※mono....ここは埴谷雄高著『死霊』についてのページです。ちなみに私も本は持っているが、最初の数ページを読んだきり進んでいない。汗
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● 埴谷雄高〔Wikipedia〕
埴谷 雄高(はにや ゆたか、1909年(明治42年)12月19日 - 1997年(平成9年)2月19日)は、日本の政治・思想評論家、小説家。本名般若豊(はんにゃ ゆたか)。



■ 埴谷雄高『死霊』~「形而上小説」を読む苦役 「趣味的偏屈アート雑誌風同人誌(2015年01月22日)」より
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埴谷雄高が半生を費やして書いた未完の著『死霊』を三ヶ月ほどかけて通読した。「通読」と言うのは初めて第九章まで通して読んだからで、何度か読もうとしてもその度に跳ね返されてきたのだった。さらに言えば今回は最後まで読むことを目的としたので、跳ね返されそうなときには「流し読み」で対抗した。精読しようとする真面目さが通読を阻んで来た要因だと決めつけ、わからないところや繰り返しが多そうな部分はあっさり流すことにしてみた。するとどうだろう。『死霊』の小説技法の特徴がまざまざと浮かび上がってきたのであった。本来の主題に真正面から取り組む真面目さは捨てたうえで『死霊』を概観してみたい。

『死霊』は昭和初期を舞台にして三輪家兄弟が「存在」とは何かを突き詰めていくお話。主要登場人物と章立ては以下の通りで、例によってこの文を契機に『死霊』を読もうという人もいないだろうから、一部ネタバレとなるのをご容赦願いたい。もっとも『死霊』のネタは人物設定などの表層とはまったく関係がないところにあるのだけれども。

(※mono....中略、詳細はサイト記事で)
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『死霊』を読んでいると、読むという行為がサラサラと水のように流れることもあれば、ネッタリと泥にはまったかごとく前に進まないこともある。
サラサラ部分はほぼ客観的記述で物語が進む。第一章の出だしとなる癩狂院の建物の描写や第三章の屋根裏部屋を出たあとの霧に包まれた運河の光景などは、決して美しい文章ではない不器用な表現で描かれる。そのイメージは鮮烈で、作品世界に独自のアトモスフィアを醸し出すことに成功している。客観的と言うからには、ここでは作者が視点を自在に変えながら登場人物とその背景や過去の経緯を物語り、荒い点描画のように絵柄が作り上げられていく。
次第にネッタリしてくるのは主観的独白の繰り返しによる登場人物たちの会話である。会話ならそのキャッチボールから徐々に全体観が立ち上がるのだろうが、『死霊』に出てくる癖の強い男たちは全員揃って一方通行の大遠投ばかりを仕掛けてくる。(※mono....以下略)

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埴谷雄高が亡くなる数年前、NHKが『死霊』の特集番組を制作・放映した。そこではたぶん作品が未完のまま自分が死んでいくであろうことを悟った埴谷が猛烈にしゃべりまくる姿が記録されている。その長時間インタビューを本にしてまとめたのが『埴谷雄高・独白「死霊」の世界』(※)で、埴谷本人による解説書のほうが『死霊』本編よりもよほど興味深く読めるし、想像力を刺激される。
かつてない空前絶後の書に挑んだ気概と半世紀近く書き続けた粘着には敬意を表するものの、『死霊』を読み進める作業はほとんど苦役であった。もはや人生の残り時間の計算に入っている身としては、この三ヶ月の苦役はあまりに勿体無く、『死霊』を読んだという事実以上の感想はない。
多くの人にはおすすめできない書である。(き)

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【参考記事】
■ 日本社会で増殖する「万能感に支配された人々」への大きな違和感 「現代ビジネス(2018.10.5)」より
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当サイトページ【SNS】にも記事転載。


■ 学生時代に読むべき本とは? 埴谷雄高『死霊Ⅰ』 「読書録 本読みの貪欲(2014-05-23)」より
(※mono....前文略)
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 埴谷雄高の『死霊 Ⅰ』を読んでいる。ネット上の「一番偉大な作家は?」「今まで読んで影響を受けた作品は?」という問いの答えとして時々上がっているので気になっていた。

 昨日、郊外の大型書店に行った。どこかで無くしてしまったドエトエフスキーの『悪霊』の下巻(新潮文庫版)を買い直そうと思ったのだ。が、書店で探したところ『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』はあったものの『悪霊』は置いていなかった。書店員さんに尋ねようかとも思ったが、これも一種の運命と思い、代わりに別の本を買うことにした。
 そこで『死霊』を買った。とりあえず第一巻だけ。帯にはこうある。


20世紀の傑作。わが国初の形而上小説。


 読んだ。
 ついさっき読み終えた。

分からない。

 読んでわからない小説、というものがある。私は馬鹿なので、そのような小説にあたることがよくある。「形而上」小説なんて、帯に書いてあるような本を、一読して分かると思った方が間違いだった。
 分からない。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)


■ 死靈 「アンサイクロペディア」より

※-ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディア専門家気取りたちが「死靈」の項目を執筆しています。
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『死靈』(しれい)とは、埴谷雄高(はにや ゆたか)が執筆した中二病研究書である。

概要

そのタイトルからリングなどのようなホラー小説と思われがちだがれっきとした研究論文である。

タイトルはしれい。決してしりょうと読むのではない。ただしれいを変換しても死霊は絶対に出ない。

中二病の症例を分析、分類した研究論文であるが、中二病を抱えるキャラクターによる会話という形式をとっており、凡ての人に解りやすく中二病を理解させてくれる。

ただ登場人物たちが中二病について討論しているだけなのでストーリーなどほとんどないようなものである。pfui。とはいえ彼らは中二病患者同士の対話の中でその治療法を見つけたりもしているため医学書としての一面もある。

Ach、ただし、読む者の精神状態や読んでいる状況によっては中二病を理解するどころか、逆に中二病に罹患してしまう恐れがあるので注意しなければならない。

埴谷雄高の病死によって研究の完成をまたずに終わってしまったが、最終的には釈迦やイエス・キリストをはじめとする歴史上の偉人達の中二病の分析も行う予定であったらしい。

影響

主人公三輪與志とその婚約者津田安壽子を取り巻く人々による中二会話なので日常系ライトノベルとして読むこともできる。登場人物のかっこいい言葉は後の中二病をテーマにした作品のライトノベルやゲーム、アニメに多大な影響を与えた。

また特徴的な語尾でキャラづけをする、かっこいい単語の羅列にかっこいいカタカナのルビ打つなども後の作品に多大な影響を与えている。

読む時間

太陽が昇っている時間は望ましくない。夜それも人の寝静まったような静かな時間をお勧めする。

読む時間帯を誤ると前述のように中二病に罹患する恐れがある。

(※mono....以下、登場人物・あらすじに関してはサイト記事で)


■ 死霊(1)(講談社文芸文庫)/講談社 「文学どうでしょう(2013年05月12日)」より
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埴谷雄高は、日本文学史的に言うと、野間宏(『真空地帯』など)や武田泰淳(「ひかりごけ」など)らと共に、第一次戦後派に位置づけられる作家です。

その代表作であり、「形而上小説」(思想そのものを描いたような小説)と言われるほどの、哲学的な内容を含んだ大長編『死霊(しれい)』は、戦後文学、いや日本文学の金字塔的作品。

ところが、この作品は極めて難解なことでも知られていて、はっきり言って、基本的には近付かないのが吉です。ぼくも何回か読みましたが、正直よく分からない部分が多かったりもします。

ただ、実は『死霊』は、そもそも完結していない作品なんですね。自序にはこの小説は5日間の出来事だと書かれていますが、3日目にさしかかった所までで終わっているんです。

作者の構想がどの程度まで書かれていたか分かりませんから、そう言った意味では、分からなくてもいいんだという、もう開き直った気持ちで読むとよいですよ。完璧に理解出来る人などいないはずなので。

『死霊』がどういう話かと言うと、フョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』にかなり近いスタイルの作品です。

(※mono....途中ちょっと略)
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『死霊』の主要な登場人物である三輪与志という青年は、「自同律の考究」という論文を書いたりして、つまりはそんなことをずっと考え続けているわけです。

これが『死霊』で大きく扱われている二つのトピックの内の一つ、「自同律の不快」です。

「AはAである」ということを哲学的には自同律(同一律とも)と言うのですが、自己の“存在”つまり「ぼくはぼくである」ことに疑問を感じたりそれを否定しようとすると、とんでもないことになります。

「自同律の不快」から、”存在”を越えていくためには、様々な物質によって出来上がっている現在の宇宙自体が、作り直されなければならないから。

実体ではない、未知のものである”虚在”を作り出すための、未出現の宇宙のようなものが、『死霊』で大きく扱われている二つの大きなトピックの内の一つ、「虚体」です。

『死霊』は、今取り上げた二つのトピック「自同律の不快」と「虚体」について、複数の登場人物の言葉で、延々と語られていく物語なんですね。

(※mono....途中ちょっと略)
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おすすめの評論・研究

『死霊』は未完の作品ですし、内容的にもとにかく難解なので、読んでみたいけど、何らかの手引き書が欲しいなあという方も多いことでしょう。そこで、おすすめの本を3冊ほど。

作中で語られている哲学的な内容について、より詳しく知りたいという方におすすめなのが、鹿島徹『埴谷雄高と存在論 自同律の不快・虚体・存在の革命』です。



ある程度、哲学的な教養があった方が理解しやすいですが、存在論など哲学的な側面について、丁寧かつ易しく書かれています。哲学に馴染みのない方でも、わりと楽しめる一冊だろうと思います。

『死霊』の原稿は、どのように加筆・訂正され、その後はどう書き続けられていく予定だったのか、そんな所に興味のある方には、川西政明『定本 謎解き『死霊』論』がおすすめ。



編集者時代に埴谷雄高の作品集などを手がけた川西政明による論考なだけあって、目から鱗というか、納得させられる部分がかなり多かったです。

上の2冊もそれぞれ切り口が独特で面白いですが、初めて『死霊』を読む方にぼくが特におすすめしたいのが、『埴谷雄高独白「死霊」の世界』です。


NHKのテレビ番組での、作者のインタビューが元になった本なのですが、この本には3つの大きな魅力があります

(1)作者のインタビューで、作品がいかに書かれたかの経緯、まだ書かれていない部分について、どういう構想があるか語られていること。

(2)白川正芳による『死霊』のあらすじ、登場人物一覧が収録されていること。

(3)『死霊』について、現在までに書かれた評論・研究の変遷と、リストが収録されていること。

作者が自作について語ることに、どの程度信頼を置くかという問題はありますが、何しろ未完の小説なので、インタビューで語られていることは、かなり読解の助けになります。

また、収録されているあらすじと登場人物図は非常に便利で、作品を読み進めながら、もしも止まってしまうようであれば、この本で確認しつつ読むとよいかと思います。

論文についての変遷とリストが収録されているのもいいですよね。深掘りしていきたいトピックが見つかったら、実際にその論文に目を通してみてください。

そうすれば、『死霊』の不思議な世界をより楽しめるようになるはずですよ。














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最終更新:2018年10月08日 12:22