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TCR(車両カテゴリ)

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TCR
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設立 2014年(TC3規定からの改題)
備考 コンパクトで低価格。しかし走りは折り紙付き。
そして権力争いも折り紙付き。


概要


2014年頃、FIAは世界ツーリングカー選手権(WTCC)の改造範囲を広げた新型マシンを「TC1」、改造範囲の狭い旧型マシンを「TC2」とし、さらにその下に「TC3」を創設してツーリングカーレースのピラミッドを築く構想を発表。同年12月にはTC3の名称が「TCR」に変更され、2015年からインターナショナルシリーズ、アジアシリーズ、ポルトガルシリーズなどがスタートした。

簡単にいうと、GT3と同様のパッケージをより低価格に抑えて、新規プライベータやワークスを確保して世界的なモータースポーツ離れを抑制しようと考えた結果このような形となった。

実際その狙いは当たり、たちまちメーカー・プライベーターの注目を集めて大活況の様相を呈している。その範囲はピラミッド頂点のTC1のようなスプリントレースに留まらず、24時間級の耐久でも採用するレースが増えている。日本でも2017年にスーパー耐久で導入が始まった。

それどころか、ピラミッドのTC1/TC2までも消滅しTCRがツーリングカーのトップに君臨してしまうほど勢いは熱い。(まるで昔のグループAのようだ。)

とはいえ、かつて90年代のJTCC(全日本ツーリングカー選手権)やBTCC(イギリスツーリングカー選手権)の雰囲気に近く、ホットハッチ系の車がベースなので、GT3と比べると身近な車ベースで親しみやすくもある。「昔JTCCにハマってた!」という人は是非ともチェックしてほしい。

車両規定

  • ベース車はツーリングカーのFIAグループA規定に準じた車両

  • 4または5ドア

  • 前輪駆動

  • 全長4.2m以上、全幅1,950mm以下

  • ギアボックスは量産車のものかTCRが定めるパドルシフトのレース用ギアボックス

  • 最低重量はベース車のギアボックスを搭載する場合は1,230kg、レース用ギアボックスを搭載する場合は1,265kg(ドライバーを含む)

  • シングルターボを装着した4気筒の量産型ガソリンエンジンかディーゼルエンジン

  • 排気量1,750cc~2,000cc

  • 最大出力350PS、最大トルク420Nm

  • ウェットサンプ式

  • 量産車と同じ触媒、ハイブリッドシステム禁止、テレメトリ禁止

  • ホイールは鋳造製のみ認められる

  • フロントサスペンションは量産車のレイアウトだがパーツは自由、リアサスペンションは量産車のデザインだが強化部品にすることができる

  • フロントブレーキは最大6ピストン、ブレーキディスク最大直径380mm

  • リアブレーキは最大2ピストンで量産車のアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)を使用できる

  • ホイールサイズはリム最大10インチ×18インチ

  • 最低地上高80mm

  • トラクションコントロールシステム(TCS)などのドライバーエイドは基本的に禁止だが、許可されているレースもある。

  • 車両価格約15万ユーロ(2023年10月レートで約2,200万円)以下。GT3車両は現在約5,000万円〜8,000万円、それ以上の物もあるため格安と言える

車両開発は大きく分けて、メーカーで全て開発生産、メーカーがファクトリーやプライベーターに開発生産を委託、メーカーが一切関わっていない完全なプライベーターの3タイプに分かれる。なおWTCRではワークスチームおよびセミワークスの参戦は禁止されている……が、実質この規定は有耶無耶となっている。(詳細は後述)

その他、各メーカーのワンメイクレース用マシンでも、TCRに近いものであれば同一クラスへの参戦を認められることもある。
前輪駆動で4ドアか5ドアの車種となるとほぼホットハッチ系、コンパクトカー系の車が当てはまり、ホットハッチ系の始祖というべきゴルフGTlも、TCRカテゴリーが始まった当初から登場している。

世界選手権WTCRの設立……そして消滅

ここまで勢いのあるカテゴリもGT3以降で久しく、注目が集まってるということで、高コストなTC1規定を採用していたWTCCから名前を変える形として、2018年に世界選手権WTCRが設立された。
究極のプライベーターレースということでタイヤも供給ワンメイク。(2019年までヨコハマ、2020年からはグッドイヤーに変更)
ワークスとセミワークスが参戦不可の喧嘩レース……のはずなのだが、先陣を切ってヒョンデとアウディがやらかす。

この2メーカー、なんとスポーツブランドの「N」と「アウディスポーツ」を別のレーシングチームが運営する、という名目で参戦開始。スバルで例えると、「STiでラリーは出ないけどチーム新井が出るから支援する(ほぼ運営はSTi)」というような状況で、規定が同じでもバックにメーカーがいる時点で話が変わってくる。
さらに、操るドライバー側もメーカーワークス系で実績のあるプロ級のドライバーが多く参戦してくるようになり、プライベーターのための世界規模のレースという当初の構想からずれ始めていく。
ちなみにこれ以前にGT3系のレースも「ワークスは参戦禁止だが技術支援は可能」という形だったため、アウディはチームヨーストやWRT等に契約ドライバーとメカニックを送り込み「実質ワークス体制」を築いていたのだが、TCRでも同じ方法を取っただけではあるのだが。

そんなこんなで各チームが実質ワークス化する中、2020年に中国の自動車メーカー「吉利汽車」がプレミアムブランドLynk & Co名義で参戦開始。こちらも手口自体は同じだが本当のワークスまで出てしまったのだ。

そのワークス故の豊富な開発能力と資金力によりLynk & Co一強の時代が続き、撤退するプライベーターが続出。2022年にWTCRはCOVID-19感染拡大を理由に、創設からたった5年という短命で幕を閉じた。
だが、ここまで書いた状況を踏まえると、本当かどうか怪しい。もちろんLynk & Coチームが速すぎて他のメーカーから文句言われたり、主催者側とルール面で揉めてレースをボイコットする自体まで起きていた。このような自体は、ホンダ一強過ぎて主催者側と揉めたりして、やがて撤退が相次いで消滅したかつてのJTCCのような自体となってしまったと言える。
その後、後継シリーズとしてTCRワールドツアーとして再生されたが、アクシデントに対するペナルティ裁定への不満や、第5戦ではヒョンデ陣営が、各車両間で採用されるBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)に対する不満を挙げ、開催中のレース週末に「即時撤退」を表明する事態まで発展したりとまだまだ溝が深い。
モータースポーツファンとしては、こうした政治闘争のいざこざではなく、サーキットの舞台で正々堂々と戦うのが見たいと思うから、新しく始まったシリーズでもファン離れが起きないか不安しか無いが…。

https://tcr-worldranking.com/tcr-world-tour←TCRワールドツアーの公式サイトはこちら。

https://m.youtube.com/@TCRTV←TCRワールドツアーの公式YouTubeはこちらより。

https://www.as-web.jp/tag/2023-tcrワールドツアー←TCRワールドツアー関連のニュースはここをクリック。

現在のTCR

様々な国でレースが行われているが、基本的には三強+1の勢力図で形成されており、意外にもこうしたツーリングカー系に強いイメージのあるようなヨーロッパ系のメーカーではなく、アジア系のメーカーが強かったりする。

まずは韓国・ヒョンデ勢。WTCR時代にアウディと共にやらかした経験をきっかけに飛躍的に性能を向上させた。現在3車種(i30N・ヴェロスターN・エラントラN)発売しており、その3車種全てが各国のTCRシリーズで上位争いを演じれる強さとなっている。実質直営のヒョンデモータースポーツは、主力としてエラントラNを使用しているが、最近、とくにTCRWorld tour(旧WTCR)では理不尽なBoPに悩まされており、決め手にはかけるレースが多いものの、それでも上位入賞は常識である。

次に中国・Lynk&Co勢。鳴り物入りでTCR仕様の03を作成しWTCRに特例枠で参加。シリーズ優勝を獲得してからはシアンレーシング(ボルボ直系のチーム、なんでボルボ?と思うだろうけど、吉利汽車が現在ボルボの親会社なのである)と手を組み03 TCRで大暴れを行う。また、勝ちまくってるのに優位なBoP設定になっているらしく、黒い話も耐えない。
WTCRがほぼ1強となり、プライベータでも03TCRを購入するチームが現れたため他メーカーや他チームから良く思われていない。しかし、そのマシンの強さ自体は本物で各国 各TCRカテゴリで上位争いを常に演じている。

最後に日本・ホンダ勢。FK2時代は熟成が進んでおらず、初期開発組では最も嫌われていたが、FK8時代になると開発や熟成が進み上位争いを演じるようになる。また「シビック」という名前の知名度もあってか根強いファンチームみたいなのもおり、TCR車両もかなりの数が出荷されている。
2023年度よりFL2型が出陣。「勝てる要素はあるのにどうにも届かない」という過去2代の弱点を徹底的に見直した関係でデビューイヤーでありながら各国で上位入賞や優勝を欲しいままにしている。

そして+1枠。各国のコースに適したTCR車両ということでクプラやカローラ、セアト等がここに該当し、ホンダもかつてはこの枠だった。

日本でのTCR


コンパクトレーシングカーとして、海外では大衆車メーカーを中心に活動しているTCR。FF縛りという規定でホンダが黙ってるわけがなく、NSX-GT3を製作しているJASモータースポーツに依頼しFK2シビックベースのCIVIC TypeR TCRを製作。FK2時代は良い結果が残せなかったが、モデルチェンジしたFK8では各レースで好成績を残す。
日本ではS耐に出ていた「冴えカノFineレーシング with RFC」の冴えカノ痛車号が注目され、シビックTCRやTCRというカテゴリが注目された。
そしてFL2にモデルチェンジしたシビックTCRは、遂にHRCの助力も得て戦闘力を上げてしまい、世界各国で大暴れ。日本を代表するホットハッチマシンとして並み居る強豪を相手に戦っている。

……とはいえ、安かれどレーシングカーなのでそれなりのハードルはある。…が、レーシングカーを運転することが多い、所謂ジェントルドライバー達からは不評で、GT3の方が出れるレースも多く人気自体は下火。また、価格の安さも相まって「セミプロとアマチュアのモータースポーツ」と貶す者もいる。(実際TCR JapanがJAF主催レース初参加というのも少なくない。)

その一方で、高騰化するGT3車両と比べて価格の安いというメリットに惹かれてTCRから参戦する新興チームや復活チームも多く、TCR JapanやS耐のTCRクラスではそういった珍しいチームが数多く参戦していた。ゴタゴタが多いTCRワールドツアーと比べてこちらは比較的平和で、ゴタゴタも無いというのが対象的というべきか。

日本でのTCRマシン使用率はシビックとアウディRS3が多い。TCR車両自体は海外のファクトリーで製作されるため、輸入しなければならないが、シビックは童夢が販売・整備部品調達を行っているため容易に修理が可能。RS3もアウディジャパンが全面的にバックアップしてるため部品調達が可能だから。
…というかセアトやヒョンデが修理部品調達に対して少し日本では厳しいからという理由からこうなった。

ただまぁ、本当に出来ることが少ないカテゴリなのも否めない。エンジンには封印が施されており、オーバーホール等の重整備は製作ファクトリーで行われるというのもあって日本の場合は整備の度に輸出を行う羽目になる。

ちな2023シーズンのTCRジャパンは8台でレースが行われている。初年度や20年シーズンは多かったが、今ではマイナーシリーズのひとつで、スーパーフォーミュラのサポートレースとしても開催されている。
ちなみに、初年度は既にヨーロッパとかで実績と信頼性があったアルファロメオ・ジュリエッタTCRや、フォルクスワーゲン・ゴルフGTl TCRが多かった。
しかしながら同じくTCR車両が使えるS耐では2023年のシーズン全戦エントリーが0台まで落ち込んだり(一応富士24hやシーズン終盤には数台出た)、アウディのツーリングカー撤退に伴うアウディジャパンのサポートが苦しくなってきたというのもあり、ついに2024年のTCR-J第1戦は「エントリーが集まらずに開催中止」にまで追い込まれており、第2戦以降は「レース成立条件の最低3台以上の出場」をなんとヒョンデモータースポーツが「KMSA」という韓国のモータースポーツチームを通じて達成。エラントラ3台vsアウディ1台という日本のレースなのに韓国のレースっぽくなってしまった。

https://tcr-japan.jp/←TCRジャパンの公式サイトはこちら。

https://m.youtube.com/@TCRJapanseries/videos←公式YouTubeはこちらより。

なお、海外のレーシングカー製作チームが、スバルが一切関わらずにVA型WRXをベースにTCRマシンを作った例もある。他にはBTCCに参戦しているトヨタGBが、カローラをベースにカローラGR-TCRを製作。こちらは一応販売もされている。

余談

このTCRのカテゴリーに属する車は、現在のところグランツーリスモには無い。というか、TCRにはTCRバーチャルという専用のeスポーツ用カテゴリがあり、アセットコルサやiRacingを使って開催されている。

ライバルである「Forza Motorsport」の方にはLynk&Coやヒョンデ、シビックのTCRマシンが登場しているが、TCRの文字は一切なく、架空のForza専用レーシングカーとして登場している。一部車種のリバリーは実際のTCRシリーズのものを採用しているが、旧WTCRのロゴに差し変わっているか、TCRのロゴだけ綺麗に抜かれている。
ただ、雰囲気はほぼそのまんまTCRなので触れてみる価値はある。


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