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■ 都市景観をお金に換えられない残念な国「ニッポン」 「Newsweek[経済ニュースの文脈を読む:加谷珪一](2018年11月27日(火)14時35分)」より
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京都市の建物の高さ規制緩和の議論は全国的にも話題に(写真はイメージ) electravk-iStock

<文化財の保存と経済的利益の両方を追求できることこそが先進国の特権なのに、日本には、経済的なソフトパワーについて議論する余力などとっくにない...!? >

京都市が、歴史的景観の保全を目的とした建物の高さ規制について、緩和する方針を打ち出している。オフィスや住宅の開発を促進することが目的だが、景観の保全を重視する住民からは反対の声が上がっている。

古都である京都は、多くの人がその文化的価値について認識しているので全国的な話題となっているが、容積率の緩和で都市景観が激変する現象はすでに全国各地で起こっている。

都市景観は長期的に見れば貴重な財産であり、利益を生み出す源泉にもなるので、本来であれば多くの議論を重ね、再開発する場合には高度な戦略性が必要となる。諸外国ではコストをかけることで古い景観を残しつつ、新しい開発を進めるという事例も珍しくないが、経済的に貧しくなった日本ではこうした議論をする余裕がなくなりつつある。

景観の激変はすでに全国各地で進んでいる

(※mono....詳細略)

地震大国だから古いビルを維持できないというのは一種の思考停止

(※mono....詳細略)

新興国は法外な値段でも文化的価値が高いモノを欲しがる

(※mono....詳細略)

廃墟だった発電所をそのままリニューアル

ロンドンではテムズ川のほとりに廃墟として放置されていた発電所をリニューアルし、大規模なオフィスやレジデンスとして再利用するプロジェクトが進められている。

発電所として稼働していた当時の状況が随所に残されており、ボイラー室だった場所には米アップルが英国本社を構える予定となっている。建物の保全との折り合いで開発は難航したが、マレーシアの投資家の資金を得たことで、プロジェクトは実現の運びとなった。

先進国は、工夫次第でこうした「オイシイ」ビジネスをすることが可能であり、文化財の保存と経済的利益の両方を追求できる。これこそが先進国が持つ最大の特権といってよいだろう。容積率を一方的に緩和し、景観を壊しながら新しいビルを建設するよりも、はるかに利益の大きいスキームを構築することは日本でも不可能ではないし、それを考え出す知恵こそが本来は求められている。

もっとも筆者は、日本でもこうした知恵が生かされ、美しい都市景観が保持されるとはあまり思っていない。

日本経済の弱体化は想像以上に進んでおり、ソフトパワーについて議論する余力はすでになくなっているというのが現実だろう(というよりも最初からなかったのかもしれない)。筆者のオフィスの近くでは、目立った特徴のない巨大ビルの建設が今日も進められている。
















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最終更新:2018年12月05日 09:19