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■ ブログ:北欧「オンカロ」からの警世 「ロイター(2014.2.27)」より
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浜田 健太郎

原子力発電所から出る使用済み核燃料など、高レベル放射性廃棄物を扱う世界初の最終処分場として建設が進むフィンランドの「オンカロ」。現地語で「深い穴」といった意味のこの施設を取り上げたドキュメンタリー映画を、東京都知事選のあいだ何度か視聴した。

選挙期間中インターネットで無料公開されていたマイケル・マドセン監督の映画「100,000年後の安全」(原題:IntoEternity)は、原発に賛成、反対いずれの立場であっても観る価値のある映像だ。

高レベル放射性廃棄物は、少なくとも10万年は人体への危険性が持続する。現生人類の歴史に匹敵する時間軸で、安全性を確保できるかどうかが映画の主眼だが、結論めいたものが提示されるわけではない。ただ、民生用に限っても60年の歴史を有する原子力発電において、その墓場といえる最終処分場の完成が視野に入ってきたのはフィンランドだけという事実を思い知らされる映画だ。

オンカロで地層深く処分されるのは、フィンランドの原発から出た使用済み核燃料に限られる。同国では現在4基の原子炉が運転中で、建設中・計画中を含めると計7基(2012年1月時点、原子力産業協会調べ)に上るが、世界で約600基(建設・計画中含む)のうちのごく一部にすぎない。人類は今後、世界で多数の「オンカロ」を建設しなければならないのだ。


世界有数の地震国で安定した地盤に乏しい日本において、そのような場所が確保できるのか。小泉純一郎元首相が「日本で核のゴミの最終処分場にめどをつけられるとするのは、楽観的で無責任」と断言する、こうした施設をどう確保するのか。政府やエネルギー業界など原発の利点を強調する関係者も、この話題を振るとたいていは口が重くなる。

映画の白眉は、オンカロの存在を将来の人類にどう知らせるのかという場面だ。施設への侵入を試みる人々が未来に現れると想定するなら、危険性をどのように知らせるべきか。数千年後、数万年後の人類がはたして現代の文字や言語を理解するのか。危険を知らせるマークを配置したり、ノルウェーの画家ムンクの「叫び」のような絵を置いたらどうかというアイデアも聞かれた。

一方、「警告を残すよりも、存在そのものを忘れさせるほうがよい」と指摘する関係者もいた。どこかで聞いた話と似ているではないか。そう、先の都知事選で、少なからぬメディアが細川護煕元首相らが訴えた脱原発を黙殺したことだ。

細川氏らが訴えた脱原発は理念的な内容にとどまり、廃棄物の最終処分場問題も含めて、具体的な道筋を示したとはいえなかった。だが、そのことが、原発問題を「争点から隔離する」ことにはつながらないはずだ。

いまなお、少なくとも8万人以上に避難生活を強いている福島第1原発事故。原発の最大の受益者だった東京都民に対して「忘れてしまえ」とでもいいたげな一部メディアの冷淡な態度に、同業の端くれとして暗澹たる思いを抱いた。

映画は「眠れすべての希望よ、眠れすべての欲望よ」と印象的な歌曲を背景に、暗い坑道を進む男達の背中を映しながら終わる。都会で生まれ、消費された欲望の残滓(ざんし)は、人里離れた地中深くに埋められ、永久に封印される。日本でもその施設をどこかに作る必要があるのだが、経済的に貧しい地域が狙われる可能性が高いことを誰も否定できないだろう。

東北の貧しさと寄り添いながら、詩や童話を書き続けて夭折(ようせつ)した宮沢賢治は「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」(農民芸術概論綱要)と説いた。賢治が存命ならどんな詩を、物語を書いただろうか。

(東京 27日 ロイター)

放射性廃棄物最終処分
■ 人類が生んだ最も危険な廃棄物の最終処分場「オンカロ」を知っているか? 「exsite news-スゴモリ(2012.7.23)」より
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私たち人類には、このまま原発を一生稼働させても、仮に原発をやめ全廃しても、絶対に解決しなければならない問題が残されている。それは、放射性廃棄物の処分問題だ。現在のところ、きわめて安定した地層の地下深くに格納するのが唯一の解決法とされている。
こうした中、世界で初めてフィンランドが格納場所を決定し作業が進んでいる。
「オンカロ」と呼ばれるその施設は、フィンランドのオルキルオト島に存在する。
フィンランド語で「隠し場所」を意味する、世界で唯一の高レベル放射性廃棄物の最終処分場だ。
「オンカロ」は、地下およそ520メートルの深さまでトンネルを掘り、そこから横穴を広げ放射性廃棄物を処分していくという。2020年までに運用を開始し、その後2120年頃までの100年間にわたり埋設処分に利用される予定となっており、100年後に施設が満杯になった後は、道を埋めて完全に封鎖する。
使用済み核燃料に含まれるプルトニウムの半減期は2万4000年。生物にとって安全なレベルまで放射能が下がるにはおよそ10万年の月日を要するという。それまでの間、10万年にわたって「オンカロ」は地下に封鎖され続ける。
「オンカロ」は廃棄されたものを無害なものに処理するとか、何かするというものではなく、安全に隔離し少しづつ放射性廃棄物の危険が弱くなっていくことを待っているだけ。ただそこに隠しておくだけの施設だ。
安全に隔離しておくというと聞こえは良いが、「今は処理できる技術はないけど、将来研究が進めば処理できるよね?」「そうだね。」「たぶん誰か考えてくれるよ。」といった具合に10万年後の人類に責任を押し付ける施設ともいえる。
そんな「オンカロ」だが、日本には存在しない。
青森県の六ケ所村に中間貯蔵施設があるが、最終的に放射性廃棄物の処理をする施設ではない。
「オンカロ」に携わった学者たちは「不安定で地層処理のできない日本は、最終廃棄物処理場が作れない国だ」と述べたという。
「現在の科学では放射性廃棄物の処理は地層処理しかないといわれているが、地層処理場ができないのに原子力を持っている国である日本は、火山があり地震があり、常に地層が安定しない。中華料理の回転テーブルの上に放射性廃棄物を置いたようなもので、いつ動くか解らない。」日本はそういう状況にあるのだという。
続けても、全廃しても大きな壁が立ちはだかる私たち日本。
最終的な選択肢は、「どこかの外国にお願いする」か「高レベル放射性廃棄物を無害なものに処理できる技術」を研究するしかない。「反原発デモ」が解決策のないただのワガママとなってしまわないよう、世界で唯一「高レベル放射性廃棄物を無害なものに処理できる技術」を持つ国になって欲しいと願う。


【オンカロ 「地中深く永遠に~」 ①~⑧のプレイリスト(連続再生)】





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最終更新:2015年04月14日 17:08