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● 同一労働同一賃金〔Wikipedia〕
同一労働同一賃金(どういつろうどうどういつちんぎん、英:equal pay for equal work)とは、同一の仕事(職種)に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われるべきだという概念。性別、雇用形態(フルタイム、パートタイム、派遣社員など)、人種、宗教、国籍などに関係なく、労働の種類と量に基づいて賃金を支払う賃金政策のこと。
さらに、同一価値労働同一賃金(どういつかちろうどうどういつちんぎん)とは、職種が異なる場合であっても労働の質が同等であれば、同一の賃金水準を適用する賃金政策のこと。



<同一労働同一賃金>法制化へ 差別的待遇禁止、全非正規に 「Yahoo!news-毎日新聞(2016.2.12)」より
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 ◇政府が方針を固める

 政府は正規・非正規に関わらず同じ職務の労働者に同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」を法制化する方針を固めた。パートタイム労働者と正社員の差別的待遇を禁じた改正パートタイム労働法(昨年4月施行)の規定を派遣労働者らにも広げる。5月に策定する「ニッポン1億総活躍プラン」に方向性を盛り込み、厚生労働省の労働政策審議会を経て、早ければ来年の通常国会に提出する方針だ。

 同一労働同一賃金を巡っては、昨年の通常国会で自民、公明、維新(当時)3党の賛成で成立した「同一労働同一賃金推進法」で、派遣労働者の待遇について「3年以内に法制上の措置などを講じる」と定めた。厚労省は当初、政省令での対応を検討したが、安倍晋三首相は「必要であれば法律を作る」と発言するなど法制化に強い意欲を示しており、方針を転換した。

 法制化では改正パート労働法の規定を他の非正規労働者に拡大する。同法が適用されない派遣労働者や契約社員らを含む非正規全体を対象にした新法も検討しているが、パート労働法や労働者派遣法の改正にとどまる可能性もある。

 パート労働法は、職務内容や責任の重さに著しい差がないことに加え、転勤や配置転換の有無、異動範囲など、「人材の活用」が同程度である非正規労働者は、正社員と賃金に差を付けない均等待遇を求めている。

 だが、この人材活用規定がハードルとなり、パート労働者約940万人のうち同一賃金が実現しているとされるのはわずか約32万人にとどまっている。

 新法制にも人材活用規定が盛り込まれれば格差是正の実効性が低くなるため、政府内では非正規労働者の仕事の習熟度や技能などを評価する「熟練度」といった基準を新たに設けることが検討されている。

 また、正規・非正規の賃金差の合理的理由について、企業側に説明責任を課すことも検討。「合理性」を判断するのは裁判所になるため、判決が蓄積されるまでルール化は難しそうだ。

 労働関係の法整備には労使の代表を含む労政審での議論が必要で、非正規労働者の賃上げによるコスト増を懸念する経営側の反発が予想される。一方、労働側も非正規労働者に合わせて正規社員の賃金水準が低下することを警戒している。両者が折り合うのは難しく、非正規の賃金引き上げの実現は不透明だ。

 首相は夏の参院選でアベノミクスをアピールするため、非正規労働者の賃金引き上げに意欲をみせる。しかし、厚労省内では「首相の意気込みは強いが、実効性あるものにするのは難しい」(幹部)との指摘も出ている。【阿部亮介】

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★ 同一労働・賃金 - 労使間でも解釈に違い 「毎日新聞(2016.2.4)」より
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 今春策定する「ニッポン1億総活躍プラン」に向けた議論が本格化している。安倍晋三首相は先月29日の1億総活躍国民会議で、プランの柱に「働き方改革」や「生産性向上」を据える方針を明らかにした。ただ、働き方改革の目玉の一つとする「同一労働同一賃金」は労使など関係者の間でも解釈に違いがあり、どこまで踏み込んだ対策になるかは不透明だ。

 「同一労働同一賃金」は、職種に応じた賃金が産業別に決まっている欧州で導入されている制度で、正規社員でも非正規社員でも同じ仕事なら賃金などに差がないとする考え方だ。しかし、日本企業の多くは年功序列が残る。勤続年数や責任の重さなども考慮して賃金を決める考え方が主流だ。

 首相は先月22日の施政方針演説で同一労働同一賃金の実現に意欲を示した。しかし、首相の目指すものが、欧州型の厳密な同一賃金なのか、責任の重さなども考慮したうえで、正規と非正規の格差解消を目指す「均衡待遇」なのかは必ずしも明確ではない。自民党は5日にプロジェクトチームの初会合を開くが、主要メンバーの一人は「同一労働の定義がはっきりしない」と困惑する。

 民主党は欧州型の同一賃金に近い考えだ。同党は2014年の臨時国会に維新の党(当時)などとともに、正社員と派遣労働者が同じ仕事なら同じ賃金を求める法案を提出したものの、その後に維新が与党と修正協議して、責任の重さなども考慮する「均衡待遇」の考え方を反映させたため、反対した経緯がある。連合は「合理的な理由がなければ同じ仕事なら同じ賃金であるべきだ」との立場だ。

 これに対し、経団連は「日本は欧米と労働風土が違う。単に同じ仕事というだけでなく、企業内での人材育成や責任の重さなどを踏まえ、実態に合った検討を」というスタンスだ。

 厚生労働省は来年度、初めて全産業を対象に正規社員と非正規社員の賃金や待遇格差の実態調査に乗り出す。ただ、調査結果は5月のプラン策定には間に合わない見通しだ。野党側からは「言葉だけの参院選対策だ」との声も出ている。【阿部亮介、加藤明子】

欧州、雇用形態で複数の法律

 欧州の同一労働同一賃金制度は、「客観的な根拠によって正当化されない賃金の差」は認めないことが法文化されている。パートタイム、有期契約、派遣などの雇用形態によって複数の法律があり、例えば、欧州連合(EU)のパートタイム労働指令は「パートタイムで労働するというだけの理由では、客観的な根拠によって正当化されない限り、比較可能なフルタイム労働者よりも不利な取り扱いを受けない」と規定している。

 「客観的な根拠」に関し労使間で認識の食い違いがあれば、最終的には裁判で判断される。内閣府によると、学歴や資格が違う場合や、在職期間の違いで認められた例があるという。【堀井恵里子】



アメリカ発祥の会員制量販店「コストコ・ホールセール」(コストコ)は地方出店にあたり、その地域の最低賃金をはるかに上回る高い時給でアルバイト・パート従業員を雇用している。

近隣店舗の時給と差が生まれている状況だが、ネットで「すばらしい」「外資系の方が日本経済に貢献している」と賞賛されている。

最低賃金を400円上回る「好待遇」

2015年11月20日、国内24店舗目となる岐阜羽島倉庫店が岐阜県羽島市にオープンした。時給はポジションによって分かれ、最低でも1200円。深夜、祝日勤務になると1500円~1600円まで跳ね上がる。岐阜労働局が発表している県最低賃金は746円で、コストコの時給はその1.6倍という「好待遇」だ。

(※mono.--以下の引用記事は略、詳細はブログ記事で)
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(※mono.--ブログ主のコメント前半は大幅に略)

政府では最低賃金を数年がかりで時給1000円にしようとしていますが、コストコのような企業が現れれば、人材がコストコに集まって同業他社が人手不足になるだろう。コストコが時給1200円でも採算が合うのは同一労働同一賃金が徹底しているためで、仕事をしない高給取りの中高年社員がいないためだ。

ワタミでもブラック企業で社会問題になっていますが、正社員を低賃金で休みなしに働かせるやり方は昔のやり方であり、コストコのような時給の高い所が現れれば排除されて行くだろう。企業などは外人を入れろと言う所がありますが、安い賃金で働く外人労働者を入れる事で全体の時給を下げさせようと言うのだろう。しかし同一労働同一賃金が徹底されれば、外人労働者でも同一賃金でなければならない。


★■ 「同一労働・同一賃金」はどうして難しいのか? 「Newsweek-プリンストン発 日本/アメリカ 新時代[冷泉彰彦](2014.12.4)」より
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 同じ仕事をしたら同じ賃金をもらう、これは極めて当たり前のことのように思えます。事実、欧州では多くの専門職の仕事が「ワークシェアリング」の対象とされており、フルタイムの人も、パートタイムの人も時給換算では同じ賃金をもらっています。

 私の住むアメリカでは、そこまで一般的ではありませんが、例えば子育て中の世代などで、時給制弁護士、時給制医師といったものがあります。本来は年収1800万の小児科医が、一時期だけ勤務時間を半分にしている場合には、年収は900万になるわけです。

 アメリカの場合は、「ワークシェアリング」はまだ少ないのですが、同一労働・同一賃金という原則は極めて厳格に守られています。これに違反すると巨大な訴訟リスクを抱えることになるからです。そのために、「賃金の違う人は、相手の業務を奪ってはならない」ということも徹底しています。

 例えば、学校で床の清掃をするのはジャニターという職種ですが、仮にジャニターよりも時給換算の給与の高い校長先生が、「ちょっと床が汚れているからチャッチャッと掃除してしまった」などということが露見するとマズいことになります。それはジャニターの雇用機会を奪うと同時に「同一労働・同一賃金」に反することになるからです。もちろんアメリカにも臨機応変な現実主義というカルチャーはあるので、実際の運用は柔軟ですが、原則はそうであり、仮にジャニターの側からの「異議申し立て」があればシリアスな問題になります。

 では、この「同一労働・同一賃金」というのは、日本の場合どうして実現が難しいのでしょう? 具体的に言えば、同じ仕事をしていても、非正規労働者や派遣社員の賃金と、フルタイムの正社員の賃金には2倍、福利厚生まで入れると2倍半以上の格差があるわけです。

 これは明らかな不公平です。では、どうしてこのような不公平が放置されているのでしょうか? どうして「同じ仕事をしたら、同じ賃金を払う」という当たり前のことができないのでしょう?

 まるで正社員と、非正社員というのが身分制になっているかのようです。多くの非正規雇用者や第三者は、そのような「いわれなき差別」を感じていると思います。なぜ、そんな理不尽が許されているのでしょうか?

 答えは簡単です。「正社員と非正規の仕事は違う」からです。5点指摘できると思います。

(1)4時間勤務と8時間勤務というのは単に「労働時間が倍」でありません。8時間勤務(7時間の場合もあり)というのはフルタイムであって原則正社員であり、その正社員には「突発事態や繁忙期」には8時間を超えて勤務することが前提となっています。悪いことに、その場合に賃金を払わない「サービス残業」の発生する可能性も、正社員の方が圧倒的に高いのが現実です。

(2)正社員の業務内容は、「日々の業務」だけではないのが普通です。例えば、全社的な「経営方針発表会」のようなものがあれば、新幹線や飛行機に乗って出張してその会議に出席し、またその後の懇親会などで本社や他事業所の「日々の業務では無関係」な同じ会社の社員と情報交換を行わなくてはなりません。また、全社横断的な「中堅社員研修」などに担ぎ出されたり、ある工場が異常事態になると「支援要員」として長期出張をさせられたりするのです。そうした本来業務と無関係な時間帯まで査定や評価の対象にされるのです。

(3)正社員はどうして余計な会議に出席しなければいけないのか、また実務研修とは違う「中堅社員研修」や「管理職選抜試験」などに参加しなくてはならないのかというと、正社員というのはイコール「管理職候補」だからです。会社はそのように正社員を見て人事異動をしたり、研修をしたりします。そのこと自体は正社員には負荷になりますが、将来の管理職という地位を「人質に取られている」正社員としては応じなくてはなりません。そうした会議や研修の多くは儀式ですが、儀式への真剣な参加は、共同体の団結を確認する重要なものと位置付けられています。

(4)正社員は管理職候補であるために、管理職になる前に複数の「現場」を経験することが期待され、その結果として「人事ローテーション」の対象とされます。ですから、辞令一枚で日本だけでなく海外にも転勤しなくてはならず、転勤を拒否すると管理職昇進が遅れるか不可能になるという「大きな負担」を背負っています。

(5)正社員は終身雇用ですから、その正社員だけによって構成された「共同体」に組み込まれています。そのために上司の公私混同をした要求、例えば「引越しの手伝いをしろとか、社長夫人の観光を案内せよといった要求」を拒否できないとか「税務調査とか労働基準監督署の調査といった場合に、内心の良心に従うのではなく、また法律に100%従うのではなく、企業への忠誠心から企業側の利害に基づいて行動しなくてはならない」といった難しい立場に立たされます。

 以上のような点について、非正規労働者はそうした「重荷を背負う」必要はありません。ですから正社員から見れば「そんな気楽な存在の非正規労働者が同一労働・同一賃金などと主張するのはおかしい」ということになります。

 では、この「正社員制度」は日本型経営の美徳だから「仕方がない」のでしょうか? とんでもありません。その会社の正社員という「タコツボ」に閉じこもる発想が、企業全体、日本経済全体のガラパゴス化を生むと同時に、その「正社員を育成して管理職にする」という制度が「膨大なコスト負担」になっているのです。

 儀式を通じて忠誠心が生まれても、それで高度な業務スキルや管理能力が身につくわけではなく、「プロ管理職」が育つわけではありません。日本の事務仕事の生産性が低い理由の1つはこのためです。また、ワーク・ライフ・バランスを著しく損ねて、日本を少子化に追い込んでいるのもこのカルチャーです。専門職へのリスペクトと報酬が欠けているために、例えばITの競争力が崩壊しているのも同じ理由です。

 その意味で、こうした「正社員制度」の弊害を見直す機会として「同一労働・同一賃金」の問題を提起するのは意味のあることだと思います。













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最終更新:2016年02月13日 19:49