-SBテストで観察される変化は、時間的変化やランダム効果の可能性との関連で正しく分析されたことがないため、その真の意味は疑わしい

残念ながら、レカネマブや他の抗アミロイド薬も満足のいく評価はされていない。それぞれの研究変数が主要なバイオマーカーにおいて異なるため、比較することは不可能である。

最後に、メタアナリシスのデータは公表された科学文献からしか得られず、否定的な結果や非統計的なデータは公表されにくい。したがって、出版バイアスが存在する。

我々は、すべての研究が意図的治療によってデータを分析しているため、このことが結果に影響する可能性は低いと考えている。

一般的に、これらの結果は、レカネマブが早期AD患者の認知能力の低下を遅らせることができることを示しているが、重度AD患者の機能的、行動的、全身的変化といった症状に対する治癒効果は疑問である。

我々はAβに対するモノクローナル抗体にのみ注目しており、遺伝子治療、免疫療法、ペプチド模倣薬、メタルクリエーター、プロバイオティクスなど、アルツハイマー病治療のためのより多くの方向性を今後検討する必要がある。

既存の研究におけるレカネマブのメタアナリシスによれば、レカネマブはAD治療において臨床的有用性を有するが、本当に臨床に普及させる価値があるのかどうかについては、さらなる議論が必要である。
午後1:06 · 2023年9月26日


★ 米国、アルツハイマー病新薬を迅速承認 エーザイなど開発 「毎日新聞(2023/1/7 08:37(最終更新 1/7 10:25))」より
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 米食品医薬品局は6日、エーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」を承認した。発症への関与が疑われる脳内のタンパク質を除去する機能が確認されたのを受け、いち早く新薬を市場に出し患者のニーズに応える迅速承認制度を適用した。エーザイなどは日本でも3月までに承認申請する方針。

 米国の迅速承認は“仮免許”のような位置付けで、追加の試験で治療効果を確認し、本承認に移行する必要がある。メーカー側は昨年11月、認知能力が低下していくペースを緩和する効果を示した追加の試験結果をまとめており、速やかに本承認を申請する意向だ。(共同)

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★ エーザイとバイオジェン、「レカネマブ」についての試験結果を第15回アルツハイマー病臨床試験会議において発表 「日本経済新聞(2022年11月30日 11:41)」より
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抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「レカネマブ」の早期アルツハイマー病に対する臨床第III相 Clarity AD検証試験結果を第15回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)において発表

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:Christopher A. Viehbacher、以下バイオジェン)は、本日、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体レカネマブ(開発品コード:BAN2401)について、脳内アミロイド病理が確認されたアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)および軽度AD(これらを総称して早期ADと定義)を対象とした大規模なグローバル臨床第III相Clarity AD検証試験の結果を米国カリフォルニア州サンフランシスコおよびバーチャルで開催されている第15回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD:Clinical Trials on Alzheimer's Disease)において発表することをお知らせします。

■CTADサイエンティフィック・セッションにおけるレカネマブのデータ発表の要旨

●Clarity AD試験デザイン

本試験は、北米、欧州、アジアの235施設で早期AD当事者様1,795人(レカネマブ投与群:898人、プラセボ投与群:897人)を対象とした、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化グローバル臨床第III相検証試験です。被験者は、レカネマブ投与群(10mg/kg bi-weekly静脈投与)またはプラセボ投与群に1:1で割り付けられ、疾患ステージ(ADによるMCIまたは軽度AD)、AD症状改善薬併用の有無(例:アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、メマンチンまたはその両方)、ApoE4ステータス、および地域によって層別割付けされました。被験者登録基準においては、多様な合併症あるいは併用治療(高血圧症、糖尿病、心疾患、肥満、腎臓病、抗凝固剤併用など)を許容しています。本試験では、民族的・人種的多様性を考慮した被験者登録を推進した結果、米国では登録被験者の4.5%が黒人、22.5%がヒスパニック系となりました。

主要評価項目は、全般臨床症状の評価指標であるCDR-SB(1)(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)の18カ月時点におけるベースラインからの変化とし、重要な副次評価項目として、アミロイドポジトロン断層法(PET)測定(センチロイド法)による脳内アミロイド蓄積、ADASCog14(2)(Alzheimer's Disease Assessment Scale-Cognitive subscale 14)、ADCOMS(3)(Alzheimer's Disease Composite Score)およびADCS MCI-ADL(4)(Alzheimer's Disease Cooperative StudyActivities of Daily Living Scale for Mild Cognitive Impairment)の投与18カ月時点でのベースラインからの変化が設定されました。また、タウPETで測定する脳内タウ病理(n=257)、脳脊髄液(CSF)バイオマーカー(n=281)を評価しました。

※以下は添付リリースを参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。


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※ Clarity AD 試験の有効性評価結果pdf 「」より


※ レカネマブ リリース全文 「エーザイ/バイオジェン・インク(2022 年 9 月 28 日)」より
(※mono....前後略、詳細はpdfで)
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抗アミロイド抗体に関連する有害事象であるアミロイド関連画像異常(ARIA)についてはARIA-E(浮腫/浸出)の発現率は、レカネマブ投与群で 12.5%、プラセボ投与群で 1.7%であり、その内、症候性の ARIA-E の発現率は、レカネマブ投与群で 2.8%、プラセボ投与群で 0.0%でした。
ARIA-H(ARIA による脳微小出血、大出血、脳表ヘモジデリン沈着)の発現率は、レカネマブ投与群で 17.0%、プラセボ投与群で 8.7%でした。
症候性 ARIA-H の発現率は、レカネマブ投与群で0.7%、プラセボ投与群で 0.2%でした。ARIA-H のみ(ARIA-E を発現していない被験者での ARIAH)はレカネマブ投与群(8.8%)とプラセボ投与群(7.6%)で差はありませんでした。
ARIA(ARIA-Eおよび/またはARIA-H)の発現率はレカネマブ投与群で21.3%、プラセボ投与群で9.3%でした。総じてレカネマブの ARIA 発現プロファイルは想定内でした。
本試験は、早期 AD 当事者様 1,795 人を対象とした、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化グローバル臨床第Ⅲ相検証試験です。
被験者は、レカネマブ 10 mg/kg bi-weekly 投与群またはプラセボ投与群に 1:1 で割り付けられました。
ベースライン時における被験者特性はレカネマブ投与群、プラセボ投与群ともに類似しており、バランスがとれていました。
被験者登録基準においては、幅広い合併症あるいは併用治療(高血圧症、糖尿病、心臓病、肥満、腎臓病抗凝固剤併用など)を許容しています。
また、米国における民族的・人種的多様性を考慮したエーザイの被験者募集戦略により、米国における総登録者の約 25%がヒスパニック系およびアフリカ系アメリカ人となりました。
これらの包括的な被験者登録基準と民族・人種多様性の確保の結果、米国においてはメディケア加入者と概ね同様な分布となりました。













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最終更新:2023年09月26日 15:38