
概要
魔王S2000とかでお馴染みのチューニングメーカーと混同しがちな名前だが、ここではデジタルフロンティアが発売したPS1のソフトを扱う。
発売日 | 1997年9月25日 |
発売当時の価格 | 6380円 |
発売元 | デジタルフロンティア |
1990年代のPS1レーシングゲームの一作として販売されたレースゲームで、当時でも多かった実際のレースのカテゴリーとのタイアップ作品。
※参考資料 三栄ムック『90年代レーシングカーのすべてvol.2』、
AnTytle Gaming World氏の動画
より。
収録車両
↑1997年のN1耐久レースの動画。ゲームでは一部の車しか収録されていないので、この動画で他にどんな車が出ていたのか見てほしい。
実際のN1耐久と同じ排気量別でのクラス順となっている。どれも当時スーパーN1耐久に参戦し実在していたチームの車両が収録され、現在となっては貴重(過ぎてネットで調べても画像がヒットしなかったぐらい)な車両も多い。
※名前はゲーム内での表記に準じています
Class4 (排気量1600cc以下)
最初にチャンピオンシップモードで挑む事になるクラス。いわゆる“テンロク”の車のクラス。やはり当時実際のN1耐久レースでもクラス優勝を争う本命であった(EK/EG)のシビック勢が多いが、このゲームでは孤軍奮闘しているT111型のレビンや、三菱のミラージュアスティが二台いて本命のシビック勢との奮闘ぶりも窺える。ちなみにゲームではどれも扱いやすいが特にアスティはシビックよりも曲がりやすい車だった記憶があり、筆者がプレイした際はそれでチャンピオンシップでのClass4を制覇した。
Class3 (排気量2500ccまでのクラス)
Class4制覇後に進めるクラス。ここでもやっぱりホンダ勢が多く当時のN1耐久での強豪であった事を窺えるが、インテグラ勢とプレリュード勢に分かれてるのも興味深い。その他には、外国車のオペルのアストラなんかもいる。実は実際のレースでは本命のインテグラをかわしてクラス優勝を飾った事もある。ここでもFF車メインなのでまだ癖が無い車が多いのでどれでも良いが、筆者は確かインテグラかプレリュードのどちらかでチャンピオンシップをクリアした記憶がある……(覚えてなくてすまない。)
- ギャザスインテグラ
- フィールズツインカムインテグラタイプR
- SPARCOインテグラ
- AML FSRPアストラ
- レッドライン・ミューBB−4
- ミスタークラフトプレリュード
- とうようぐるーぷプレリュード
- 中国石油ダンロップJ'sセリカ
Class2 (排気量3500ccまでのクラス)
Class3制覇後に進むクラス。FR車と4WD車で勢力を2分しており、FR車はRX−7やクラスタイトルも争ったBMW M3(E36)、4WD車はランエボを筆頭とする当時のラリーでもお馴染みであった車が揃う。ちなみにゲームが発売された97年はランエボⅣがクラスタイトルを獲得した。実際このゲームでもその速さを見せつけており、この車で筆者はチャンピオンシップ制覇を楽々成し遂げた。
- カストロールランサーエボⅣ
- RSオガワランサー
- IPFワコーズM3
- ディスモンドRX7
- スタードBPダンロップBMW
- ブロックリークスインプレッサ
- KATAYAMA RX7
- カストロールMONZAセリカ
Class1 (排気量3501cc以上)
Class2制覇後に進める最後のクラス。4WD車ばかり。それにこのクラスはGT−R勢ばかりで、実際のレースでも何度も総合優勝を果たしていた大本命だったが、その中でも三菱GTOが孤軍奮闘している。このゲームでの性能設定としてはGTOは最高速度ではGT−Rに及ばないが、 GTRよりもグリップ力が高く(特にドリフトに入った時の限界挙動が高くズルズル滑る事はあまり無い)乗りやすかった。筆者はランサーの次はGTOだろうと言うことで、この車を選んでチャンピオンシップを完全制覇した。
- プリンス東京フジツボGTR
- 日産プリンス千葉GTRファルケン
- エンドレスアドバンGTR
- 日産アルティアダンロップGTR
- FKマッシモFALKEN GTR
- オートバックスアペックスGTR
- ISSススキレーシング GTR
- PUMA GTO
なお、プレイできるコースはお馴染みの鈴鹿、富士、スポーツランドSUGOにTIサーキット英田(現在の岡山国際サーキット)、また今ではもう走れない仙台ハイランドや十勝、MINEもあるのは涙モノ。晴れと雨の天候アリ。またセッティング機能もある。まあ、おすすめとしてはパワー重視の設定にしてブレーキとグリップ力を強めとかにすればなんとかなるって感じですが(笑)。
総評
ゲームのパッケージによると各駆動方式の違いを再現したリアルな挙動を謳っているが、実はリッジ寄りないわゆる“爽快感重視の挙動”で、全開ドリフトが基本。(※そのため4WD車がメチャクチャ速くて扱いやすく、FR車はスピンしてしまい扱いづらい。ただ、セッティングである程度は改善可能。FF車はタックイン多用のコーナリングで走る)そのため一番下のClass4でも実際のF1のタイムレコードを上回るタイムを叩き出してしまうというツッコミ所もあるが、そこはまあ、ご愛嬌で普通に遊べる内容。でも、荷重の変化による車体の傾きが再現されていたり、車内と車外でエンジン音が変化したり、ATとMTでシフトチェンジの音が違っていたりなどと微妙にリアルに凝ったところもあるが。
※上の画像は同時期にノベルティのグッズとして販売されたスーパーN1耐久に参戦するGT−Rのミニカー。
そもそもこのゲームはスーパーN1耐久とのタイアップで作られた作品で、いわゆる当時他のレースゲームでも多かった“プロモーションを兼ねて制作されたゲーム作品にしてノベルティグッズの一つ”という印象が強い作品である。
ゲームが発売された当時はバブル期のF1ブームの余韻もあってか国内外でモータースポーツの人気も高まっていた時代だが、まだそんなにモータースポーツに詳しくない一般層のユーザーや若い世代、特にゲーマーにとってはネットがあまり今よりも普及していなかった当時、こうしたモータースポーツのレースの存在を知る方法としてはそのレースの情報が載っているモータースポーツ専門の雑誌やテレビ番組やビデオとかで知るしかなかった。だが、こうしたゲームは他のメディアよりもその魅力と面白さを体感として伝えやすく、そして『このゲームでN1耐久レースの魅力を知ったら、実際のレースを見に来てね!』と足を運ぶきっかけ作りにも出来る。この作品はスーパーN1耐久レースの魅力と面白さを伝えるために、若いゲーマーの世代とかを中心に受けやすいよう当時主流だったリッジ寄りの爽快感のある挙動で、また本来実際のスーパーN1耐久レースは長時間走る耐久レースの選手権であるが、こちらもとっつきやすいよう、普通のレースゲームと同じスプリントのアーケード色の強い構成となったのだろう。ちなみに、この後にデジタルフロンティアは同じく当時の人気のレースのカテゴリーであった全日本GT選手権とタイアップしたPS1のレースゲームを販売している。
↑こちらでも当時のGTアソシエーションの選手兼会長であった高橋国光氏らがゲーム内で流れるムービーに出演したりと、こちらもゲーマーに対してのプロモーションの面が強い作品でもある。レースゲームを通して実際のレースに足を運ぶようになる、両者はそんなきっかけを作った作品でもあり、共に今でもシリーズの人気を支えているファンがいると思うと、少なからず貢献していたという事であろう。グランツーリスモの方でも車の世界に興味を引くようになったきっかけになった人も少なからずいるのでは?
ゲームが発売された当時はバブル期のF1ブームの余韻もあってか国内外でモータースポーツの人気も高まっていた時代だが、まだそんなにモータースポーツに詳しくない一般層のユーザーや若い世代、特にゲーマーにとってはネットがあまり今よりも普及していなかった当時、こうしたモータースポーツのレースの存在を知る方法としてはそのレースの情報が載っているモータースポーツ専門の雑誌やテレビ番組やビデオとかで知るしかなかった。だが、こうしたゲームは他のメディアよりもその魅力と面白さを体感として伝えやすく、そして『このゲームでN1耐久レースの魅力を知ったら、実際のレースを見に来てね!』と足を運ぶきっかけ作りにも出来る。この作品はスーパーN1耐久レースの魅力と面白さを伝えるために、若いゲーマーの世代とかを中心に受けやすいよう当時主流だったリッジ寄りの爽快感のある挙動で、また本来実際のスーパーN1耐久レースは長時間走る耐久レースの選手権であるが、こちらもとっつきやすいよう、普通のレースゲームと同じスプリントのアーケード色の強い構成となったのだろう。ちなみに、この後にデジタルフロンティアは同じく当時の人気のレースのカテゴリーであった全日本GT選手権とタイアップしたPS1のレースゲームを販売している。

↑こちらでも当時のGTアソシエーションの選手兼会長であった高橋国光氏らがゲーム内で流れるムービーに出演したりと、こちらもゲーマーに対してのプロモーションの面が強い作品でもある。レースゲームを通して実際のレースに足を運ぶようになる、両者はそんなきっかけを作った作品でもあり、共に今でもシリーズの人気を支えているファンがいると思うと、少なからず貢献していたという事であろう。グランツーリスモの方でも車の世界に興味を引くようになったきっかけになった人も少なからずいるのでは?
それを踏まえてみれば、このソフトの発売から約3ヶ月後に発売される
初代グランツーリスモ
で当時としては完全なるリアルな挙動のレースゲームが出たという事がいかに衝撃的な作品だったか実感できるだろう。このゲームもグランツーリスモ以前の『リアル』と万人受けしやすい『アーケード』色の境界線を彷徨っていた、グランツーリスモ登場前夜を象徴するレースゲームであったのだ。
小ネタと裏技
フリーレースモードで登場する車両を変える裏技
まず、プレステ本体に2P側にコントローラーが挿さっている状態で、2P側のコントローラーで以下の組み合わせのコマンドを入力しながらゲームを立ち上げると、フリーレースモードで登場する車両を変える事が出来る。こんな機能がなぜあると考察すれば恐らくこの裏技は当時N1耐久に参戦していた各メーカー、スポンサーによるこのゲームを使った試遊や大会などのイベントで、そのメーカーやスポンサーに合わせてプレイできるようにした配慮だろうと思われる。
- ホンダ車のみになる R1ボタン+スタートボタン+下キー+□ボタン
- アドバンがスポンサーのチームの車のみになる R1ボタン+スタートボタン+下キー+▲ボタン
- Class 1に出場する車両のみになる R1ボタン+スタートボタン+上キー+○ボタン
- カストロールがスポンサーのチームの車のみになる R1ボタン+スタートボタン+上キー+□ボタン
- ダンロップがスポンサーのチームの車のみになる R1ボタン+スタートボタン+上キー+▲ボタン
バグ技
- MT車でプレイしている時に下り坂でクラッチを切るとClass1の車両の車と同じような加速をしてしまう。
- さらにクラッチを切ったままブレーキを押すと少しの間スピードメーター通りの速度が出る。
ギャサズインテグラに関してのトリビア
Class3に出場しているギャサズインテグラは当時現在の国会議員でお馴染みの三原じゅん子氏が乗っていた車で、佐藤久実氏との女性タッグでこの年のクラスタイトルを獲得している。