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★■ 米NYタイムズ、嘘報道でイラク戦争起こし多数の犠牲者…嘘のロシア疑惑で政権批判も 「Business journal:木村貴「陰謀論のリアル」(2019.04.17)」より
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 2016年の米大統領選でトランプ陣営がロシア政府と共謀して得票を不正に操作したという「ロシア疑惑」は実際にはなかったことが、モラー特別検察官の捜査によって結論付けられた。2年以上にもわたって大手メディアが振りまいてきたロシア疑惑報道は、フェイク(偽)ニュースだったわけである。

 バー米司法長官は3月24日、ロシア疑惑について捜査結果の概要を公表した。モラー特別検察官の捜査で、トランプ大統領の選挙陣営がロシアと共謀した疑惑を裏づける証拠は見つからなかった。

 2017年5月にモラー特別検察官による捜査が始まってから、今年3月末で22カ月。実際には2016年10月、米国土安全保障省が大統領選挙においてサイバー攻撃による妨害が行なわれていたことを認める声明を出し、ロシア疑惑に火がついた。この間、実に2年以上にもわたり、メディアは洪水のように大量のロシア疑惑報道を流してきた。大半はトランプ氏側を「クロ」と決めつける内容だ。

 しかし、それらの報道は、前回の本連載でも指摘したように、いずれも根拠に乏しいものだった。ワシントン・ポスト、CNN、NBC、ABC……。米国を代表する大新聞やテレビが誤報や問題のあるニュースを連発した。それにもかかわらず、トランプ陣営がロシアと共謀したという疑惑そのものは、あたかも事実であるかのようにメディア上で語られてきた。

 今回の捜査結果によって、大手メディアが争って伝えてきたロシア疑惑そのものに証拠がなかったことが明らかになった。報道機関の存在意義すら問われかねない、由々しき事態といわざるをえない。一体なぜ、このような事態を招いてしまったのだろうか。

(※mono....以下副題のみ、詳細はサイト記事で)
政府の情報に頼りすぎる危険
ジャーナリズムの敗北

★☆ バー米司法長官が提出した捜査報告書の概要全文 「日本経済新聞(2019/3/25 7:16)」より
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親愛なるグラハム委員長、ナドラー委員長、フェインスタイン議員、コリンズ議員

3月22日金曜日に提出された報告書の補足として、モラー特別検察官の報告に対する私の最初のレビューを伝える。

▼特別検察官の報告書


金曜日に特別検察官は私に「起訴または不起訴の判断についての機密報告書」を提出した。報告書のタイトルは「2016年大統領選におけるロシアの介入に関する調査報告書」だ。私はレビューを続けているが、報告書について説明し調査結果の概要を示すことは公衆の関心事だと考える。

(以下略、詳細はサイト記事で。当サイトでは別ページにて保存。)


★ トランプ大統領が勝利宣言-ロシアと共謀なしとモラー特別検察官 「Bloomberg(更新日時 2019年3月25日 9:43 JST)」より
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【概要】
司法長官:司法妨害の立証には証拠不十分-特別検察官は結論出さず
共謀も司法妨害もなかったと大統領、民主党は報告書全文の開示要求

2016年の米大統領選に対するロシア介入疑惑を捜査したモラー特別検察官は、トランプ陣営とロシアとの共謀の証拠はないとする一方、トランプ大統領による司法妨害の可能性に関しては潔白であるかどうか結論を出さなかった。特別検察官が先に司法省に提出した報告書の内容として、バー司法長官が24日に明らかにした。バー長官自身は、捜査で得られた証拠では司法妨害を立証できないとの判断を示した。

  バー長官は議会への4ページの書簡でモラー氏の報告書について、司法妨害の「問題の双方の側面について証拠を見つけ」ており、「特別検察官が法律上の難題とした部分は未解決となっている」と説明。同報告書でモラー氏が「この報告書はトランプ大統領が罪を犯したと結論付けていないが、大統領の潔白を証明するものでもない」と判断したことを明らかにした。

  しかしバー長官は、自分とローゼンスタイン司法副長官は「特別検察官の捜査で得られた証拠は、大統領が司法妨害を行ったと立証するには不十分との結論に達した」と同書簡に記した。

  トランプ大統領は同報告書によって共謀と司法妨害という自らの地位を脅かしかねない2つの疑いが晴れたと受け止めた。ただ議会民主党はこれらの問題に関して有罪か無罪かを決定する権限を主張している。

「潔白が証明された」

  トランプ大統領はバー長官の書簡公表の約1時間後、「共謀はなく、司法妨害もなかった、完全かつ全面的な潔白が証明された」とツイートした。またフロリダ州パームビーチで記者団に、「違法テイクダウン(タックル)は失敗した」と語った。

(※mono....以下略、詳細はサイト記事で)

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★ ロシア疑惑、特別検察官の捜査が終結 司法長官に報告書提出 「CNN(2019.03.23 Sat posted at 09:59 JST)」より
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ワシントン(CNN) 米司法省は22日、マラー特別検察官による捜査が終結し、マラー氏がバー司法長官に捜査報告書を提出したと明らかにした。マラー氏はロシアの米大統領選介入やトランプ陣営とロシアの共謀、司法妨害の疑惑を調べていた。

22カ月に及んだ捜査では37人を起訴。7人が罪を認め、1人は公判で有罪となった。司法省高官は、特別検察官によるこれ以上の起訴はないとしている。

バー氏は議会宛ての書簡で、マラー氏から機密扱いの報告書の提出を受けたと明らかにした。報告書ではマラー氏のチームが捜査対象とした人物の起訴、不起訴の判断について詳しく説明されているという。

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★ ロシア疑惑の捜査終了 米司法省、週末にも議会報告 「日本経済新聞(2019/3/23 6:09 - 2019/3/23 7:20更新)」より
(※mono....前半略)
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サンダース大統領報道官は22日、「今後の段階は司法長官に委ねられる。ホワイトハウスは報告書の内容を説明されていない」とする声明を発表した。報告書がトランプ氏の不正行為を認定していれば、トランプ氏の弾劾につながる可能性があり、政権の命運を左右する。

モラー氏は米連邦捜査局(FBI)元長官で、2017年5月に特別検察官に就任した。16年の米大統領選でトランプ陣営とロシアが共謀した疑惑を捜査。疑惑の捜査をトランプ氏が妨害した疑いも捜査対象とした。トランプ氏に犯罪行為が見つかれば議会下院が同氏の弾劾に踏み切る可能性がある。
+ 続き

米メディアによると、モラー氏はこれまでに37個人・団体を起訴した。トランプ陣営で選対委員長を務めたポール・マナフォート被告や陣営元顧問のロジャー・ストーン被告、トランプ氏の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告といった元側近が含まれる。ロシアについては、大統領選に干渉した軍情報機関員やインターネットで偽情報を拡散した組織が起訴された。

捜査ではロシアとの共謀が疑われる事例が明らかになった。16年6月、トランプ陣営幹部は大統領選のライバルだったヒラリー・クリントン元国務長官に不利な情報を持ちかけたロシア人弁護士と面会した。不正に入手した情報などを提供されていれば、外国人からの選挙支援を禁じる連邦法違反になる可能性がある。

捜査妨害については、トランプ氏が17年5月に当時のコミーFBI長官を解任した件が焦点だ。特別検察官がトランプ氏に捜査を妨げる意図があったと認定すれば罪に問われかねない。初期段階のロシア疑惑の捜査を指揮したコミー氏によると、トランプ氏は捜査の打ち切りを求めていたという。
今後の焦点は、バー司法長官が捜査報告書をどの程度まで議会に開示するかに移る。バー氏には全面公開する義務はない。司法省には、現職大統領を起訴しない慣習があり、不起訴の人物の捜査結果は原則として開示しない。トランプ氏の弾劾の可能性を探る野党・民主党にはトランプ氏の「不正行為」が隠蔽されるとの懸念が広がる。

トランプ氏に対する不信感が米国民の間で高まれば、20年の大統領再選をめざす同氏にとって逆風になる。政権・与党と野党の対立が激しくなれば、法律制定や予算成立で協力する機運が乏しくなり政策の停滞に拍車をかける懸念もある。トランプ氏はロシア疑惑の捜査を「魔女狩りだ」「でっちあげ」などと厳しく非難してきた。


CIA
■ 元CIA諜報員が明かす、ロシアに取り込まれたトランプと日本の命運 「2018年5月23日(水)18時30分 ニューズウィーク日本版」より
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<ロシアの諜報活動を知り尽くした元CIA諜報員が分析するロシアの浸透力とトランプを取り巻く疑惑の本質、そして日本への影響とは>

2016年11月、ほとんどのメディアの予想を覆す形でアメリカ大統領に当選して以来、ドナルド・トランプはアメリカの内政と外交をこれ以上ないほど揺さぶって来た。公約だったTPP(環太平洋経済連携協定)やイラン核合意からの離脱をあっさり実行する一方、長く膠着状態していた北朝鮮の核・ミサイル問題では、金正恩・朝鮮労働党委員長を歴史的米朝首脳会談の場に引っ張り出そうとしている。

一方、日本ではほとんど忘れられているが、アメリカ国内ではロシア側による大統領選への工作活動や、トランプの側近や家族のロシア側との不適切な接触に関する疑惑「ロシア・ゲート」がまだくすぶっている。今年11月には連邦議会の中間選挙が行われるが、上下院とも過半数を制している共和党がよもや過半数を失うことになれば、政権運営に致命的な影響が出る。選挙の趨勢を決めるカギの1つが、ロバート・ムラー特別検察官によるロシア・ゲート捜査だ。

大統領選の早い段階から、ロシア・ゲートがトランプのアキレス腱だと指摘してきた本誌コラムニストで元CIA諜報員のグレン・カールが5月中旬に来日。東京の日本記者クラブで記者会見を行った。冷戦終結前から旧ソ連・ロシアの諜報活動を知り尽くした彼が分析するロシア諜報機関の浸透力とトランプを取り巻く疑惑の本質、そして日本への影響とは。


(以下、会見内容の抜粋)

<今日のゲストはグレン・カールさん、現在はニューズウィーク日本版コラムニストですが、これまではCIAのオペレーション・オフィサーをされていました。本日は、アメリカで大きなニュースとなっているロシア・ゲート、ロシアの大統領選介入疑惑がアメリカの外交や内政に与えている影響などについて冒頭お話しいただいて、質疑に移りたいと思います。CIAの方としては、これまで1979年にウィリアム・コルビーさんが元CIA長官として(日本記者クラブに)お越しいただいたことがあります。あとは情報機関としては、イスラエルのモサドの元長官が記者会見をされています。私は本日の司会の共同通信の杉田(弘毅・編集委員室長)です。それではカールさんよろしくお願いします。>

ご紹介ありがとうございます。私も駆け出しのころ、コルビー長官と会ったことがあります。彼ほど輝かしい経歴は残せませんでしたし、質と言う点では違うかもしれませんが、同じように率直に、腹蔵なく物を語る人間でもあります。またフィクション小説の世界でジョン・ル・カレという作家がいて、彼はステレオタイプ的にCIAなどの諜報機関を退役した人間を描いています。ニューイングランドに住みついて、有機トマトを栽培するが過去からは逃れられない......そういう人間が彼の小説には出てきますが、私がまさにその典型と言えるのかもしれません。ニューイングランドに住んでいますし、トマトの有機栽培もしている。そして、今でもこのようにロシアの諜報活動について語っています。

ル・カレの小説では、退役した諜報機関員は悪い運命にさらされていくのですが、私はそうはならないように願っています。私自身はこの2年ほど、ロシアの諜報機関がアメリカの大統領選に介入し、トランプの取りまきに取り入っていると発言してきました。私は公の場で発言した初めての人間です。なぜ今日、私がここに座っているかと言いますと、この2年あるいは2年半ほどの間、ロシアの情報機関がトランプのビジネス関連の取り巻き、そして家族にも食指を伸ばしてきたことを非常に心配してきたからです。それが1点目。2点目は、ロシアがより広くアメリカ世論、アメリカの選挙への干渉という形でさまざまな諜報活動を展開している、ということです。

アメリカでは、選挙にもトランプにもロシアが関与していた、ということは党派を分かつ問題になっていますが、諜報機関員であればだれでも私と同じような反応をしただろうと確信します。いろいろな情報源からロシアの諜報機関の関与している、という明らかな兆候が見て取れる。私なりの評価、そしてなぜ私がそのような結論にいたったのかについて説明しますと、まずロシアの選挙への介入はここで議論する必要がないほど明明白白です。その多くは共和党ですが、トランプを擁護する人たちはこう言います。「多くの国、多くの諜報機関がアメリカの選挙に介入しようとしているじゃないか、アメリカも同じようなことをやっているのに、なぜことさらそのことを取り上げるのか」と。確かにその通りで、私が見るところ歴史上もっとも成功した例は第二次大戦前にアメリカの参戦を取りつけるための諜報活動をアメリカで展開した大英帝国です。ただ、今回のロシアの介入の度合い、規模、成功度はアメリカに敵対するケースとしては前例がないレベルだと言えます。

2点目ですが、軍の組織か文官の組織かはっきり証明できないですが、ロシアの諜報機関がトランプの陣営に何百回も接触したという証拠が残っています。記録に残されただけで400回以上。名前を知られた情報機関の人間が家族、取り巻き、そしてトランプ自身に接触したのです。

3つ目に、こういったロシアの活動は選挙に影響を与え、実際に効果を上げたということが言えます。1つ証拠もしくは指標として上げられるのは、トランプが選挙戦を展開する前、共和党員の90%以上がロシアを敵国と見なしていたのに、選挙後トランプがロシア支持を言い続け、ロシアに不利な形で政策を変えることを拒否し続けたこともあって、30%から40%の共和党員がロシアに好意的な態度に変わった、ということです。これは史上初めてのことで、唯一の説明として考えられるのは、ロシアの諜報機関の活動の結果そうなった、ということです。



ではなぜロシアはそんなことをするのか、何が目標か。私自身もCIAのキャリアの間でロシア側のカウンターパートと何度も接触した経験を持っています。1989年の後もです。冷戦後、ロシアの様々な活動の手順、態度、政策は変わりませんでした。アメリカとの関係ではゼロサムゲームで物事を見る。アメリカにとって悪いことは何でもロシアにとっていいことなのだ、と。バカげていると思うかもしれませんが、彼らはずっとそういう態度を取り続けたのです。

彼らはどういう目的をもっていたのか。彼らは一貫して次のことを追い求め続けました。この3年を振り返ってみても、すべての面で成功していると言えるかと思います。それはアメリカの政治制度の効率性を低下させるということ。ロシアに挑戦する、アメリカの利益を増進する能力を削ぐ、ということ。アメリカの国民の間で政府や政治制度に対する不満を高まらせる、ということ。アメリカの民主主義、民主主義全般の機能を低下させ、逆にロシアのような権威主義、全体主義を成功に導くこと。アメリカをヨーロッパからもNATOからも引き剥がし、EUをはじめとする世界の同盟国から分離させること。第二次大戦後につくられたパックス・アメリカーナなどの国際的規範を損なうこと。逆に、ロシアにとっての影響圏、国際秩序を大きく高めていくこと。とりわけヨーロッパや中東への影響力を高める。そしてすべての面においてロシアは成功したと思います。

何がその結果起きたのか。それが日本の利益ひいては日米関係にどのような影響を及ぼすのか、ということですが、ロシアがさまざまなキャンペーンを繰り広げ、トランプ自身もロシアとは別に自分の立場からいろいろ発言するようになったことがあいまって、結果的にアメリカはますます重商主義、孤立主義、ナショナリズム、一国主義の道を突き進み、これまでの同盟関係を破壊する方向に向かっています。世界は大きく変わりつつあります。主に中国の台頭によって、アメリカはその覇権的地位を失いかけていました。そのスピードはロシアの動きによって劇的に加速しています。おそらく40年ぐらいかけて起きるはずだったことが、たった2年で起きている。日本は1945年以来初めてと言っていいぐらい、中国の台頭に対しても世界秩序の崩壊に対しても一国で、自らの力だけで臨んでいかねばならない。そういう立場に追い込まれていると思います。

次に、なぜ私がこのような見方をするようになったのか。その経緯について説明したいと思います。皆さんにとっても関心のある、ユニークな話だと思います。2年半前のことですが、私はCIAを退職し、その後、物書きの仕事をしたり、教鞭をとったり、大統領選もウォッチしていました。一生を諜報機関に捧げた人間としてトランプの選挙戦に非常に関心を持っていたのですが、いかにトランプが諜報機関の工作員なら絶好の標的になる弱みだらけの人間であるかがすぐに目につき、また仰天しました。諜報機関の人間は人の弱みにつけこみ、それを利用するのが仕事です。トランプのプロフィールは諜報機関員の目に教科書通り、あるいはマンガのように弱みだらけの人間に映ります。これはとんでもない、公に記事を書いて国民に警鐘を鳴らさねばならないと、気付きました。

私が記事を書けば、党派的な人間だと非難を受けるに違いないと思いました。共和党あるいはトランプに敵対的なオバマ支持者と決めつけられるに違いない、と。私はオバマに投票しましたが、しかし私の評価や反応は党派的なものではありませんでした。私は書く記事が受け入れられるようにするためには、非難を受けないためにはどうしたらいいか考えました。そこで私は戯画化した、非常に皮肉な視点で記事を書くことを思いつきました。ロシアの諜報工作員になりきって、ロシアの本部に「自分はトランプのこういう弱みを把握しているのだが、どう利用したらいいか?」と聞いて本部の指示を待つ、という書き方です。それでも私は心配だったので、雑誌に記事を送る前に同僚に送って反応を見ました。この同僚の名前は伏せますが、いろいろな国とコネクションを持っている人物です。

通常、彼と電話で話すことは一切なく、Eメールだけで済ませるのですが、この人は翌朝すぐに電話をかけてきて、「君は気が付いていないかもしれないが、記事は事実をとらえた、的を射たものだ」と話してくれました。確か2016年の1月のことだったと記憶しています。彼はヨーロッパのさまざまな国の諜報機関と常にコンタクトを取っている人間ですが、フランス、イギリス、ドイツ、オランダそしてバルト諸国の一国の諜報機関から、それぞれ報告が届いている、と。ロシアの諜報機関の工作員がトランプの取り巻きや家族、そしてトランプ自身ともモスクワで接触している。そういう情報が続々入っている、ということを話してくれたんです。

私自身もCIAに所属していたころは何百人、何千人という人間と接触してきました。相手は私が諜報機関の人間と気付いていない、ということも多々ありました。ある人間がCIAやKGB、FSBの職員と会ったからと言って、意識的に協力するつもりがない、ということもあると思います。しかし、工作員の側は目的を持っています。でなければ接触をしてこない。ヨーロッパ各国の諜報機関からどんどん情報が入って来る。記録に取られただけで400回以上、名前を知られたロシアの諜報機関の人間や関係者がトランプの取り巻きや家族、トランプ自身と会っているという事実が浮かび上がって来たのです。統計的な確率から言って、それだけの回数がたまたま偶然あるいは無意識に、ということはありえません。



その後、いわゆる「スティール文書」が公開されました。この人(編集部注:MI6〔英国情報部国外部門〕元職員のクリストファー・スティール)は英国の諜報機関にいた人で直接は知らないが、いろいろな人に聞いた評判だと完璧な人間、ということです。その報告書の中に私自身が認識し、聞いた情報が書かれていたのです。私自身がそういったことを知るようになったのは2016年の1月ですが、この文書が公開されたのは10月でした。ところが、この文章が出てもトランプの支持者や共和党は一貫して「うわさに過ぎない」「不公正な攻撃だ」と言い続けていたわけです。しかしその後、その文章に書かれていたことが1つ、また1つと裏付けられました。どの点を取り上げても反駁の余地がないほど裏付けられているのです。

さらに、その裏付けとも言えるのは死者が出ている、ということです。少なくとも1人、おそらくは4人ではないかと思われるのですが、クリストファー・スティールの報告書の情報源と言われた人たちが死んでいる。このことは異例と言わざるを得ない。

西側の諜報機関に名前を知られているロシアの工作員のトランプ陣営への接触ですが、表面的な調査や公開されている情報だけでも、何億ドルものカネがロシアのオリガルヒからトランプ陣営に流れ込んでいることが分かっています。たとえばトロントのトランプタワーは破綻の瀬戸際にありましたが、そのうち3億5100万ドル分が返済不能に陥るかもしれないほんの数日前に、ロシア系カナダ移民がトランプのところにやって来て、「素晴らしい物件だから私が保証する」と、パッと払ってくれたことがありました。同じような動きがあちこちで見られました。たとえば、メキシコにもトランプは物件を持っているのですが、同じようなことが起きています。彼はフロリダに彼は2000万ドルを払って家を買ったのですが、買った直後にロシアのオリガルヒに9000万ドルで売り払っています。1日も彼はそこに住まなかったんですよ。このロシア人はバカだったのか寛大だったのか分かりませんが、それだけの高額で買い取ったということです。これは資金洗浄に当たるのかもしれません。法的な位置付けがどうか私には分かりませんが。こういうことが多々明るみに出てきています。

私は記録に取られたロシアの工作員との接触の回数に最初に目を付けた人間の1人だと思いますが、気が付かなかったことがありました。ロシアがより大々的にキャンペーンを張って、アメリカの選挙そのもの、つまりアメリカの世論操作を大々的にやっていた、ということです。これも次々に証拠が挙がっています。体系だった形で、非常にショッキングなほどアグレッシブにロシアの諜報機関の情報操作あるいはアメリカの有名人物の利用、アメリカ政府そのものと同盟国の地位を損なう動きが大々的にあったということに、その時は気が付いていなかったのです。そのことが世界のこれまでの規範ベースの秩序や制度を終焉に近づけています。

最後に一つだけ付け加えて質問を受け付けたいと思います。諜報機関や工作員がどのように活動を展開するか。やり方はいくつかありますが、1つは完全に秘密裏に行うことで、誰にも知られずに通すということがあります。一方で、隠すがある程度はあからさまに、堂々とやる。真実をすべて言うわけではない、一部だけ真実を言っておく。そういう隠し方もある。たとえば、相手国の諜報機関の人間と会ってコーヒーを飲んでも、「相手はだれか知らない」と言っておけばいいのです。すべて秘密裏に情報を受け取っているのですが、「相手と会った」ということだけを事実として明かすということは私もよくやっていました。

ロシアもまさにそういうことをやったわけです。「トランプとは確かに何度も接触しているが、しかし合法的だ。中傷されることは一切していない」と開き直ったわけです。一度は国民も疑問を持ったと思いますが、堂々と言われてしまうと納得してしまう、それ以上しつこく分析しないという風潮にどんどん進んでいったのです。一部だけ真実を語れば堂々と出来る。そういうことをずっとやって来たのです。

それではトマトの有機栽培に関する質問でも何でもお答えします(笑)。

<(杉田)カールさん、ありがとうございます。非常に生々しいお話で、ジョン・ル・カレの小説の世界そのものですね。それでは質疑に移りますが、私から一問だけ。ロシアとの接触やモスクワにおけるトランプ本人と工作員の接触など今日はいろいろなことが語られましたが、(ロバート・ムラー)特別検察官の捜査および報告書が出た後、アメリカの世論や政治状況を考慮したうえで、どういう風にロシア・ゲートが展開していくのか。決定的なトランプ陣営とロシア側の共謀(を示す証拠)が出て、トランプが大変な窮地に陥り弾劾という方向に進むのか。いろいろな政治状況を考えるとそこまでは行かないのか。>

次のようにお答えしたいと思います。この2年半、私は何度もインタビューを受けてきましたが、そのたびにアメリカの読者、聴取者に警鐘を鳴らすため、同じ表現を使ってきました。私が見るところ、アメリカは制度、政府、体制、民主主義、社会に1861年以来の最も大きな打撃を受けようとしています。1861年はアメリカが真っ二つに割れて、4年間の南北戦争に陥ったその年でした。

法律上の定義はさておき、諜報機関にいた人間から見るならば共謀は明らかです。意図しているかいないかに関わらず、外国の諜報機関の人間と関わり合ったということ。諜報機関というのは相手の国の国益でなくあくまで自分の国の国益だけを考えて動きますから。ムラー特別検察官がすでに立証済みで結論も出ていると思いますが、共謀の事実は圧倒的に真実です。しかし、そうなった場合にさらに大きな危機が生まれることを懸念しています。というのは、議会の共和党指導層は大統領としてのトランプは何が何でも守る、と態度を決めているからです。特別検察官が何を言おうとほとんど無力、ということになる。行政府と議会が結託すれば、特別検察官が何を言おうと死文化してしまうということです。これは未曽有のことで、行政府と議会がそこまでいけば、法律も国家の安全保障も重大な形で損なわれることになりかねない。歴史的な危機です。



<読売テレビの春川と言います。貴重な話をありがとうございました。短く2つだけ質問を。こういうロシアの情報機関のインテリジェンス活動が分かっていたのに、アメリカの情報機関のカウンターインテリジェンスは機能していなかったのか、というのが1つ。もう1つは、更迭された大統領補佐官のマイケル・フリンが司法取引を行ったと日本では伝えられています。彼がどのような取引を行い、それがトランプ政権にとってどれぐらい深刻なのかということをお聞かせ願えれば。>

重要な質問です。外から見た限りにおいてですが、カウンターインテリジェンスは非常にスローであった、不十分であったと思います。トランプ陣営そのものに当たる、あるいはロシアの秘密活動に当たる、という2つのやり方がありましたが、どちらも遅すぎました。最初のやり方については2016年の早い段階でCIAやFBIから警鐘は鳴らされていたのですが、報道によると当時の共和党の指導層は行動を取るのを拒否しました。トランプと共和党を守るため、何らかの対応を取ることを拒否したのです。選挙へのロシアへの介入という面でもカウンターインテリジェンスは不十分であったと言わざるをえません。では何ができたかというと、私の立場から言っても、あくどいことはやれないので「こういう事実があった」と明るみに出すのがせいぜいでした。いずれにせよ、スローでありすぎたことが害を呼んだと言えるかもしれません。

マイケル・フリンはトランプの国家安全保障担当補佐官でしたし、元将軍でもあります。司法への協力、ムラー特別検察官への協力によってトランプの関与の度合いが立証されれば、という期待だと思いますが、私はそれはあまりにも楽観的だと考えています。そんなことは考えられない、というのが私の見方です。というのもロシアの諜報機関はそんなに無能ではないからです。

選挙戦に関わったトランプ陣営の人々、補佐官レベルの人々でトランプにどのような接触があったのか理論や仮説は立てられます。ただ、フリンがせいぜい言えるのはトランプが政策レベルでどのような行動をしたか、ぐらい。ロシアが諜報機関の工作員を使ってトランプの取り巻きにどういう接触をしてきたか、本当のところを明かすまではできないのではないでしょうか。ロシア側もそんなにバカではないので、分かるような形ではやっていないはずです。トランプ側がロシアにどのようなアプローチをかけたのかは既にいろいろな証拠が挙がっているので語れますが、反対にロシアの諜報機関側がどのようなことをやって来たのか、そこまで彼には分からなかったはずです。

確かにオリガルヒの資金が流れているということは示唆されています。諜報機関の工作員たちがトルコのアントレプレナー(起業家)を通してフリンに資金を流していたことは分かっている。ロシアのこういう関わりについて、トランプ陣営に証拠を突きつけることはできるのかもしれません。

<フリーランスのシバタ・ユウコと申します。3つ質問させてください。1つ目はトランプについて孤立主義や一国主義と言われますが、これは彼がロシアに耳を傾けた結果なのか、もともと信念を持っていたのか。2つ目はトランプあるいはアメリカは中国と貿易戦争に向かっていますが、中国はロシアのいわば同盟国でもあるわけですが、今回の貿易戦争はロシアの利害にとってどうなのか。3番目はアメリカの政局についてです。若いミレニアルと呼ばれる世代はオバマ世代とも言われ、人種やジェンダーについて進歩的な見方をしている。ということは、10年先あるいは15年先には二極化の動きは解消されているのか。それとももうその時には遅すぎるのでしょうか。>

諜報機関の人間というのは、利用できる人間を常に探し求めています。トランプという人間はコントロールのできない、変えることのできない人間です。彼は一生涯、同じ信念を持ち続けた人間です。若い時から孤立主義や重商主義に凝り固まってきました。70年代のインタビューを見ても、まったく同じことを言い続けている。30年前は「日本がアメリカを貶めている」という言い方をしていたのですが、「日本」を「中国」に置き換えれば今もまったく同じことを言っている、ということが分かります。ロシアはそんなことは気にしていない。ロシアの利害にかなうならばそれは利用する。ロシアがこうすべきだ、と思う方向に誘導するということです。これは文字通り笑い話ですが、サウジアラビアにトランプが行った時、サウジ側は建物の全面にトランプの写真を掲げました。それでトランプはサウジが大好きになり、サウジは偉大な同盟国だともてはやしました。そういう人間なのです。

2点目です。中ロはアメリカと対立しているという意味では同盟国同士で、トランプの中国との貿易戦争はロシアについて見れば一貫性がない、という指摘はその通りですが、トランプの政策に一貫性を求めてはいけません。そんなことを期待してはいけない。彼にビジョンはまったくない。その場その場、その瞬間その瞬間の考えに突き動かされる人間で、矛盾だらけです。ですからロシアについても、必ずしもロシアの利害に一致していることばかりではない。ただ公平に言うならば、アメリカを含むどのような国のどのような政府も、全ての面で一貫した戦略を取り続けた国はないと思います。

最後のアメリカ社会の傾向についてです。おっしゃることはすべてその通りだと思いますが、2つの理由から私には心配があります。1つ目は、アメリカの選挙システムが地方の保守派に不釣り合いなほど影響力を与えている、ということ。多くの国でもそうでしょうが、例えばヒラリー・クリントンは300万票も多かったのにトランプに負けました。アル・ゴアもそうでした。そういう制度になっている。保守バイアスがかかっています。

2つ目。こちらのほうが重要だと思いますが、私が公の場で発言するようになったのは、経験したことを退職後に本に書いたからです。いわゆる「高度な尋問」、つまり拷問のことなのですが、高度尋問プログラムに絶対反対を唱えるために本を書きました。アメリカの社会に警鐘を鳴らすためです。私はそれがアメリカ社会を変えたと思うからです。例えば、いま35歳以上の人に世論調査をしたとします。CIAなどの工作員が拷問するのをどう思うか、と聞けば35歳以上であれば大半が絶対やるべきではない、と答えます。それは反米的な行為だ、と。ところが9.11同時多発テロの後に大人になった35歳以下だと、過半数がCIAの立場にある人間ならそれはやってもかまわない、と答えます。

私が育ったころであれば、そんなことは考えられませんでした。それは私の知っているアメリカではありません。9.11テロの前のアメリカでは考えられませんでした。理性的な会話の中で「拷問すべき」と言うなんてとんでもないことでした。ところが、「高度な尋問」という言葉を大統領も共和党もよく使う。だから35歳以下も「いいんじゃないか」と思っている。人の態度は変わりやすく、1つの方向だけでなくいろいろな方向に動きます。日本もドイツも同じでした。アメリカもそうである、と知るべきだと思います。

文化や政策がいかに変わりやすいか、その例を挙げましょう。1902年、フィリピンで反乱が起きました。アメリカ支配への独立運動でした。当時アメリカは米兵を裁判にかけ有罪として絞首刑にしました。水責めを行ったからです。1945年と1946年には、日本兵と日本の諜報機関の工作員を戦犯として絞首刑にしました。やはり水責めをやったからです。今日、アメリカでは水責めプログラムを指導していた人物がCIA長官になろうとしています。私の以前の同僚です。



<NHKワールドのイチノセです。3つ質問があります。1つ目です。あなたの以前の同僚がCIA長官になろうとしています。多くの反対がありますが、誰が長官になるべきか個人的な意見を聞かせてください。2つ目はロシアの諜報機関の選挙操作が本当に効果を挙げたのかについてです。全ての目標は達成されたとおっしゃったが、トランプという人間をコントロールできないならば本当に成功したと言えるのか。3つ目はムラー特別検察官についてです。アメリカのメディアによれば、ロシアの選挙介入についての捜査の結論がそろそろ出そうだ、ということですが、いつごろだと思いますか。11月の中間選挙の前に出ると思いますか。>

ありがとうございます。ジーナ・ハスペルですが、彼女とはほぼ同世代です。あまりよくは知らなかったのですが、あらゆる点で彼女について言われていること——まともで有名で、プロフェッショナルとして有能でアメリカを救うと言う意味ではかなり功績があった——というのはその通りだと思います。だからといって、私の意見は変わりません。彼女をCIA長官に指名するのは恐ろしいことです。われわれは過去からは逃れられない。道義的な危機が時に起きます。選択の余地がない、あるいは選択肢が明確でない場合にどうするか。私がCIAにいた時に行われた、テロとの戦いにおける「高度な尋問」と言われたあのプログラムがまさにそれです。彼女を非難はしませんが、あのプログラムは大きな間違いでした。そういう人間を、拷問の加害者だった人物をアメリカの重要な立場に付けるということは、非合法的なやり方を正当化することにつながる。私はやはり反対です。

ロシアの諜報機関が果たして効果を挙げたのかどうか、ということですが、諜報機関の人間は自分たちの側に取りこむ人間を「アセット(資産)」と呼びます。どのアセットでもコントロールが完全に利く人間はありえない。確かにこの人物(トランプ)はアセットの中でもコントロールが利かなそうに見えます。例を上げますが、これまで75年間、ヨーロッパはアメリカの外交関係の戦略的な中心に据えられてきました。トランプを擁護する人たちは「ポーランドのNATO部隊を強化した」「ウクライナに武器を与えている。トランプはちゃんとやっている、必ずしもロシアに取り込まれているわけではない」と言います。これは全て戦術的な動きに過ぎない。より大切な、根本的な戦略的視点から見れば問題があります。

トランプはしぶしぶポーランドに部隊を増派しました。その直前のスピーチはメディアにあまり報じられていないのですが、そこで彼はプーチンをほめたたえたのです。ワルシャワのバルト黒海何とか、というプログラムだったと思いますが、そこでヨーロッパに関するプーチンの世界観を絶賛しました。それにはポーランドやハンガリー、スロバキアが入って来るのですが、これはNATOの同盟関係とEUを大きく損なうものです。一方でNATOの会合をトランプが呼び掛けて開いた、ということは一切ない。逆に「カネを出せ」と言うばかりです。1200人ぐらい増派したからといって、それが何でしょうか。根本的なところでアメリカの対ヨーロッパの関係が変わっていることが問題です。

第二次大戦中のウィンストン・チャーチルの例を挙げたいと思います。彼はドイツがイギリスのいくつかの都市を空爆するのを許しました。ドイツの暗号を解読していたことをばらさないため、防ぐこともできたのにそれをしなかったのです。彼にとって苦渋の選択でした。トランプがそれと同じだと言うつもりはありません。彼が意識的にロシアの諜報機関の工作を許している、と言っているわけでもない。私自身のもっと小さなアセットを操った経験でも、第二次大戦のこのエニグマの例でも、国益というより大局的、戦略的な視点から時には犠牲を払うことがあるのです。

ムラー特別検察官がいつ結論を出すのかという質問ですが、私は法律家ではありませんし、水晶玉を持っているわけでもないですが、次のことを指摘したいと思います。アメリカのメディアではあまり注目されていないのですが、ムラー検察官が「共謀」をどう扱うか。共謀という概念は法律上非常にあいまいで立証も難しい。もしかしたらムラー特別検察官は裁判所で通りそうにないため、共謀の立証を試みないかもしれません。

ただ、それとは無関係に、諜報機関にいた人間として見れば明らかに共謀はあります。ジャーナリストなら複数の情報源から証拠を固めていく。法律家も裁判所に認められる証拠を集める必要がありますが、諜報機関員にその必要なく、状況証拠であれ何であれ、そういった示唆が圧倒的な数で上がってくれば、われわれにとってはそれが証拠と言えます。共謀はあったのです。公開情報だけをみても圧倒的な情報が上がって来ている。ムラー氏も何百万人の人たちもそう思っているでしょうし、私もそうです。真実は明らかです。証拠を挙げて有罪にできなくても、真実は明らかなのです。

諜報の世界では何か1つ敵の行為があったとき、それに対して何も行動をしなければ怠慢だと見なされます。今回は400件以上のそういった行為が明らかになっているわけです。それに対して何の行動も取らないのは、死んでいるか、国を裏切ったか、あるいは歴史を振り返れば失敗と決めつけられるに違いない。そう思っています。


アメリカの覇権
■ 存在しないロシアゲートを宣伝する米国は軍事侵略やクーデターだけでなく選挙にも介入してきた 「櫻井ジャーナル(2018.02.19)」より
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13名のロシア人とロシアの3機関を起訴するとロバート・ムラー特別検察官は2月16日に発表したが、起訴状の中身は空っぽと言える代物だった。NSA史上最高の分析官のひとりと言われているウィリアム・ビニーが早い段階から指摘しているように、もしロシアゲートなるものが存在しているならNSAは証拠を持っているので調査は不要、つまり特別検察官を任命する必要はなかった。つまり、ムラーが特別検察官になった段階でこの疑惑がインチキだと言うことははっきりしていたと言える。

ロシアゲート事件はインチキだが、アメリカ政府は世界中で選挙に介入してきた。それだけでなく軍事侵略、軍事クーデター、1980年代からは傭兵を使った侵略を繰り返している。

第2次世界大戦後に行われた有名なクーデターだけでも1953年のイラン、54年のグアテマラ、60年のコンゴ、64年のボリビア、ブラジル、66年のガーナ、71年のボリビア、73年のチリなどがすぐ頭に浮かぶ。

そのほか、1961年には亡命キューバ人を使ってキューバへの軍事侵攻を試み、79年から89年にかけてはアフガニスタンで秘密工作を実施、81年から87年にかけてはニカラグアの革命政権を倒すために前政権の戦闘員を使ってコントラを編成して攻撃している。1960年代から80年代にかけてのイタリアではCIAを黒幕とする極左を装った爆弾攻撃(テロ)が繰り返された。その工作を実行したのがNATOの秘密部隊のひとつグラディオだ。

(※mono....中略)

オーストラリアで労働党のゴウ・ウイットラム政権がアメリカに潰されたことも知られている。1972年12月の総選挙で労働党が大勝したことで成立したのだが、ウイットラム首相は自国の対外情報機関ASISに対し、CIAとの協力関係を断つように命令した。1973年9月にチリで実行されたオーグスト・ピノチェトのクーデターで社会党のサルバドール・アジェンデ政権を倒しているが、ジャーナリストのデイビッド・レイによると、チリでASISがCIAと共同でアジェンデ政権を崩壊させる工作を展開していたことをウイットラムが知っていたことを示す文書が存在するという。(David Leigh, "The Wilson Plot," Pantheon, 1988)


1973年3月にウイットラム政権の司法長官は情報を政府に隠しているという理由で、対内情報機関ASIOの事務所を捜索、翌年8月には情報機関を調査するための委員会を設置している。(前掲書)


こうした動きに危機感を抱いたCIAは1975年11月、イギリス女王エリザベス2世の総督、ジョン・カー卿を動かし、ウイットラム首相を解任してしまう。ジョナサン・ウイットニーによると、カーは第2次世界大戦中の1944年、オーストラリア政府の命令でアメリカへ派遣され、CIAの前身であるOSSと一緒に仕事をしている。大戦後はCIAときわめて深い関係にあった。(Jonathan Kwitny, "The Crimes of Patriots," Norton, 1987)


■ 大山鳴動ネズミ0匹の「ロシアゲート」 「逝きし世の面影(2018年02月17日)」より

『やっと2年がかりのアメリカ大統領選挙が終結したらしい』

民主党クリントン陣営や、いわゆる欧米リベラルメディアが大騒ぎしていたアメリカ大統領選挙中の世紀の大事件『ロシアゲート』とはFacebookやTwitterなどソーシャルメディアへのロシア人等による普通の投稿の意味だったと認めてしまったロバート・モラー米特別検察官。(9・11事件発生直前の2001年9月4日から2013年9月4日まで12年間第6代連邦捜査局(FBI)長官を務めた)
日本のマスコミを含め世界中が大騒ぎしたが『幽霊の正体見たり枯れ尾花』の結論に終わったロシアゲート。(★注、この詐欺紛いの胡散臭い話は、日本では右翼の三浦瑠璃一人だけが正しく解釈していた

『ヘイトの女王三浦瑠璃の正しさを証明したモラーFBI元長官(特別検察官)』

国際政治学者として三浦瑠璃は、在日朝鮮人が多い大阪市には北朝鮮工作員が多数潜伏していて『もしもの時にはテロや破壊工作を行う』とフジテレビの情報バラエティ番組で発言したことから現在大炎上している。
恥ずかしい暴言を繰り返すヘイトの女神“極右の女王”櫻井よしこの二代目(後釜)を狙う自称国際政治学者の三浦瑠璃ですが、実は、詐欺師の言葉だから全部が嘘で、大馬鹿者の考えが全部間違いだとの原理原則は何処にも無い。それどころかアンデルセンの『裸の王様』ではないが、大人は世間体とか常識が邪魔をして真実を喋らないが、逆に頑是ない愚かな(知性も教養も無い)子供だけが正直に目の前の現実を語っていた寓話のような何とも教訓的な愉快な話。



(※mono....中略、詳細はブログ記事で)
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『最大の被害はロシア』ランサムウエア、各国で混乱  仏工場一時停止/中国感染4万件  2017年5月17日毎日新聞

『胡散臭い「ロシアゲート」で大失敗しても少しも懲りない(たぶん脳みそにウジがわいている)民主党クリントン陣営や欧米リベラルメディア』

今回の『ロシアゲート』(米大統領選へのロシアの介入)とは、数百人のロシア人ユーザーがFacebookやTwitterなどで反クリントンの投稿を繰り返していたことだとの『大山鳴動ネズミ0匹』的爆笑ニュースは衝撃的ですらある。今までのマスコミの主張の根本が引っくり返るのすから、本来なら大ニュース中の大ニュース。
ところが、たぶん、この衝撃を打ち消す目的で、2月17日の毎日新聞国際蘭の真ん中には『サイバー攻撃はロシア発』(昨年6月発生  「ウクライナ標的」米英主張)との簡単なカウンター記事を掲載していた。
恥ずかしすぎる脱糞をクソの山で隠すとのトンデモナイ臭すぎる作戦である。
去年6月に起きたマイクロソフト社の最新式Windows 10には感染しないランサム(身代金)ウエアの被害ですが、ロシアが最大の被害国だったのですよ。(もちろん古いOSを使用していたウクライナも大被害を出していた)
世界的規模で起きたサイバー攻撃ですが、使い勝手が悪い不人気なWindows10を強制するマイクロソフト社の自作自演説まであるが、米英が主張しているのは、去年5月とは別に6月にも起きた同一ウイルスによるサイバー攻撃であるが、これはマスコミが小さくしか報じなかった。(普通の大人の記憶力なら誰でも去年5月に起きてマスコミが大騒ぎした大事件を思い出すので、ほぼ詐欺に近い仕組み)

この世界的サイバー校攻撃に関連して、『マイクロソフトの自作自演?!感染しないWindows10』(2017年05月16日 | 社会)と『陸自LR2機墜落でデマを流す防衛省』)2017年05月18日 | 社会)と2つも記事を書いていた。

(※mono....以下略、詳細はブログ記事で)






■ ニューネス下院情報委員会委員長のスタッフによって作成されたメモが2月2日に公開され、FBI窮地 「櫻井ジャーナル(2018.02.03)」より
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ドナルド・トランプを2016年の大統領選挙で勝たせるためにロシア政府が選挙に介入したというキャンペーンが民主党、有力メディア、司法省、FBI、CIAなどによって展開されてきたが、監視システムに精通しているNSAの元分析官など専門家は早い段階から偽情報だと指摘している。いわゆるロシアゲートだが、その主張を裏付ける事実は提示されず、説得力はない。そのキャンペーンの実態を調査したデビン・ニューネス下院情報委員会委員長のスタッフは4ページのメモを作成、それが2月2日に公開された。いわゆるニューネス・メモだ。ロシアゲートがFBI/司法省ゲートへ変化しつつある

(※mono....以下英文資料画像と長文を略、詳細はブログ記事で)
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つまり、民主党やヒラリー・クリントンのカネで雇われたFBIへの情報提供者であり元MI6オフィサーが作成した信頼度の低い報告書に基づいてFISC(外国情報裁判所)はトランプの側近を監視、捜索するために必要な令状を選挙期間中に出したことになる。監視する司法省やFBIの幹部は反トランプ派だ。

フュージョンはスティールを雇う前、トランプに関する調査と分析をネリー・オーに依頼したが、この女性はCIAの仕事をした経験の持ち主で、夫はFBI幹部のブルース・オー。これは本ブログでも指摘済みの話だ。

ロシアゲート事件でイシコフは重要な役割を果たしたが、ビル・クリントン政権では信憑性に乏しい情報に基づく記事を書いて大統領を攻撃していた。1997年10月にリンダ・トリップなる女性がモニカ・ルウィンスキーと大統領との電話による会話を録音、公表している。不適切な関係をうかがわせる内容だが、この後、攻勢は落ち着く。トリップに盗聴するように進めたルシアンヌ・ゴールドバーグは1972年の選挙で戦争反対の意思を鮮明にしていた民主党のジョージ・マクガバンの陣営へスパイとして潜り込んでいた人物だ。

(※mono....以下略、詳細はブログ記事で)



★ FBIの不適切捜査を示す「メモ」公表 トランプ大統領が承認 「産経ニュース(2018.2.3 09:13)」より

★ 疑惑捜査「どこに向かうか」 司法省高官にトランプ大統領が質問 「産経ニュース(2018.2.1 13:23)」より


■ ロシアゲート(米大統領選挙)トランプの一方的勝利で決着 「逝きし世の面影(2018年02月03日 )」より


米下院情報委員会のデビン・ヌネズ委員長(共和党)と、2016年アメリカ大統領選挙時に民主党クリントン陣営が作成したロシアンルーレット『スティール文章』(ロシアゲート)

アメリカCNNテレビやニューヨークタイムス、ワシントンポスト、イギリスのBBCフランスのAFPなどリベラルメディアと仁義なきのバトルを延々と続けていたドナルド・トランプ大統領ですが1月17日には『フェイクニュース大賞』を発表、欧米リベラルメディアの悪事を厳しく告発するが、就任から1年目の『一般教書演説』では逆に一転して和解と融和を強調して、一方的な勝利宣言を行った模様た。

(※mono....中ほど大幅に略)
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『2年がかりの仁義なきアメリカの「大統領選挙」がやっと決着する』

2018年02月2日のBBC記事の場合は『ホワイトハウス、FBI「偏向資料」公表へFBIは「深刻な懸念」』とのタイトルが秀逸である。BBCなど欧米のリベラルメディアが延々と繰り広げていた『ロシアンゲート』疑惑ですが、これはアメリカ大統領選挙時に民主党クリントン陣営が作成した根も葉もない怪しい怪情報(FBI「偏向資料」)が根拠なので、公開されたらお終いなのである。
FBIなどが現在必死で大反対しているのは当然だが、勝負はトランプ大統領側の大勝利(BBCなどリベラルメディアの大敗北)で決着がついた模様である。

恥ずかしい暴言を繰り返すヘイトの女神“極右の女王”櫻井よしこの二代目(後釜)を狙う自称国際政治学者の三浦瑠璃。

詐欺師の言葉だから全部が嘘で、大馬鹿者の考えが全部間違いだとの原理原則は何処にも無い。それどころかアンデルセンの『裸の王様』ではないが、大人は世間体とか常識が邪魔をして真実を喋らないが、逆に頑是ないお馬鹿な子供だけが正直に目の前の現実を語っていた寓話のような愉快な話。

三浦瑠麗 国際政治学者、東京大学政策ビジョン研究センター講師
『トランプ大統領の一般教書演説を読み解く(付録:ロシアゲート疑惑をめぐる続報)』私は、ちょっと違う風にこの演説を見ています。
http://www.huffingtonpost.jp/lully-miura/trump-speech1_a_23349700/
2018年02月01日 Huffington Post

(※mono....中ほど大幅に略)
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『アメリカ民主党(クリントン陣営)と欧米リベラルメディアなどエスタブリッシュメントによる民主主義(選挙制度)の破壊工作だったロシアゲート』

マスコミが挙国一致でトランプ大統領が窮地に陥ったと大々的に報じた『ロシアゲート』ですが話が逆さまで、ほぼ民主党(クリントン陣営)にとって『命取り』のロシアンルーレットになったようです。(今後の進展次第ではヒラリーとか民主党幹部、FBI長官の逮捕まであり得るでしょう)
これは民主党クリントン陣営のアメリカ大統領選挙時に行った汚い(何の根拠もない)ネガティブキャンペーンであり、大統領選挙が終わった2016年11月8日で終わっている話なのですが、トランプが大差で当選後も延々とアメリカ大統領選挙の選挙戦が続いていただけ。余りの阿呆臭さに驚くやら呆れるやら。まさに『幽霊の正体見たり枯れ尾花』である。


アメリカのマスメディア
■ トランプ、問題のメモ公表→主要紙はパニック 「DEEPLY JAPAN(2018-02-03 16:10:39)」より
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こっちも面白くなってまいりました。


ホワイトハウス、FBI「偏向資料」公表へ FBIは「深刻な懸念」2018年02月2日BBC


米司法省と連邦捜査局(FBI)がドナルド・トランプ米大統領に反して偏っている証拠だとして共和党幹部がまとめた資料について、ホワイトハウスは2日にも公表する見通しとなった。ホワイトハウス幹部の話として、複数の米メディアが伝えた。

トランプ氏は機密扱いの資料の公表を認め、議会に送付する見通し。FBIはメモの正確性が疑わしいため、公表について「深刻な懸念を抱いている」と、ホワイトハウスの方針に反対する異例の声明を出している。

重要というか実質的な内容はここか。

ヌネズ資料を点検した複数の議員によると、大統領選のロシア疑惑に関するいわゆる「スティール文書」を根拠に、FBIがトランプ陣営関係者の盗聴監視許可を延長しようとしたと指摘する内容になっている。FBIが昨年3月にFISA裁判所から盗聴令状の延長を得ようとする際に、内容が立証されていない「スティール文書」がその根拠だと裁判所に伝えていなかったと、ヌネズ委員長は問題視しているという。

分解するとこんな感じ。

  • FBIがトランプ陣営の関係者を盗聴しようとした
  • それには裁判所からの令状が必要だ
  • その根拠として、内容が立証されていない「スティール文書」を使った
  • スティール文書は、元イギリスMI6のクリストファー・スティールという男が書いたもので、トランプのロシア疑惑を代表するものだが内容は立証されていない。また、この仕事にはヒラリー陣営(民主党全国委員会)から金が支払われていた

まるめていうなら、ヒラリー陣営の「おてもり」でしたって話ですね。

FBIはなんの根拠もなく一方陣営に肩入れしたのみならず、法的には立派な大統領である人を犯罪者扱いして騒ぎを拡大し、かつ、大統領からの注意勧告も無視して突っ走ったんだから、この点も責任追及がなされるべきでしょうね。

というわけで、オバマ・ヒラリー政権の悪事をここまで引っ張ったはいいけど、上手く落としどころを見つけられませんでしたというお話とも言えるでしょう。

■ 日本のマスコミはどうするんだろう?

(※mono....以下略、詳細はブログ記事で)


■ トランプ大統領の一般教書演説を読み解く(付録:ロシアゲート疑惑をめぐる続報) 「山猫日記(2018.01.31)」より
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一般教書演説は非常にトランプ的
(※mono....略) 

国民化政策の本音
(※mono....略)

徹底して内政の政権が持つ脅威認識
(※mono....略)

ロシア疑惑は今どうなっているか

では、最後にロシアゲート疑惑がどうなっているのかについてみてみましょう。ワシントンポスト紙では連日報道が出ていますが、ここのところ「消えたFBIメール」事件が賑わっています。大統領選挙期間にトランプ陣営がロシアと共謀があったかどうか調査するFBIの高官が反トランプ的な言動を繰り返していたのですが、同高官がFBI内で交際していた他の高官とのテキストメッセージが削除されていたとのこと。しかも、削除された同テキストメッセージの期間が大統領選直後からムラー特別検察官が任命される前日までであること。FBIは、単にシステムのアップグレードと展開の過程で消去されたものであると説明していること、などがワシントンポストの記事で共和党の上院議員の指摘として紹介されています。

個別の疑惑はかなり込み入って来るので、全体像を見失わないことが大事ですが、共和党が印象付けようとしているのは、FBIは元々クリントン陣営に肩入れしており、反トランプであったということ。反トランプ感情剥き出しの捜査官が不適切な形で捜査を行い、しかも、捜査過程の情報が隠ぺいされている可能性が高いということでしょう。要は、米国の情報機関や捜査機関の信用を失墜させ、現在も進行しているロシア介入疑惑が政治的動機に基づく国策捜査であると主張したいのでしょう。

情報委員会に所属する共和党議員が作成したFBIの行動を評価したメモの公開をめぐって、さらに続報も出てきました。同メモには、国家機密にあたるような情報がいろいろと含まれており、FBIをはじめとする情報機関は公開に反対していますが、行政のトップであるはずのホワイトハウスは公表に前向きであるといいます。トランプ氏本人に近しい者達からすれば、情報機関が政治的に偏っているという印象を作り出すことができるからです。

そもそも、ロシアの選挙介入問題に対して、特別捜査官を任命された目的は、政治的、党派的な争いではなく、法律と証拠に基づいて客観的に何が起きたのかを判断しようという目的に基づいています。「法の支配」の原則を体現するためです。共和党及びトランプ政権が試みていることは、同問題を司法から政治に取り返すための工作です。司法というのは有罪か無罪か白黒ついてしまう世界ですが、民主政治というのは戦いなので数が多い方、声が大きい方が勝利するからです。

ロシア介入疑惑の何が問題か

とはいえ、「ちょっと待て、ロシア介入疑惑とはそもそも何で、何が問題なのか」という方も多いでしょう。この手の問題は、木を見て森を見ずになる危険がとても高いので、もう一度そこから整理しましょう。

まず、ロシアが米国の大統領選挙に介入する目的をもって組織的に行動していたことは間違いのないことと思われます。プーチン大統領はトランプ大統領に対して否定していますが、米国の情報機関は一貫して介入があったと主張しています。介入の舞台となったFacebookやTwitterなどからも介入と思われる事例があったことが報告されています。では、具体的に何をやったのか。実は、ソーシャルメディアにハッキングしたわけでも、選挙結果を直接操作するような違法な介入を行ったという話ではないのです。ある意味、通常の方法でソーシャルメディアを利用しただけなのです。どういうことか。

ソーシャルメディアにおいて利用者がどのような情報に接するかについては、独自に練り上げられたアルゴリズムが存在します。すごく簡単に言うと、利用者が過去にどんな情報を検索し、どんな情報を消費し、どんな友人を持っているかに基づいて、その人が興味を持ちそうな情報をアルゴリズムが判断し、利用者の趣味嗜好に偏った情報が流れるのです。例えば、クリントン氏の個人サーバー利用問題でいくと、クリントン氏の行動は問題ありと思っている人が利用するソーシャルメディア上では、同種の意見を持つニュースサイトやブログがより多く表示されるようになるのです。党派の文脈に置き換えると、こうした偏った情報に接し続けることで、共和党的な発想を持つ利用者はますます共和党的に、民主党的な発想を持つ利用者はますます民主党的な考え方に、無自覚なまま凝り固まっていくということです。

ロシアはこの構造を利用したのでした。米国で共和党の候補者が関心があると思われる政策について、なりすましのアカウントを作成してひたすらツイートし、ブログ記事や偽ニュースを発信し続けたのです。しかも、米国の選挙はとてもローカルですから選挙結果が接戦になると思われる州に対して集中的に作戦を実行したというわけです。その結果、オハイオ、ペンシルバニア、ミシガン等、大統領選の帰趨を決定づけた地域の有権者はロシアの流した意図された情報に接することとなったというわけです。選挙結果は大接戦だったわけですから、一連のことが選挙結果に影響を与えたというのはほぼ間違いない、ということになるでしょう。

それを受けて開始されたムラー特別検察官の捜査が重要なのは、トランプ政権の中枢へと達する可能性が高いからです。既に、安全保障担当の大統領補佐官であったフリン氏はロシアとの接触の有無をめぐる偽証に関しては有罪を認めているといいます。安全保障担当の大統領補佐官は、超大物です。フリン氏の上には、実質的に選挙を仕切っていたトランプ氏の娘婿のクシュナー氏とトランプ氏本人くらいしかいません。実際、ワシントンでは、大統領本人への聴取があるのか、その際、政権は協力するのかということが活発に議論されています。

特別検察官の捜査の焦点は、大統領サイドからの司法妨害があったかどうかです。法律的な構成要件を満たすかどうかは検察官の判断ですから予断をもってコメントはできませんが、一般常識的にいえば、捜査の責任者であったFBIのコーミー長官を解雇し、ムラー特別検察官の解雇も検討していたというわけですから、「司法妨害しようとしていたに決まっているだろ」ということかと思います。要は、問題が司法の領域で判断されるのか、政治の領域で決着するのかの違いです。

米国政治の混乱を見て、大変だなーという感想を持つことは否定しがたいですが、現代の民主政治にとっては非常に大きな教訓を孕んでいることは間違いありません。とりあえず2点のみ指摘したいと思います。

まず、ソーシャルメディア利用者として振る舞う形で行われる外国からの介入に現代の民主政治はとても脆弱であるということ。この点は、米国同様に日本もたいへんに脆弱であろうと思われます。永田町でも霞が関でも、そういうテーマが取り上げられないのは、単に情報感度が鈍いからなのか、めんどくさい論点を提起してくれるなということでしょうか?

次に、我々の社会を構成するプロフェッショナルの機関の信用を貶め始めると、それは留まるところを見失う可能性があるということです。トランプ政権が政治的な生存本能の結果として行っているのは、いわゆるエスタブリッシュメント組織への継続的な攻撃です。

選挙期間及び政権1年目の焦点はメディアでした。我々は、米大統領が主要メディアをフェイクニュースと罵り、相手にしないという異常事態にもはや慣れてしまっています。今後、焦点となるのは捜査機関であり、情報機関でしょう。これらの機関の弱体化は、米国の国益と米国が支える国際秩序にダメージがあるでしょうから、日本にも直接的に影響があることでしょう。















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最終更新:2019年04月19日 14:22