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★☆ バー米司法長官が提出した捜査報告書の概要全文 「日本経済新聞(2019/3/25 7:16)」より
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親愛なるグラハム委員長、ナドラー委員長、フェインスタイン議員、コリンズ議員

3月22日金曜日に提出された報告書の補足として、モラー特別検察官の報告に対する私の最初のレビューを伝える。

▼特別検察官の報告書


金曜日に特別検察官は私に「起訴または不起訴の判断についての機密報告書」を提出した。報告書のタイトルは「2016年大統領選におけるロシアの介入に関する調査報告書」だ。私はレビューを続けているが、報告書について説明し調査結果の概要を示すことは公衆の関心事だと考える。

報告書によると、特別検察官と調査担当者は、トランプ大統領の選挙に関わったメンバーがロシア政府と共謀して16年の大統領選を妨害した、また連邦政府の捜査を妨害したという申し立てについて徹底的に調査した。特別検察官は19人の弁護士を雇い、捜査に協力する米連邦捜査局(FBI)捜査官、情報分析官、諜報アナリスト、会計士ら約40人のチームが補佐した。特別検察官は2800件を超える召喚状と約500件の捜査令状を発行し、230件を超える通信記録と約50件の筆記録を入手した。外国政府に対して証拠集めのための13件の請求を行い、約500人の証人にインタビューをした。

捜査に関連した個人および団体に対する多数の起訴と有罪判決はすべて公開されている。特別検察官は捜査過程でいくつかの問題について追加措置を取るよう他の事務所に引き渡した。報告書はそれ以上の起訴を勧告せず、特別検察官は公開されていない起訴状を取ることはなかった。以下に、報告書で述べられた主な結論を概説する。

▼2016年大統領選へのロシアの介入


特別検察官の報告書は2つの部分に分かれている。第1に、2016年米大統領選でのロシアの介入についての特別検察官の捜査結果を記述している。報告書は選挙に影響を与えるためのロシアの試みを概説し、これらの試みに関連してロシア政府に関連する人物らによる犯罪を立証している。報告書はさらに、特別検察官の捜査のための主要な考慮事項は、選挙に影響を与えるためのロシアの陰謀に米国人が加わったか―トランプ氏の選挙活動に関わった個人を含む―であり、これは連邦犯罪になるだろうと説明している。特別検察官の捜査は、トランプ氏の選挙活動やそれに関わった人物らが16年の米大統領選に影響を与えるための試みについて、ロシアと共謀、調整したと判定しなかった。報告書はこう述べている。「捜査ではトランプ氏の選挙陣営が選挙への介入活動でロシア政府と共謀したり調整したりしたことは立証していない」(注)

特別検察官の捜査は、ロシアによる16年の選挙介入で2つの主な試みがあったと決定付けた。1つ目はロシアの組織インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)による最終的には選挙を妨害することを目的とした米国での偽情報の流布と、社会的不和を生み出すためのソーシャルメディア活動の試みだ。上に記したように、特別検察官は複数のロシア人や団体を米選挙への介入容疑で起訴したが、米国人やトランプ氏の選挙陣営、その協力者らがIRAと共謀したり故意に調整したりしたとは判定しなかった。

2つ目の要素は、選挙に影響を与えるための情報を収集し広めることを目的とした、ロシア政府によるコンピューターハッキングの活動を含んでいる。特別検察官は、ロシア政府関係者がコンピューターにハッキングし、クリントン氏の選挙陣営と民主党の組織に所属する人々からEメールを入手し、ウィキリークスを含むさまざまな仲介者を通じて一般に広めたことを明らかにした。これらの活動に基づいて、特別検察官は選挙に影響を与える目的で米国内のコンピューターに侵入することを企てたとして、多数のロシア軍関係者に対して刑事訴訟を起こした。しかし上述したように、トランプ氏の選挙活動を支援するというロシア関係者からの複数の申し出にもかかわらず、特別検察官はトランプ氏の選挙陣営やそれに関連する誰かがロシア政府と共謀、調整したとは判断しなかった。

▼司法妨害


この報告書の第2部では、特別検察官が司法妨害の恐れがあるとして捜査した大統領による多数の行動―その行動の多くは報道されている―を取り上げている。

これらの問題について「徹底的な事実調査」を実施した後、特別検察官は訴追か不起訴を決定する部門の基準に基づいて大統領の行為を評価するかどうか検討したが、最終的に伝統的な検察による判決を下さないことを決めた。

したがって特別検察官は調査した行為が妨害を構成していたかどうかについて、何らかの形の結論を出さなかった。その代わり、報告書は調査された関連の行動について両側の見方を提示し、特別検察官が法の「困難な問題」として考え、大統領の行動と意図を妨害とみなすことができるかについて検討していたものを未解決のまま置いておくことにする。

特別検察官は「この報告書は大統領が罪を犯したと結論づけるものではないが、彼の無実を証明したものでもない」と述べている。法的な結論に達せず、妨害に関する捜査の事実を説明するという特別検察官の決定は、報告書に記載された行為が犯罪であるかどうかを判断することを司法長官に任せるものだ。

調査の過程で特別検察官のチームは司法妨害の捜査で問題となっている多くの法律上、事実上の問題に関して、特定の省の職員と話し合った。

これらの問題に対する特別検察官による最終報告書をレビューし、司法省の法律顧問局を含む省職員とも相談した後、起訴不起訴を決める連邦検察の原則を適用した結果、私とロッド・ローゼンスタイン司法副長官は特別検察官の捜査の間に見つかっていった証拠は大統領が司法妨害の罪を犯したと確証を持つには十分ではないという結論に到達した。

私たちの決定は、現職の大統領に対する起訴と刑事訴追を取り巻く憲法上の配慮を考えに入れずに下したものだ。

この決定を下すにあたり、私たちは特別検察官が「証拠は大統領がロシアの選挙干渉に関する潜在的な犯罪に関与したことを示していない」と認識していること、また決定的ではないが、そのような証拠が存在しないことは司法妨害に関する大統領の意図に関係することに留意した。

一般的に言って、司法妨害の有罪判決を得て、その判断を持続させるためには、政府は不正な意図を持って行動している人が、継続中または予定されている訴訟に十分な関連性を持って妨害的な行為をしたことを合理的な疑いを超えて証明する必要がある。

多くが世間の目にさらされた状態で起きた大統領の行動を整理していく中で、報告書は私たちの判断では、妨害行為を形成するいかなる行動も係争中にまたは企図されている手続きと関連性がある行為を特定していない。不正行為者に対する訴訟は実行されなかったが、そのいずれもが不当な疑義を超えて司法妨害違反を立証するために証明される必要がある。

▼司法省による報告書レビューの状況


関連規則は特別検察官の報告書が、公に公開されないことが前提の「機密報告書」であると考えている。しかし、すでに述べたように、今回の事案が公益に資すると認識している。私がめざしているのは、適用できる法律、規制、そして司法省の指針と一致する範囲で特別検察官の報告書を公開することだ。

特別検察官との議論や私の最初のレビューでは、報告書は連邦刑事訴訟規則に抵触、または抵触しうる内容を含んでいるのは明らかだ。連邦規則は犯罪調査や起訴手続きにかかわる起訴陪審の情報の公開を制限している。連邦規則によると、厳しい制限を超えて公開することは、特定の状況下において犯罪となる。

こうした制限は起訴陪審手続きの公正さを担保したり、非常に優れた起訴陪審の調査権限が、意図された刑事司法機能のために使われることを保証したりするためだ。

今後の手続きは司法省がどれだけ迅速に公にできない情報を識別できるかにかかっている。情報の精査で特別検察官に支援を要請した。これとは別に進行中の事案に影響しうる情報も見分けなければならない。こうした作業をなるべく早く終えた上で、何が公表できるのか法律や規則、司法省の指針に照らし合わせて、すみやかに決めたいと考えている。

(注)潜在的な共謀の容疑を査定する際に、特別検察官はトランプ氏の選挙陣営がロシアの選挙妨害活動と「調整(coordinate)」したかどうかも検討した。特別検察官は「調整」を「トランプ氏の選挙陣営とロシア政府の間の、選挙介入に関する(暗黙的または明示的な)合意」と定義した。

司法長官 ウィリアム・P・バー
















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最終更新:2019年03月25日 13:57