概要
レースゲームの世界に革命を起こした革命的存在。すべてはここから始まった。
登場するクルマは100車種146グレード。コースは全11コース。今の基準で見ると少ないが、当時はこれだけ多くの車種を収録したゲームは珍しかったらしく、衝撃的だったという。
ついでに独自に開発した物理エンジンを搭載したことにより、「現実に近い」自動車の挙動を再現したことや、車体の表面に周囲の背景のオブジェクト等を映り込ませる環境マッピング技術によるグラフィックの美しさも衝撃をもって受け入れられたそう。
と言っても厳密に言えば環境マッピングは現在一部のゲームで取り入れられているレイトレーシングとは違い、疑似的に背景の映り込みを再現する技術。映り込む景色は環境マップのテクスチャで事前に決められているので正確ではないが、それでも大きな進歩だった。
※どういう時代背景で生まれたのか、初代グランツーリスモが発売された1997年を振り返るも見てみて欲しい。
プロローグ・オブ・グランツーリスモ
山内氏
は1993年にソニー・ミュージックエンタテインメントに入社した当初からこういうレースゲームが作りたかったらしく、「メーカーとライセンス契約して実車が登場するゲームを出したい」と企画書を提出した。しかし、上司から「そんなの売れるわけねぇンだわ」(実は既に『ゼロヨンチャンプ』とかでごく僅かだが、実車が出ているゲームはあったんだが…。)と、突っぱねられたため、まずはレースゲームでの実績を作るべく『モータートゥーン・グランプリ』の開発に着手することになったという。
で、その野望の片鱗を見せているのが二作目の『モータートゥーン・グランプリ2』で見られる。それが隠しモードとして収録されている『モータートゥーン・グランプリR』である。本来はコミカルなカートゥーンキャラクターによる『マリオカート』テイストのハチャメチャなレースが繰り広げられるのだが、このモードではそんな要素は一切なく、リアルなクルマ(フォーミュラカーとNASCARのようなストックカーの2種類)を操作しコース(1コースしか遊べられない)を走るモードで、挙動はリアルそのもの。これが後のグランツーリスモの原点となるのでこちらも機会があれば遊んで欲しい。
シリーズ25周年記念インタビュー
によれば、制作にあたって一番の問題は「自動車メーカーの許諾をどうやって取るか」だったそう。
山内
氏によれば、当時はクルマのゲームというとマリオカートのようなゲームが多かったので自動車メーカーから許諾を取って契約を結ぶのがなかなか難しかったそうだ。
最初に許諾を取ったのはトヨタ自動車だったそうで、トヨタ自動車の代表電話番号から辿って電話をかけていくと「では話を聞いてみましょう」と話を聞いてくれる担当者が現れ、2時間半ほどのプレゼンテーションをとりつけることに成功。プレゼンが終わった後にトヨタの担当者が「わかりました。じゃぁ、やってみましょう」承諾、結果「トヨタさんがやるんだったら…」と他の自動車メーカーとの契約が進んでいったとのこと。