■ 医療AIの落とし穴、医師が「信じすぎる」問題に解決策は? 「MIT TechnologyReview(2023.05.18)」より
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この記事は米国版ニュースレターを一部再編集したものです。

人工知能(AI)が生成した医療アドバイスを信用できるだろうか? AI技術によってさまざまな病気を診断できると主張する見出しがますます増えていくのを見ながら、私はこの1週間、この問いについて考えてみた。つまり、AIシステムはしばしば、医療訓練を受けた専門家よりも優れており、より速く、より費用が抑えられる、ということについてだ。

多くのAI技術には、周知の問題がある。 限られたデータや偏ったデータに基づいて訓練され、女性や有色人種に対しては、白人男性ほどうまく機能しないことが多いのだ。それだけでなく、これらのシステムの訓練データの中には、明らかに間違っているものもある。

もう1つ問題がある。こうしたテクノロジーが医療現場に浸透し始めると、いわゆるAIパターナリズム(父権主義)が台頭してくると研究者らは指摘する。医療におけるパターナリズムは、医療という業種の黎明期から問題視されてきた。しかし今や医師が、患者が感じる症状や医者自身の臨床判断を無視してまで、AIを信用する傾向があるかもしれない
(略)




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(※以下はスレッドの続き👇)
社会が医者・医療側の人々に「むりやり抑圧された」という感覚が感染症禍によって増幅された結果、人々の中に「医者に一泡ふかせたい」という欲望のようなものが育っているからなのではないかと感じる。

そういう空気を敏感に察し、医者を気遣ってくれる人は、「将来の医療はAIと医療者が協力してやっていくんだよね」と言葉に出してフォローする。でも、少なからぬ人々は、「AIがガンガン進化すれば説教がましい医者たちもぎゃふんと言うだろう」と期待している。

医者・医療者には明らかな逆風が吹いている。「もうお前らの説教がなくても社会は成り立つ」という勝利宣言がこれからいっぱい飛び出すだろうことは間違いない。それに「ムカッ」としてしまってはいけない。その空気と戦うことに意味はない。それを知って、わかって、それでもなお言葉を紡ぐ覚悟がいる

なお、「非論理的なことを言われたから論理で反論するんだ!」というセリフは、極めて感情的で非論理的である。なぜなら、「非論理的なことを言ってつっかかってくる人に論理は通用しない」からであり、そんな当たり前のことがわからなくなっている時点ですでに激情に流されてしまっているからだ

医者に抑圧されたのが気にくわなかったという感情に、医学という論理で対峙し続けることはしんどい。でも(ありもしない)権威で殴ってはだめだし、(あるに決まっている)感情でやり返してもだめである。バトルの誘惑に負けないこと。あくまで論理を提示すること。素材を提示すること。そういう矜持。









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最終更新:2023年05月18日 16:30