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ホンダ NSX Type S Zero '97

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ホンダ NSX Type S Zero '97
メーカー ホンダ
英名 Honda NSX Type S Zero '97
年式 1997
エンジン C32B
タイプ ロードカー
カテゴリー N300
PP(初期値) XXXX
総排気量 3,179cc
最高出力 291PS/7,300rpm
最大トルク 31kgfm/5,500rpm
駆動形式 MR
吸気形式 NA
全長 4,430mm
全幅 1,810mm
全高 1,160mm
車両重量 1,230kg
重量バランス 45対55
トランスミッション 5速
最高速度 XXXKm/h (フルノーマル時)
登場 グランツーリスモ
グランツーリスモ2
グランツーリスモ3:A-Spec
グランツーリスモ4
グランツーリスモ(PSP)
グランツーリスモ5
グランツーリスモ6
備考 タイプRに変わるNSXのスパルタン仕様。
エンジンの排気量も向上しパフォーマンスも高まったNSX。

概要

1997年2月にマイナーチェンジされた際に追加したNSX Type S Zeroは、中身がガラリと変わっているモデル。
もっとも大きな変更点は搭載エンジンがC32B型へと変わった事で、排気量は3,179ccへと拡大した。
搭載されるトランスミッションも6速MTとなり走りのグレードも向上したが、AT仕様はギアのトルクスプリットの都合上、搭載エンジンは従来のC30A型のままで型式名はNA1となり「Type S」関連のモデルも設定されていない。
詳しい解説は 1990年モデル を参照。

このType S Zeroのモデルは日本国内仕様限定でMTモデルに Type S と共に設定されたもので、立ち位置的にはマイナーチェンジ前に設定されていたスパルタンモデル「Type R」の後継的な存在だが、開発LPLを務めた上原繁氏によれば「さらにタイプRが持っている色気を無くしてハードにした」モデルとなっているそう。 具体的に言うと、この「Type S Zero」には「Type S」モデルをベースに、エアコンもオーディオの快適装備は一切無くして徹底的に軽量化。サスもサーキット走行前提の硬めのサスというスパルタンなものとなっている。 なおスパルタン過ぎたのと「R」の文字が無いというのはやはり重く、一説によると97-02と5年の販売期間があったが、販売台数は14台だという。

解説

1997年に登場したNSX Type S Zeroは、ホンダという企業の技術哲学を最も純粋に体現した一台だった。3.2リッター化されたNA2型NSXを母体に、走行性能のみに焦点を絞って設計されたこのモデルは、「機械と人間の感覚の一致」を限界まで突き詰めた研究的試作車に近い存在である。Type Sをベースとしながら、装備や快適性を可能な限り削り落とし、動的性能の純度を高めるためだけに作られた車体は、当時のホンダが掲げていた“人間中心のスポーツカー”という理念の集大成であり、また後のNSX-R(NA2型)に至る思想的中継点でもあった。

1990年に初代NSXが登場した時、それは世界初のオールアルミ・モノコックボディを採用した量産スーパースポーツとして衝撃を与えた。車体は軽量かつ高剛性で、鋭い操縦性を備えながらも扱いやすく、フェラーリやポルシェのような高性能車を「誰でも運転できるスーパーカー」に変えたと評された。しかし、その後の時代は変化していく。1995年にエンジンがC32B型3.2リッターへ拡大され、6速マニュアルトランスミッションが採用されると、パワーとトルクは増大した一方で、車体には装備の充実や静粛性の改善が求められ、重量は増していった。快適性と完成度を高めることは顧客の期待に応える方向だったが、同時に初期型NSXの持っていた“生身の鋭さ”を希薄にしていった。開発陣の中では「もう一度、原点に戻って純粋に走りのためだけのNSXを作るべきだ」という声が上がる。それがType S Zero誕生の直接的な動機だった。

Type S Zeroは、Type Sをベースにしながらも、性格は全く異なる。Type Sが「スポーツ性と実用性の均衡」を意図したのに対し、S Zeroは快適性を徹底的に排除し、走る・曲がる・止まるという三要素の精度を最大化するための構造実験車だった。開発陣は、初代NSX-R(NA1型)が持っていたピーキーな回頭性と高回転型エンジンの緊張感を、より大きなトルクと高い剛性をもつNA2プラットフォーム上で再構築しようとした。つまり、S Zeroは単に“Rを再現する車”ではなく、“成熟したNA2を人間の神経に近づける車”として設計された。

搭載されるC32B型エンジンは、アルミ合金製ブロックと鍛造ピストンを採用したオールアルミ構造で、280PS/7,300rpm、31.0kgm/5,300rpmを発生する。Type Sや標準NA2と公称出力は同一だが、軽量化されたシングルマス・フライホイールが組み合わされ、回転系の慣性が低減されている。これによりスロットル開度に対する回転上昇が俊敏になり、エンジンの反応が機械的な鋭さを持つ。6速マニュアルはクロスしたギア比を採用し、VTEC作動域を維持しながら加速を繋げる設計。クラッチおよびシフトリンケージの剛性は最適化され、変速時の入力遅延をほとんど感じさせない。TCS(トラクションコントロール)は非装着とされ、電子制御介入を一切排除した。駆動は当時のNA2世代で一般的だったトルク感応式LSDによって制御され、路面からの入力をそのまま駆動挙動に反映する構成となっている。

この車の中心思想は、徹底した軽量化にあった。標準クーペ(パワーステアリング装着車)比で約96kg軽く、Type S比でも約50kg軽いとされる。エアコン、オーディオ、パワーステアリング、SRSエアバッグ、トラクションコントロールといった装備はワイヤーハーネス単位で削除され、遮音材やフロアカーペットも取り払われた。リアガラスは薄型化され、バッテリーは軽量タイプに変更。シートはカーボンケブラー製のレカロバケット、ホイールはBBS製鍛造アルミを採用し、バネ下重量を軽減している。細部に至るまで質量分布が再設計され、単なる装備削減ではなく「慣性の再構成」による動的効率化が図られた。前後慣性モーメントは標準NA2比で約1割低下し、応答遅延が著しく短縮されたとされる。

サスペンションはType Sからさらに高剛性化されている。フロントスプリングレートは8.0kgf/mm、リアは6.0kgf/mm、スタビライザー径はフロント18.3mm、リア19.1mm。ダンパー減衰力はフロント伸び側319kgf/縮み側226kgf、リア伸び側315kgf/縮み側222kgf(速度0.3m/s時)に設定されており、路面入力に対する反応を遅延なく伝えるように設計されている。ダンパーマウントブッシュは370kgf/mmの高剛性仕様。これにより車体の初期応答は鋭く、荷重変化のリニアリティが極めて高い。パワーステアリングを廃した機械式ラック&ピニオン操舵系は、速度域によって操作力が大きく変わる。低速では重く、駐車操作では筋力を要するが、中速から高速域では入力トルクと反力がほぼ線形で、タイヤの摩擦限界や接地圧の変化が手のひらにそのまま伝わる。こうしたダイレクトな操舵感は、電子制御の介在を嫌う当時のホンダ開発陣の理想に合致していた。

走行特性は、初代NSX-R(NA1型)のような神経質さを排しつつ、標準NA2よりもはるかに緻密で正確な挙動を示す。3.2リッター化によるトルクの厚みが車体を安定させ、荷重移動をより穏やかにすることで、限界域での挙動は扱いやすい。ブレーキングから旋回への過程ではフロント荷重が素直に抜け、ヨーの立ち上がりはリニア。切り返し時の過渡応答も滑らかで、ステアリング操作に対する車体の反応が一致している。NA1型Rが「ナイフのような切れ味」を持つなら、S Zeroは「筋肉のしなやかさ」を持つ車だと言える。鋭さの中に柔らかさがあり、入力と応答が連続的につながる感覚こそがこの車の本質だった。

Type S Zeroは、単なる派生仕様ではなく、開発チームにとっては“研究素材”に近い車だった。軽量化によって得られた挙動データや剛性配分のフィードバックは、後の2002年登場のNA2型NSX-Rへと継承されていく。Zeroで検証されたシングルマス・フライホイールや高剛性ブッシュ、軽量ガラスなどの要素は、そのままRの量産化プロセスで採用された。Type S ZeroはRの「前段階」ではなく、「成立のための橋渡し」であり、ホンダが再び“人が操る喜び”を設計の中心に据えるための理論的基盤だった。

この車が特別なのは、単に数値性能を高めたという点ではない。Type S Zeroの開発哲学は、機械構造と人間の感覚を等価な情報系として扱うことにあった。電子制御を用いず、ドライバーが直接入力し、その結果が車体運動として即座に返る。その応答の純度をどこまで高められるか――それが開発陣にとっての核心だった。ステアリングからの反力、ペダルの踏力変化、シートを通じた車体の振動、それらすべてが一つのフィードバックループを構成し、車が人間の感覚拡張装置として機能するよう設計されている。

Type S Zeroの存在意義は、市販スポーツカーの歴史の中でも特異である。1990年代後半は電子制御技術が急速に進歩し、ABS、TCS、パワーステアリングなどが高性能車にも標準装備化されていった時代だった。そうした潮流の中で、S Zeroは意図的に電子補助を取り除き、アナログ的な操作感の精度を極限まで高めた。これは“時代の逆行”ではなく、技術的な純度の実験であった。人間の知覚と機械の動作をどこまで直接的に結びつけられるか――その試みは、後のホンダ車開発にも深く影響を与えていく。

生産台数はごく少数にとどまり、30台前後と伝えられている。販売は控えめで、カタログ上でも特別な宣伝はなかった。実際、Type S Zeroの多くは一般顧客よりもテストドライバーやホンダ社内の評価部門によって運用され、量産よりも実験的意味合いが強かったとされる。ゆえに今日、現存個体は極めて稀少であり、NSX史の中でも半ば“幻”の存在とされている。

Type S Zeroは、電子制御が主流となる時代のなかで、人と機械の関係を再定義した車だった。そこにはスペック競争を超えた、操作と応答の哲学があった。車がまだ人間の延長として作られていた最後の時代――その頂点に立つ一台が、このNSX Type S Zero ’97である。

登場シリーズ

グランツーリスモ


グランツーリスモ2


グランツーリスモ3: A-Spec

アマチュアリーグのプレゼントカーで入手できる
[相手の登場]
アマチュアリーグ(日本選手権)(MRチャレンジ)
プロフェッショナルリーグ(レース・オブ・NAスポーツ)

グランツーリスモ4


グランツーリスモ(PSP)


グランツーリスモ5


グランツーリスモ6


コメント

  • NSX タイプs は、確か6mtが標準装備されてましたね。 -- (NSX大好き君) 2024-01-18 08:01:44
  • NSX type s は初代グランツーでレーシングモディファイするとえげつないほど軽くなってましたね。懐かしいですね -- (ネット) 2024-08-08 10:03:12
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