☆ 水から作られる新しい燃料「酸水素ガス」 「ニッポン科学応援ブログ」より



☆ 水から作られる新しい燃料「酸水素ガス」 「株式日記と経済展望 コメント欄」より

2009/10/29(木) 23:00 放送されたワールドビジネスサテライトで、「酸水素ガス」という全く新しい燃料が、紹介された。
開発したのは、大田区にあるプラントメーカー日本テクノ。
社長が新しい攪拌機を開発した。プロペラが回転するものではなく、低周波の振動で攪拌することで、水は安定して循環し、洗剤をいれてもあわ立たない。
常に振動していることで表面張力が破壊され、泡になることができない。

☆ここからが新燃料ということでの本題である。
小学校中学校で習った水の電気分解。通常の方法だと酸素と水素のガスがでてくる。
しかし、振動攪拌して電気分解をすると酸水素ガスという全く新しい物質が生成される。
この酸水素ガス、利用用途が非常に多く、将来性が期待できる。
水素は、原子の中で最も小さい物質である。そのため金属容器に入れておいても、金属分子の隙間から洩れ出て行ってしまう。
しかし、酸水素ガスは、酸素と水素が結合しているので金属容器に入れて保存することが可能になる。
酸水素ガスは、燃えるのでガスバーナーやエンジンを動かすことができる。
面白いことに燃えるのに空気を必要としない。空気が不要なので潜水艦の燃料や、ロケットの燃料にも期待できる。燃やした後にできるのは水だけ。


ネットで検索したところ、すでに2009-08-28日の経産業新聞で記載されていた。

水から生まれた奇跡の燃料「酸水素ガス」 (科学技術部編集委員 吉川和輝)
更新日:2009-08-28日経産業新聞online

 どこにでもある水を特殊な方法で電気分解して水素と酸素からなる「酸水素ガス」を作り、燃料などに使う試みが進んでいる。ガスバーナー燃料への利用に続き、このほど小型エンジンを動かすことに成功した。この燃料は組成や燃焼効率などに未解明な点があり、いっそう関心をかき立てている。
 7月中旬、東京都江東区の東京海洋大学海洋工学部。伊藤雅則教授らの手で、酸水素ガスを使った初めてのエンジン作動試験が始まった。試験には1馬力のLPガスエンジンを使用。タンクにためた酸水素ガスをエンジンに送り、約1時間の連続運転に成功した。
 このガスには水素と酸素がほぼ2対1の割合で含まれる。燃焼後は水に戻り、有害な排ガスは発生しない。面白いのはエンジンに空気の取り込み口が不要であること。ガス中の酸素が燃焼剤になるため、外の空気無しでも燃えるというわけだ。
 伊藤教授は「潜水艇の動力源としても使えそう」と語る。小型エンジンに続いて、乗用車エンジンを酸水素ガスで動かし、燃焼データを集める計画だ。
 酸水素ガスはプラントメーカーの日本テクノ(東京・大田、大政龍晋社長)が開発した。発明者である同社長の名前にちなんで「OHMASA—GAS」と呼ぶ。
 水の電気分解で得られる燃料といえば、「ブラウンガス」と呼ばれる水素と酸素の混合ガスが古くから知られる。超高温で燃焼する特徴があるが、爆発しやすいというネックがあり、普及はいまひとつだ。
 これに対して、日本テクノの酸水素ガスは圧縮しても爆発しにくいという。厳重な漏れ対策が必要な水素ガスとも異なり、通常のステンレス容器で200気圧を超える高圧で長期間貯蔵できることも確認している。
 日本テクノはもともと電気メッキ用プラントを扱っている。大政社長は低周波の振動・攪拌(かくはん)をしながらメッキをすると、通常は電気分解で発生する大きな気泡が生じず、水素爆発も起きないことに気が付いた。これをヒントに、同じ方法で水を電気分解することを試みた。
 こうして得られた酸水素ガスは、水素と酸素が単純に混合しているのではなく、両者が特殊な結合をして水分子とも異なる特殊な構造を作っていると大政社長は考えている。そうならば、水素と比べ、貯蔵容器からの漏れが少ないことも説明できる。
 高圧で貯蔵できれば、プロパンガスのようにボンベで流通させたり、給油所のような場所でガスを供給したりするといった利用が容易になる。
 日本テクノは酸水素ガスの用途開発と並行して、ガスの正体を調べる研究を進めている。今春、特殊な装置で酸水素ガスを液化してみた。酸素はセ氏マイナス183度、水素はマイナス253度で液化するが、この気体は酸素の液化温度より3〜7度高い温度で液化することが分かった。
 研究に協力している東京工業大学の谷岡明彦教授は「非常に興味深い現象」と語る。日本テクノは引き続き、ガスの組成などの解析を進めている。


 大分県佐伯市にある共栄船渠(山本健二社長)では、日本テクノの酸水素ガスをガスバーナー燃料に使い、鉄板を切断する作業に使っている。「通常のバーナーと比べて切断面がきれい」(山本社長)という。
 酸水素ガスを、燃料電池で水素燃料の代わりに使えば発電効率が向上することも確認されている。また、ガスの燃焼によって発生する発熱量は、もともとの電気分解に使ったエネルギーの2倍程度に達することも分かった。投入した電力以上の熱量が得られるヒートポンプ給湯機のような効果が期待できる可能性がある。
 未解明の部分が多い酸水素ガスだが、それだけに、大きな可能性を秘める。


番組中、記事中での言及は、なかったが、熱力学第二法則 エントロピーの増大に反しないように考えるなら、振動と電気分解に要するエネルギーは、酸水素ガスからできるエネルギーよりも大きいのだろう。
だとしても、この新しい物質の利用価値が、低く見られていいことには、ならない。
今後の更なる研究を期待したい。
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最終更新:2012年04月03日 20:49