放射能濃度が1000Bq/kg(クリアランスレベルの10倍)のセメントを使用して製造されたコンクリートの床、壁、天井で囲まれた居住空間における被ばく線量は0.36mSv/年!!


新築のマンションに住めないのかもしれない・・・。
高知県にあるセメント工場の製品は危ない!!


放射性物質が検出された下水汚泥、浄水発生土のセメント原料の利用について 「一般社団法人:セメント協会」より (※...リンク先などはmonosepiaが追加。引用記事の前半は大幅に略)

東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故により、東北地方、関東地方などの下水処理場の下水汚泥または浄水場の発生土から放射性セシウムが検出されていることが報道されております。

セメント業界は循環型社会の構築に貢献すべく、種々の廃棄物をセメント原料の一部として利用しておりますが、その中に下水汚泥または浄水発生土も含まれております。

ここに、放射性物質が検出された下水汚泥、浄水発生土のセメント原料の利用について、セメント業界の対応状況、健康への影響評価に関する情報、セメントの放射能濃度の実態について概要をお知らせ致します。

放射性物質が検出された下水汚泥、浄水発生土のセメント原料の利用について、皆様のご理解をお願い申し上げます。

上記の状況の中、政府(厚生労働省、経済産業省、国土交通省)から6月28日付けでセメント協会に対して、放射性物質が含まれている脱水汚泥等を安定的に受け入れるよう要請があり、会員各社に周知を行いました。


要請内容は以下のとおりです。

(1) セメントを生コンクリートや地盤改良材として利用する場合には、生コンクリートや土壌と混練する段階まで管理されていることから、少なくともセメントが2倍以上に希釈されることを考慮し、セメントの段階ではクリアランスレベルの2倍の濃度まで許容されることとなる。

(2) ただし、セメントとして袋詰めで一般に販売される場合には、販売店に引き渡される前に、セメントの段階でクリアランスレベル以下とすることが必要である。

(3) セメント各社は、脱水汚泥等の放射能濃度の管理や希釈度合いをコントロールし、セメントを利用して製造される生コンクリート等が安定的にクリアランスレベル以下とすることにより、今後とも脱水汚泥等を安定的に受け入れるようお願いしたい。

(4) 別添2では、セメントのユーザー団体(124団体)ならびに下水道管理者(都県ならびに市の24自治体)に、上記(1)の内容を満たしているセメントを利用して差し支えない旨の周知が行われています。

(5) なお、クリアランスレベルについては「セシウム134とセシウム137の放射能濃度の和が100Bq/kgである」ことが明記されています。

(6) セメント協会の会員社ではこの要請を受け、放射性物質が検出された下水汚泥、浄水発生土の使用について慎重に検討し、セメントの放射能濃度が政府より示された要件を満足することを確認して、下水汚泥、浄水発生土の使用を順次、再開しております。

国土交通省のホームページにおいて、「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方について」という報道発表資料が公開されており、この資料(PDFファイル)のP.5-P.6の「福島県内の下水処理により発生する脱水汚泥を再利用して生産されたセメントによる放射線の影響評価について」(原子力対策本部)で放射線の影響評価が行われています。

放射能濃度が1000Bq/kg(クリアランスレベルの10倍)のセメントを使用して製造されたコンクリートの床、壁、天井で囲まれた居住空間における被ばく線量は0.36mSv/年と評価され、これは平常時に原子力施設が公衆に与える被ばく限度である1mSv/年を下回るものであり、健康への影響が起こることは考えがたいとしています。

国土交通省のホームページ

「報道・広報」→「報道発表資料」→「平成23年5月」
<2011年5月12日>
「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方について」
http://www.mlit.go.jp/report/press/city13_hh_000125.html

それにしても、当初の予測に反して「放射能被害」は拡大していない・・・。

日本人は、放射能に強いのだろうか・・・。

発酵食品が、身体に取り込んだ放射能を体外に排出するのだろうか?

でっちり、でばらで短足の縄文人が「放射能」に強いと言いますが・・・。

街を歩いていても、でっちり、でばらで短足の縄文人があふれかえっていますなあ・・・。

短足の国!!

日本!!

ーーーーー
※以下はmonosepiaコメント

私のマンションでは、一時間当たりのガンマ線+アルファ線の空間線量は多い時で「0.14μSv」なので、一年間では(×24時間×365日)で1.4mSvとなります。
日本の自然放射線による被曝量がほぼ2mSvですから、室内から出ずに暮らしていれば日本の平均までも届きません。そこに年間「0.36mSv」が加算されても「1.76mSv」です。(世界の平均の自然放射線による被曝量は2.42mSv/y)

放射能に汚染されていないコンクリートであっても放射線は放出されているので、何もない大地の上に立つよりは被ばく量は増えるわけです。もっともその大地でさえ土や石から放射線は放出されています。岩穴や洞窟、トンネルで暮らす人?の被ばく量は木の家で暮らすより被ばく量は多いのです。

話を戻して、ここで言うコンクリートを使った場合の放出量を100%増加分として計算しても上記の「1.76mSv/y」ですから、このブログ主が懸念されている「新築のコンクリートマンションには住めないとか、高知のセメントは危ない」などの言葉は過剰反応ではないかと考えています。


■ 脱「ゼロリスク」宣言が必要だ 「池田信夫 blog(2015.3.13)」より
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今週の言論アリーナで高田純氏とも話した。当たり前のことだが、3・11から4年の節目で確認しておきたい。
年間1mSvを放射線被曝の上限にするという国の規制はない。国の帰還困難区域は50mSv以上であり、実測ではほとんど存在しない。20mSvを超える居住制限区域もほとんどないので、大規模な除染は必要ない。
福島第一原発から出ている汚染水のセシウム濃度は湾内の平均でも10Bq/kg以下であり、飲料水の水質基準を下回っている。このような健康に影響のない水をタンクに80万トンも貯水するのは、まもなく物理的限界を超える。
以上は科学的な事実であり、原子力を推進するか反対するかに無関係である。私が討論番組でこうのべても、反原発派は反論しない。それなのに、なぜ無意味な除染が続けられ、毎日7000人体制で原発の取水作業が行なわれているのか。

原因はゼロリスクを求める「空気」である。この国で、法律よりも科学よりも強い主権者だ。政治家も官僚も「命を粗末にする」という批判をあびたくないので、それに迎合する。どうせコストは東電(そして電力利用者)が払うのだから、彼らは困らない。

これを変えるには、安倍首相が「リスクをゼロにするのではなく科学的根拠にもとづいて見直す」と宣言するしかない。現場にまかせていると、いつまでも問題が先送りされ、被害が拡大する。いま被災者を苦しめているのは、こうした異常な状況を放置する政府の不作為である。


★■ ゼロリスクを求めるメディアの「情報汚染」が福島の復興をさまたげる 「Newsweek(2015.3.12)」より
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 東日本大震災から4年たつが、原発事故の被災地では、まだ9万7000人が仮設住宅で暮らしている。政府は「放射線量が年間20ミリシーベルトまでなら帰宅してよい」という基準を出しているが、いまだに多くの市町村が1ミリまで除染しないと帰宅させない。これには法的根拠も科学的根拠もないが、「1ミリまで除染しろ」という住民の要求が強いためだ。
+ 続き
 被災地に入って現地調査した高田純教授(札幌医科大学)によると、もっとも線量の高い「帰還困難区域」とされる浪江町でも年間7~8ミリシーベルト程度だという。健康に影響が出るのは100ミリ以上だから、すべての地域で帰宅できるが、政府は追跡調査もしないで、避難指示解除準備区域(20ミリシーベルト以下)、居住制限区域(20~50ミリ)、帰還困難区域(50ミリ以上)と区分した地域指定を見直さない。

 福島第一原発の廃炉作業も進展しない。膨大な汚染水の処理に、ほとんどの人手が取られているからだ。先日は2号機から基準を上回る汚染水が湾外に出ていることが問題になったが、これはピーク値で、平均するとセシウム濃度は湾内でも3~7ベクレル/リットルと、飲料水の水質基準を下回る。

 ところが政府が明確な基準を示さないため、原発では毎日7000人の作業員が地下水を取水してポンプに移し替えている。それを貯水するタンクは80万トンにのぼり、作業でタンクから落下した作業員が死亡する事故も起こった。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は「健康に影響のない水処理で死者が出るのは本末転倒だ。薄めて海に流せばよい」と指摘したが、東京電力は「当社には決められない」という。事故を起こした加害者として自粛するのはやむをえないが、そのコストは電力利用者や納税者が負担する結果になる。

 被災地はもう元に戻っている。その復旧をさまたげている最大の原因は、こうしたメディアによる情報汚染である。「原発事故で鼻血が出る」といった非科学的な情報がいまだに流され、甲状腺癌の検査結果についても、統計学を無視して恐怖をあおる報道が絶えない。

 1986年のチェルノブイリ原発事故では、大量の放射性物質がヨーロッパまで降り注いだが、国連の調査によれば、こうした落下物で増えた死者は(汚染された牛乳を飲んだ)10人程度だ。チェルノブイリの0.1%以下しか放射性物質の出なかった福島で、死者が出ることは考えられない。

 かつて放射能の脅威は原爆と混同されたが、広島や長崎の被爆者のほとんどは熱で死んだのであり、放射線障害で死んだ人は少ない。1954年にビキニ環礁の核実験の「死の灰」で死んだとされる第五福竜丸の船員の死因も、輸血による肝機能障害だったことが放射線医学総合研究所の追跡調査で確認されている。

 しかし人々の脳裡に焼き付けられた放射能=原爆=大量死というイメージは消えない。それを政治的に利用してゼロリスクを求める人々が騒ぎ続け、こういうデマに反論する人を「人命軽視だ」とか「御用学者だ」などと攻撃して商売する自称ジャーナリストも後を絶たない。

 もっとも責任が重いのは、こういう情報汚染に対応しない安倍政権である。いまメディアが騒いでいる除染や汚染水の問題は、環境基準と無関係なのだから、政府が「ゼロリスクを求めない」と宣言し、法にもとづいて処理することを市町村に徹底すれば解決できる。もう自粛をやめて、日常生活に戻るときだ。

■ 年間被曝量1ミリシーベルト以上の放射線管理区域内に住む大勢の一般市民 「逝きし世の面影(2015.3.1)」より
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『季節の変わり目に必ず大量に湧いてくるネットのボウフラ(工作員)』

『岩下俊三のブログ』最新記事の『乙女の祈り?』2月26記事の冒頭には、
『僕が3・11直後フクイチのことを尋常でない爆発だとかメルトダウンといったら「科学者」と名乗る方々のコメントが100を超えブログが炎上しました。』
と書いてあるが、このような不思議な経験をした護憲左派の政治ブログは数多いのである。
人間のDNAを傷つける放射能被害ですが枝野幸男が何回もテレビで主張したように『直ぐには、健康に影響しない』のである。
レベル7のチェルノブイリの経験では、一般市民の被害が本格化するのは4年後からである。
フクシマでは、比較的に被害が小さいメルトダウンから4年目は、今年3月11日で終り、爆発的な被害が出る5年目に突入する。
旧ソ連はチェルノブイリ原発事故から3年目の時点で、住民の放射能被害が明らかになり、仕方なく汚染地帯から一般市民を疎開させている。
ところが、日本では4年目が終わろうしているが『放射能は安全・安心。心配ない』との空念仏を繰り返すだけで、今まで一切の疎開を行っていない。
しかも、チェルノブイリよりもフクシマの方が遥かに小児甲状腺がんの発症数は膨大な数になっている。(数十倍以上旧ソ連よりも、今の日本の方が悪い)
そして、その恐怖の『メルトダウンから5年後』が目前に迫っているが、我が日本国では旧ソ連が疎開対象とした年間1ミリシーベルト以上の放射能汚染地が福島県の第一原発周辺地域だけに留まらず関東から東北一帯の広い範囲が、一般人の立ち入りが制限される『放射線管理区域』レベルの状態にあり、そこに妊婦や子供を含む大勢の市民が普通に暮らしている。
今の日本ですが年間1ミリシーベルト以上の汚染地域からの疎開どころか、極悪非道にも年間20ミリシーベルトの基準値での『除染して全員帰還』(住民は一人も逃がさない)との悪魔の選択を行ってる。
にほん国ですが、今後、確実に旧ソ連の数十倍の被害が予想されているのです。
そもそも被曝上限の1msvとは、『放射線管理区域』として医師やX線技師など専門家以外の一般人の無断立ち入りが禁止されるエリアであり、健康人が浴びても影響がないと科学的に証明された数値(閾値)ではない。
1msv以上の被曝者には日本でも70年前のヒロシマ・ナガサキでは被爆者手帳が交付されて今でも健康診断や医療費が全額国庫負担で無料にしている。(ヒロシマと被曝量が同じでもフクシマでは全額個人負担)
(※mono.--以下略、詳細はブログ記事で)


■ 内部被ばくの影響は10年後、必ずでてくる!西尾正道 北海道がんセンター院長/放射線治療の第一人者 「財界サッポロ(2011年9月号)」より
(※mono.--副題以外の太字・赤字はmonosepiaによる)
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西尾正道北海道がんセンター院長
 放射線による健康被害は外部被ばくばかりが問題視される。しかし、深刻なのは体内に放射性物質を取り込んでしまった内部被ばく。長年、臨床医として放射線治療をしてきた第一人者に人体に及ぼす内部被ばくの影響を聞いた。

世界機関に内部被ばくのデータなし


――食品安全委員会は7月26日、自然放射線や医療被ばくを除く放射線で、健康に影響が出るのは内部被ばく・外部被ばくを合わせて、生涯で100ミリシーベルト以上との答申案をまとめました。
西尾 日本の法律上では、一般公衆の線量限度は1ミリシーベルト/年ですが、政府はICRP(国際放射線防護委員会)の基準をもとに警戒区域や計画的避難区域を設け、校庭の活動制限の基準を3.8マイクロシーベルト/時間、住民には屋外で8時間、屋内で16時間の生活パターンを考えて、年間20ミリシーベルトとしました。
 この線量基準は年齢も考慮せず、放射線の影響を受けやすい成長期の小児や妊婦にまで当てはめるのは危険です。では、なぜこんな基準が示されたのか。移住を回避させる目的としか考えられません。しかし、原発事故の収拾のめどが立っていない状況で、住民に20ミリシーベルト/年を強いるのは人命軽視の対応です。
 そうした中で、今度は食品安全委員会から生涯で100ミリシーベルト以下なら安全だという答申が出された。しかも内部被ばくも含むという。しかし、内部被ばくについては、これまでICRPもIAEA(国際原子力機関)もまったく取り上げていません。むしろ原子力政策を推進する上で不問にしていた。だから内部被ばくに関するデータはまったく持ち合わせていないというのが現状です。
――にもかかわらず、100ミリシーベルトという数字を出したと。
西尾 結局、内部被ばくと外部被ばくの人体影響の差はまったくわかっていないので、とりあえず線量が同じなら同等と考えましょうというのが今の世界のコンセンサス。何の根拠もなく、わからないから1対1にしようということです。
――ものすごく乱暴な結論ですね。

西尾 ですから、内部被ばくの1ミリシーベルトと外部被ばくの1ミリシーベルトが同等の健康被害かどうかということすらわかっていない。内部被ばくは近くにある細胞にしか影響を与えません。局所的にアルファ線やベータ線の影響は強いわけですが、それを体全体の線量に合わせてしまうと60兆個の細胞のうちの局所的な個数ですから、見かけ上ものすごく少ない線量しか出てこない。そういうトリックがあります。
 そもそも国は、国民の被ばく線量もはかっていないのに、新たな規制値をつくるのは何の目的なんだということですよ。自分がどれだけ被ばくしているかもわからないのに、ただ数字だけが踊っている。
+ 続き
――考えられることは。
西尾 今後、予想される食品汚染ということになると内部被ばくの問題です。政府にはそういうデータはまったくないと思います。このタイミングで出てくるというのは、たとえばセシウムだったら年間5ミリシーベルトに抑えようと、肉だったらキロ当たり500ベクレルにしようとなっていて、そういうものを食べていれば年間5ミリシーベルトくらいになるということなんだけど、いまの規制値だとそれで収まりきらない可能性がある。だからもっとぼかした形で「一生涯にこれだけいいですよ」と。国民をだます手法の1つとして考え出されたものだと思います。ごまかしです。
 いままでの基準値だって、水は100ベクレルでした。それが東京・金町浄水場の水道水から210ベクレルの放射性ヨウ素が出たといったら、一気に300ベクレルに上げた。原発作業員も年間被ばく量は100ミリシーベルトといっていたら、それじゃ作業させられないから一気に250ミリシーベルトに上げた。その場でクリアできなくなったら、基準値を上げているだけ。一貫してそう。こんなことをやっていたら10年後は大変な問題が起こりますよ。「人ひとり死んでいない」とバカなことを言う人もいるけれど、それは目先の利益を追いかける人の発想です。問題は今後、奇形児が生まれたり、がんが増えたり、そういうことは確実に起こります。
――これまでに起こった原発事故で、内部被ばくによる人体への影響は明らかだと思うのですが。
西尾 いま世界中で内部被ばくを含め、隠されていたデータがどんどん出てきています。2000年以降、10ミリシーベルト以下の低線量でも健康被害があるという論文もいくつかあります。とくに子ども。放射線の影響は大人の3倍から4倍ありますよ。乳幼児の場合だったら、同じ甲状腺への取り込みは8倍から9倍になる。  英国の使用済み核燃料棒の再処理工場があるセラフィールドでは、子どもの白血病が通常より10倍の罹患率です。チェルノブイリもそうです。IAEAの予想では4000人くらいの過剰がん患者というけれど、実際には100万人近く出ている。
 今回の福島だって、欧州のグループは今後50年間で42万人が、がんになると予想。ところがIAEAは6000人。ケタが2つも違うようなことを言っている。現在も、極めて原子力推進派の意見が世界を支配しているのです。

避難住民は疎開ではなく移住すべき


――いまも福島原発からは放射性物質は出ているんでしょうね。
西尾 専門家は水素爆発時の100万分の1くらいになっていると言っていますが、いずれにせよ微量は出ていると思います。
――一連の爆発時にどんな放射性物質が放出されたのでしょう。
西尾 9割方はヨウ素131。あとの1割弱はセシウム134と137が半々くらいといわれています。そのほかにコバルト、ストロンチウム、プルトニウムなど、もろもろ30核種50種類くらいの放射性物質が出た。ただ、ヨウ素は半減期が8日だから、いまはほとんどなく、セシウムだけが残っている状況です。セシウム137の半減期は30年、134は2年です。
――一番毒性の強いのは。
西尾 プルトニウムです。アメリカの西海岸やハワイでも検出されています。
――そういうものを吸い込んだ人も、たくさんいるんでしょうね。
西尾 たとえば体内にセシウム137を取り込んだとします。物理的半減期が30年といっても、生物的には代謝する過程で体外に出ていきますから、実際には100日くらいしかない。4カ月もたっていたら4割くらいになっている。放射性物質を100取り込んだとして9割はヨウ素だから検出されない。1割のセシウムも3分の1くらいになっている。ですから理論的には100あったとしても3しか残っていない。
――国民はすでに汚染された肉などを食べた可能性もあります。
西尾 いまくらいの量だと実際にはそれほど問題はないと思います。ただ、食べ続けると健康へのリスクは高くなるでしょう。
――やはり食物が気になります。
西尾 政府は飲食物に関する規制値も緩和しました。年間線量限度をヨウ素では50ミリシーベルト、セシウムでは5ミリシーベルト、しかも従来の出荷時の測定値ではなく、食する状態での規制値です。これではますます内部被ばくは増加します。
 ちなみにホウレンソウの暫定規制値はヨウ素でキロ当たり2000ベクレル、セシウムは同500ベクレルとなりました。放射性物質は、よく水洗いすれば2割削減され、茹でて4割削減され、口に入るときは出荷時の約4割になります。確かに調理によって人体への取り込みは少なくなりますが、汚染水や人体からの排泄物は下水に流れていく。それは最終的に川や海に達します。環境汚染が進むことは避けられません。今後、日本人は土壌汚染と海洋汚染により、内部被ばく線量の増加を覚悟する必要があります。
――高い放射線量が計測される町にも人はいます。
西尾 20マイクロシーベルトになっているところは、さしあたって住めません。疎開でなく移住です。疎開は少したったら帰ってくるという発想ですが、それは無理です。汚染地域では産業が成り立たない。生活の基盤がつくれないのだから移住すべきだと思います。

21世紀は放射性物質との戦いの時代


――いまそういうところに住んでいる人は被ばくし続けているわけですよね。
西尾 いまくらいの数値だったら問題はないでしょう。世界中には自然放射線を年間10ミリシーベルト浴びているところもある。世界平均で2.4ミリシーベルト。それほど深刻になるほどではありませんが、地域経済は成り立たない。
 日本は最も原発に適さない国です。世界で発生する震度6以上の地震の半分は日本です。海に囲まれ、津波のリスクもある。国土が狭いから何かあっても逃げられない。静岡県の浜岡原発でチェルノブイリと同じことが起こったら、東京がすっぽり汚染地域に入ってしまう。そのくらい狭い国土なんです。
 中国はこれから原発を400基つくるといっています。日本にだって54基ある。何らかの事故でまた放射性物質がばらまかれる事態は想定しておかなければなりません。そんな時代に内部被ばくを不問にして健康被害を語るのは、まったくの片手落ち。
 21世紀は放射性物質との戦いの時代です。1980年以降、がんの罹患者数は増えています。昨年は心臓病を抜いてがんが、全世界で死因のトップになりました。これは単純な高齢化の問題だけでは説明がつかない。人工放射線が何らかの形で関与している可能性がある。そのくらいの思い切った発想で、放射線の健康被害を慎重に検討することが求められていると思います。




■ 「除染目標の年間1 mSv」、こだわるべきではない 「Global Energy Policy Research(2015.2.9)」より
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原発事故の起こった福島で、機会あればさまざまな形で原子力と放射線についいて説明しています。原子力にかかわってきたものの責務であると考えるためです。除染をめぐる質問で、長期目標に設定された年間追加被ばくの1mSv(ミリシーベルト)が正しいのかということです。私の行う説明を皆さんに紹介し、少しでも福島の不安を和らげたいと考えます。

年1mSvという基準は過剰に安全に配慮したものです。
(※mono.--中略、詳細はサイト記事で)
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(3) 除染との関係

除染は5mSv/年を目標として、福島県伊達市や郡山市でスタートしました。ところが、2011年4月の小佐古内閣府参与が、その科学的根拠は不明なのに「学校における20mSvの被ばく基準は高すぎる」と泣いて辞任をしました。その後で、マスコミが主導する形で、除染目標を1 mSv/年にする声が高まりました。当時の福島問題担当の細野豪士環境大臣がこの基準の受け入れを表明し、2011年10月に、国が年間追加被ばくが1mSvとなる地域を除染対象域とすることになりました。新しい除染基準のため、除染対象地域が非常に広がりました。

当然、除染にかかる予算も巨大化しています。また除染を急いで欲しいという住民の気持ちも冷やされ、除染のはかどりが悪くなりました。一部の自治体の首長さんまでもが、「1mSv未満にしなければ帰還できないので、避難区域の解除は認められない」と主張しました。

2013年に来日したIAEA調査団は、こうした状況を見て、「除染で年間1mSvの目標にこだわらないで」という内容の勧告を出しました。

この問題では、その節目ごとに、「なぜ1mSvなのか」の意味付けがなされなかったのと、国もそれまでの形式的な説明を繰り返すだけでした。しかし、私が示したように、免疫が勝る限り100mSv以下ではの健康被害は、ほぼありえません。そして福島の住民の被ばく量は、事故後の経過を考えても10mSv以下の人が大半で、健康に影響はありません。ストレスの無い生活が重要です。それなのに、いまだにマスコミも含めて一般には、この意味はよく理解されていません。
(※mono.--以下略、詳細はサイト記事で)



■ 1mSvの被曝基準:その根拠は受容性だった 「市民のための環境学ガイド(2012.7.22)」より
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 先日(7月5~6日)、日本学術会議で、安全工学シンポジウムというものが開催された。このシンポジウムは、主催が日本学術会議ではあるが、実体としては、様々な学会が持ち回りで開催しているもので、今回は、日本化学会が幹事学会であった。化学会が構成した実行委員会の委員長を仰せつかったもので、基調講演は、化学物質のリスク管理の第一人者である中西準子先生にお願いした。

 中西先生の講演は、いつものように極めて理論的であったが、一般の市民が要求していることは、リスク評価ではなく、もっと確定的なYes, Noであることを、Burtrand Russellの"Certainty"を引用されて主張された。話題は、勿論、低線量被曝のリスクについてであった。

 調べてみると、Burtrand Russellは、確かにcertaintyについて、色々なことを言っている。

 The demand for certainty is one which is natural to man, but is nevertheless an intellectual vice.

 それにしても、これを何と訳すのが良いのだろう。

 筆者の試訳:確実さを得たいという欲望は、人類にとって極めて自然なことであるが、とはいっても、それが知的な要求かと言えば、むしろ知的悪徳に属することではないか。

 確定的な表現についてどうすることができるのか、もう一度考えなおしてみたい。

 それはそれとして、中西先生の講演で、全く新しいことを聞いた。それは、4月1日から施行されている食品衛生法の放射線基準の元となっている1mSv/年という数値の根拠は何か、という話である。実に、全く知らなかった。驚くべき話だった。
(※mono.--以下略、詳細はサイト記事で)

★■ 年間1ミリシーベルト目標の除染「必要ない」とIAEA 厳しすぎる基準は復興を遅らせる 「The Liberty Web(2013.10.22)」より
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福島第一原発事故に伴う除染について評価と助言のために来日している国際原子力機関(IAEA)の専門家チームが21日、報告書をまとめた。報告書では、「年間1ミリシーベルトという追加被曝線量の政府目標は必ずしも達成する必要はない。環境回復に伴う利益と負担のバランスを考えて最適化する必要がある」とした。

IAEAが指摘するように、日本政府が除染の標としている年間1ミリシーベルトは、厳しすぎる基準である。

国際的に許容されている線量基準は年間1~20ミリシーベルト。大地や宇宙、食物から受ける自然放射線の世界平均も年間2.4ミリシーベルトはあり、ブラジルの観光地ガラパリでは10ミリシーベルトに達する。
放射線による人体への影響が確認されているのは、短時間に100ミリシーベルト以上浴びた場合で、それ以下の被曝では影響が確認されていない。年間1ミリシーベルトというのは、自然放射線の日本の全国平均0.99ミリシーベルト程度を超えないという基準であって、安全か安全でないかの境界線ではない。その意味で、安全性を図る基準として1ミリシーベルトという厳しい基準を設置している根拠は薄い。

この厳しい基準の結果、2013年度までに政府が計上した除染費用は約1兆3000億円にのぼる。また、居住や立ち入りが制限されている区域での復興も遅れている。今回のIAEAの助言は、年間1ミリシーベルトにこだわりがちな日本の世論に、大事なのは復興とバランスをとりながら進めることだと教えてくれている。

さらに今、福島第一原発からの汚染水の海への流出が連日のように報道されているが、重要なポイントは、汚染水がどれだけ漏れたかではなく、海水の放射能濃度がどうなっているかである。

原子力規制庁のデータでは、7月に行った福島県沿岸・沖合の20カ所の放射能濃度の検査で、原発から半径20km圏内でもっとも数値の高い地点の放射性セシウムの濃度が1リットルあたり「0.085ベクレル」だった。これは飲んでも大丈夫なレベルの低い値だ。

有機水銀やヒ素などの化学物質と違い、放射性物質は生物の食物連鎖によって濃縮されることはほとんどない。また、濃度が薄ければ摂取しても特に問題はない。私たちが普段食べている食品にも、カリウムや炭素など放射能を持つものは多くあり、人間の体も約7000ベクレルの放射能がある(体重60kgの日本人)と言われている。

日本政府は、安全性の基準としての根拠に欠ける年間1ミリシーベルトという基準を緩和し、除染にかける無駄な税金の垂れ流しをやめるべきである。(紘)

【関連記事】

2013年10月17日付本欄 東電の賠償や除染で国民負担が800億円 不要な避難や除染をやめ、原発を再稼働せよ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6786

2013年10月4日付本欄 汚染水は海に流れて「飲めるレベル」 高いところでも基準値の100分の1以下で大丈夫
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6737















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最終更新:2018年04月30日 14:34
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