テクノクラーク(Technocrat)
語源:techne(技術)+ kratos(支配)+ -crat(〜する人)

意味:「技術官僚」あるいは「技術的専門知識をもとに政策決定を行う人」。

特徴:
  • 政治家ではないが政策決定の中枢にいる。
  • 経済学者、エンジニア、科学者などが典型例。
  • 政治的イデオロギーよりも「合理性」「効率」「専門性」を重視。

例:
「財務省出身のテクノクラークが内閣を牛耳っている。」

テクノクラシー(Technocracy)
語源:同じく techne(技術)+ kratos(支配)

意味:「技術的知識や専門性を基盤とした政治体制」または「そうした支配の体系や思想」。

特徴:
  • 民主的代表制ではなく、専門家による政治支配。
  • 政策決定を科学的・合理的基準で行うことを理想とする体制。

1920〜30年代のアメリカなどで一時期運動としても存在。

例:
「テクノクラシーは民主制とは異なり、選挙によらない支配を正当化する可能性がある。」

◆ 違いのまとめ
項目 テクノクラーク テクノクラシー
品詞 名詞(個人) 名詞(体制、思想)
意味 専門知識で政治に関与する人 専門知識による支配体制またはその思想
使用文脈 個人、役職、人材の分析など 政治思想、体制分析、批判など
評価の傾向 中立〜肯定(場合によっては批判的) 批判的文脈で使われることも多い

「テクノクラーク」と「テクノクラート」と「テクノクラシー」の違い
① テクノクラーク(technocrat)
英語由来:technocrat

定義:科学的・技術的専門知識をもとに政策形成に影響力をもつ人物。通常、実務的・官僚的役割を担う人物。

語感:やや冷たい、実務優先、脱イデオロギー的。

② テクノクラート(technocrate)
フランス語由来:technocrate(英語にも輸入されることがあるがまれ)

定義:一般的には「テクノクラーク」と同義だが、やや政治的権力者としての響きが強い。あるいは侮蔑的・批判的文脈で使われることも多い。

使用傾向:欧州圏、特にフランスで好まれる語。イデオロギーや市民感覚から離れた官僚支配者への警告として使われる。

③ テクノクラシー(technocracy)
定義:専門的知識や技術による統治・支配のシステムまたは思想。

用法:構造・制度・理論への言及に用いる。

◆簡潔な比較表
用語 品詞 意味 使用場面 含意
テクノクラーク 名詞(人) 専門的官僚 実務、政策決定、官庁など 中立〜やや肯定的
テクノクラート 名詞(人) 権力志向の専門官僚 批判、皮肉、政治的文脈 否定的ニュアンスあり
テクノクラシー 名詞(体制) 専門知による統治 思想、制度、歴史分析など 中立〜懐疑的

最終更新:2025年05月06日 12:30