+ ニュースサーチ〔デジタル専制主義〕

+ ニュースサーチ〔デジタル・レーニン主義〕





Dr.Drone@KojiKoj94192232
つまり自分のお金が自由に使えなくなり、その結果政府は国民の尊厳を奪い監視する事が出来るわけです。
こんな事が世界に広がっていく危険性があります。




■ ダボス会議の今年の主題はAIによる「デジタル専制政治」だった 「ダイヤモンド・オンライン(2018.2.27)」より
/
トランプ米大統領の初参加で、例年以上に注目された今年の「世界経済フォーラム」、通称「ダボス会議」。世界の首脳や経済人らの間で何が話し合われたのか。この10年あまり参加し続けてきた小林喜光・経済同友会代表幹事(三菱ケミカルホールディングス会長)は、「大きな変化を感じた」と言う。ここ2、3年の流れではあったが、“主役”は、AI(人工知能)。民主主義に代わって、ネット上の情報を独占した、ごく一部の「エリート」がAIとともに社会を支配する「デジタル専制主義」をめぐる議論だった。(ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)

今年のダボス会議で注目されたのはイスラエル人学者のユバル・ノア・ハラリ


──今年のダボス会議での議論はどうでしたか。

 このところの「ダボス会議」の討議は、グローバリゼーションを進める中で、「国民国家や民主主義はどうあるべきか」や地球環境のサステナビリティの問題が主要テーマでした。

 最近は、反グローバリゼーション、つまり「反ダボス」の流れが強まり、トランプ政権の誕生や英国の「ブレグジット」(EU離脱)があり、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平主席のように独裁的な指導者による政治、あるいは逆にポピュリズム政党の台頭といった、懐旧的な逆行の動きが強まっていました。

 しかし今年、多くの人が注目し、私にとっても最も興味深かったのは、ユバル・ノア・ハラリという41歳のイスラエル人の学者の講演でした。

 彼は、オバマ前大統領が、すべての米国人は読むべきと語ったという「サピエンス全史」の著者です。最も大きな会場で、メルケル首相の次に登場し、マクロン仏大統領がそのすぐ後に演説したことでも、彼が重要な位置付けだったことがわかります。

デジタル専制主義やAIとの共存が前面に


──何を語ったのですか。

 彼が提起したのは、デジタル技術の進歩によって集められたビッグデータをもとにAIが学習し、判断して、社会を動かすようになるという近未来の予想です。これはAIが人間さえもアルゴリズムの一つの体系として捉える時代が来るという予想です。

 これまでの権力は、金や土地などと結びついていることが力の背景になっていましたが、これからは実体に紐づかないデータの所有が決定的に重要になる。

 人間社会は、データを所有して社会を統治する一部の者と、その他多数に二分され、データ支配者は従来の「人間」を凌駕した、新しい「種」に進化するというのです。

 簡単に言えば、今の資本主義が行きつく先として、「データイズム(データ覇権主義)」というか「デジタル専制主義」の時代が来るというわけですね。

 今年のダボス会議でも、トランプ大統領が「自国第一主義」の考えを改めて表明したのに対し、メルケル独首相らが保護主義を牽制するといった場面がありました。

 しかし、今回はそうしたグローバリズムや民主主義の問題から、クラウス・シュワブ博士の唱える第4次産業革命をめぐる議論を中心に、さらに先の「デジタル専制主義」や、AIとの “共存”といった問題がぐっと前にでてきた感じがします。

──インターネット上における情報の“囲い込み”などが問題になっていますが、事態はそこまでいくということですか。

 ネット上での閲覧や買い物履歴、交友関係などの情報を一手に集めて稼ぐ、IT企業の“寡占化”の問題についても議論がありました。

 データの共有をどう進めるのか、情報を独占する者とそうでない者との“格差”をどうするのかなど、新しい技術がもたらす「社会の変革」に対しての準備ができていないということへの危機感からです。EUが今年5月施行をめどに、「GDPR(General Data Protection Regulation、一般データ保護規則)」を発表したのもその一つでしょう。

 そしてその先にはもっと怖い状況、時代が来るという話です。

民主主義にとって代わる中国はすでに歩み始めている


──将来、民主主義や資本主義に、「デジタル専制主義」が取って代わるということですか。

 中国の動きなどを見ていれば、既にそれを感じます。中国は、ネットで人々のデータを集めて、犯罪歴などだけでなく、経歴や個人の行動、嗜好まで把握する「管理社会化」を進めています。その一方で、外資系企業には、中国国内で得たデータを国外に持ち出すことを禁止しています。

 これまで中国をめぐっては、「民主化が課題」と言われてきましたが、民主主義よりも一気に「デジタル専制主義」に向かっているように見えます。実際、その方が統治をしやすいですし、経済運営も効率よく、スピード感を持ってできます。中国では、私の知っている意識のかなり高いインテリ層でも、民主主義はあまりにもコストがかかると言っています。

 国際競争でも有利だということになれば、この流れが他国にも広がる可能性があります。

 グローバルな市場経済や民主主義は、西欧近代文明の歴史の中で、いわば到達点のようなものとして考えられてきましたが、どうもそうではないかもしれないと。そういう状況になったら日本はどうするのか、日本では問題意識が希薄だし、議論自体が足りないと思います。

AIが人間の頭脳を上回る「技術的特異点」がくる


──人間の脳より賢いAIが、いずれ出現するといわれていますが、そこまで変わってくるのでしょうか。

 AIが、人間の頭脳や知性を追い抜く「シンギュラリティ(技術的特異点)」がくると、統治体制だけでなく人間自身も、これまでと違ったものになりかねません。ノア・ハラリ教授の講演のテーマも、「Will the Future be Human」。つまり、人間であることは一体何なのだ、ということです。

 人間は自分たちのことを、「万物の霊長」とか「進化系の最後」だとか、特別な存在だと思っていますが、そうではなくて、たいていのことはAIが判断し、データを独占したAIと一体になった新しい“種”が出現するというわけです。

 一方でその他多数は、単純労働から解放されるし、そこそこ幸福な生活を送れるのだけれど、ゲームとか麻薬とか、怠惰な方向にいってしまうというのです。

 意識の高い人は、文化や芸術など、より創造性のあることをするのでしょうが、AIがレンブラントの絵画や、べートーベンの楽曲と同じものを作れるようになるとなれば、そこでも人間とAIの違いがなくなってしまいます。

 本当にそうなるかどうかは分かりませんが、将来は、人間とAI、コンピューター、ロボットが役割を分担する、複合化した社会になる可能性もあり、知性と意識の問題も議論されています。

出遅れた「第4次産業革命」日本の議論は表層的


──日本でも、モノがネットでつながるIoTや「第4次産業革命」などの議論や、取り組みが始まっています。

 プラットフォーマーの現状を見ても、米国にはグーグルやアップル、中国にはアリババ、テンセントのように、株価の時価総額が数十兆~100兆円規模といった企業が出現していますが、日本には対抗できる企業がありません。

「ユニコーン」と呼ばれるスタートアップ企業も、米国では100社以上、中国にも50社以上ありますが、日本はたったの2社だけです。

 しかも、「第4次産業革命」についての議論は、経済効率やビジネスの観点からの関心にとどまっています。それによって、どういう格差が生じるのか、人間の生活や人間の存在自体がどう変わるのかといったところまでは、議論されていないのが現状です。

「我思うゆえに我あり」ということで、人間は進化系の最後の存在だったはずが、AIの進歩でそうではなくなる可能性がある。「人間とは何なのか」ということを改めて考え直す必要があります。とりわけ、意識とはという問題が残ります。

思考停止のままでは日本は世界から取り残される


──世界の議論に、日本はどうして出遅れているのでしょう。

 戦後70年、平和で経済成長もして幸福になり過ぎて、考えることを停止してしまったからだと思います。

 日本では、財政再建が遅れている中で、GDPだけを増やせばいいとか、今がよければ、自分さえよければということで、政治家も国民もやっています。国会の審議も、いわゆる「森友・加計問題」などに時間を割き過ぎていて、すごく違和感を感じます。

 それに比べて、例えばユダヤ人は長い流浪の歴史を持ち、イスラエルを建国して以降も、100倍の人口を持つアラブ国家に囲まれ、戦火を交えることもある中で、自分たちは何者なのか、国を作ることはどういうことなのかといったことを考え抜いてきました。

 民主主義がきちんと機能するように、政治の在り方や制度を改革することは大事ですが、ダボスの議論はさらにその先に目を向けています。このままでは、世界の思考や動きからずるずると取り残されかねません。

 政治学者は、民主主義とグローバリゼーションの問題が相変わらず大きな関心事だし、経済学者もGDPで人間の幸福を考えていますが、本当にそれが正しいのか考え直す時期でしょう。

 デジタル専制主義に敗北しないようにするのは、技術的な対応だけではなく、人類史の観点、哲学的な視座から考えないといけません。哲学者や歴史学者、人類学者らも巻き込んで、技術論にとどまらず「超現代」について思考することが必要です。

 特に、これからの日本の指導者になる30歳、40歳代の政治家には、自分たちの時代にAIやコンピューターと人間との関係がどうなるか、もっと言えば「人間とは一体何なのか」という根源的な議論をもっとやってほしいと思います。














最終更新:2024年02月12日 20:28