| ホンダ シビックフェリオ Si-II (EK) '97 | ||
![]() | ||
| メーカー | ホンダ | |
|---|---|---|
| 英名 | Honda Civic Ferio Si-II (EK) '97 | |
| 年式 | 1997 | |
| エンジン | B16A | |
| タイプ | ロードカー 4ドアスポーツセダン | |
| カテゴリー | N200 | |
| PP(初期値) | XXXX | |
| 総排気量 | 1,595cc | |
| 最高出力 | 170PS/7,800rpm | |
| 最大トルク | 16.0kg/7,300rpm | |
| パワーウエイトレシオ | XX.XXkg/PS | |
| 駆動形式 | FF | |
| 吸気形式 | NA | |
| 全長 | ---mm | |
| 全幅 | ---mm | |
| 全高 | ---mm | |
| 車両重量 | ---kg | |
| 重量バランス | XX対XX | |
| トランスミッション | 5速 | |
| ダート走行 | 可能 | |
| 登場 | グランツーリスモ グランツーリスモ2 | |
| 備考 | カローラセダンの対抗車種として開発された、 シビックベースのセダン | |
概要
1995年に6代目としてフルモデルチェンジを受けたシビックフェリオ(EK型)。通称は「ミラクルシビック」である。
当車はSi-IIで、スポーツ系上級仕様に基本構造はEK型シビック・セダンと共通しており、ホイールベース2620mmの高剛性モノコック、前後ダブルウィッシュボーンサスペンション、軽量化と遮音性を両立したキャビン構造が採用された。ボディ寸法は全長4450mm、全幅1695mm、全高1390mmとなり、国際的なコンパクトセダンとしての最適バランスを備えている。
アメリカ(北米)では 「Civic Sedan」 、アジアでは「Civic Ferio」として輸出販売されていた。
当車はSi-IIで、スポーツ系上級仕様に基本構造はEK型シビック・セダンと共通しており、ホイールベース2620mmの高剛性モノコック、前後ダブルウィッシュボーンサスペンション、軽量化と遮音性を両立したキャビン構造が採用された。ボディ寸法は全長4450mm、全幅1695mm、全高1390mmとなり、国際的なコンパクトセダンとしての最適バランスを備えている。
アメリカ(北米)では 「Civic Sedan」 、アジアでは「Civic Ferio」として輸出販売されていた。
解説
1990年代後半、ホンダが「人と機械の自然な調和」を理念としていた時代に、その思想をもっとも日常的な形で具現化した一台がシビック フェリオ Si-IIである。1997年、6代目シビック(EK型)のマイナーチェンジに合わせて登場したこのグレードは、同じ年にデビューしたCivic Type R(EK9)と並び立ちながらも、その対極に位置する“公道で使えるVTECスポーツセダン”として設計された。
フェリオとは、日本国内で販売された4ドアセダン型シビックの名称で、Si-IIはそのスポーツ系上級仕様にあたる。基本構造はEK型シビック・セダンと共通し、ホイールベース2620mmの高剛性モノコック、前後ダブルウィッシュボーンサスペンション、軽量化と遮音性を両立したキャビン構造を採用。ボディ寸法は全長4450mm、全幅1695mm、全高1390mmで、国際的なコンパクトセダンとしての最適バランスを備えていた。車両重量はおよそ1,090kg前後。1998年に正式化される衝突安全構造「G-CON(G-Controlled body)」の思想は、この世代ですでに骨格設計の段階で先行的に盛り込まれていた。
心臓部には、1.6リッター直列4気筒DOHC VTEC・B16A型を搭載。5速MT仕様で最高出力170PS/7,800rpm、最大トルク16.0kgm/7,300rpm、4速AT仕様では155PS/7,300rpmを発生し、自然吸気として当時世界屈指の出力密度を誇った。VTEC機構により、低回転域では燃焼効率を重視した穏やかな特性、高回転域では急峻なカムプロフィールによる鋭い加速を実現。点火制御や吸気経路の改良により、EG型時代よりレスポンスと高回転域の伸びが向上している。排気系はO₂センサー制御付き三元触媒を採用し、LEV基準に適合。トランスミッションはクロスレシオの5速MTが基本で、4速電子制御ATも選択可能。駆動方式はFF(前輪駆動)。
足まわりはフロント/リアともダブルウィッシュボーン式で、ショックアブソーバーの減衰特性とスプリングレートをSi-II専用にセッティング。これにより、日常域ではしなやかさを保ちながら、高速旋回時には応答遅れのないリニアな挙動を示した。ブレーキは前ベンチレーテッドディスク、後ディスクを装備し、年次変更でABSが標準化された。ステアリングは油圧式ラック&ピニオンで、操舵フィールは軽快ながらも中立付近の剛性感が高く、当時の同クラス車(カローラBZR、リベロGTI等)と比して最も人間の感覚に近いハンドリングと評された。
外観はベースモデルより控えめながらも空力的配慮が随所に見られる。ボディ同色のサイドモールとドアミラー、専用15インチアルミホイール、リアスポイラーが装備され、視覚的には落ち着いた上質さを保ちつつ、脚まわりと佇まいでスポーツ性を表現した。内装は黒基調のトリムに赤ステッチ入りのファブリックシートを採用し、メーターはホワイトスケール仕様(年式によりブラック仕様も併売)。エアコンや電動ミラーなど快適装備も標準で、Type Rのような徹底軽量化は行われていない。
走行性能は公称値として0-100km/h加速の記載はないものの、当時の試乗計測で7秒台前半を記録した例もあり、リミッター作動までストレスなく吹け上がるエンジンフィールが特徴であった。レブリミットまでの伸びはB16Aらしい乾いたメカニカルサウンドを伴い、ステアリング応答、ペダルフィール、シフトタッチのすべてが調和しており、ホンダが提唱した「人間中心の運転操作系」を実際に体感できるバランスに仕上がっていた。
このSi-IIは、同年に登場したType Rが“純粋なレーシングDNA”を体現したのに対し、“現実的な日常とVTECの高揚”を両立したモデルとして位置づけられる。つまり、EK9が「非日常の興奮」なら、Si-IIは「日常の中にある快楽」である。ホンダはこの時代、スポーツと実用を明確に分離する戦略を採り、Si-IIはその分岐点に立つ存在であった。
総じて、シビック フェリオ Si-II(EK4)は、1990年代のホンダが示した“走りの哲学”をもっとも調和的に体現したスポーツセダンである。鋭すぎず、鈍くもない。機械と人の動きが自然に一致するその感触は、電子制御が支配する前夜の、最後のアナログ的純度を宿していた。Type Rに憧れながらも、毎日をVTECで走り抜けたい人々にとって、Si-IIは最適解であり続けた。

