| ホンダ シビック TYPE R '08 | ||
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| メーカー | ホンダ | |
|---|---|---|
| 英名 | Honda Civic TYPE R '08 | |
| 年式 | 2008 | |
| エンジン | K20A | |
| タイプ | ロードカー 4ドアスポーツセダン | |
| カテゴリー | N300 | |
| PP(初期値) | XXX | |
| 総排気量 | 1,998cc | |
| 最高出力 | 225ps/8,000rpm | |
| 最大トルク | 21,9kgfm/6,100rpm | |
| パワーウエイトレシオ | XX.XXkg/PS | |
| 駆動形式 | FF | |
| 吸気形式 | NA | |
| 全長 | 4,540mm | |
| 全幅 | 1,770mm | |
| 全高 | 1,430mm | |
| 車両重量 | 1,270kg | |
| 重量バランス | XX対XX | |
| トランスミッション | 6速 | |
| 登場 | グランツーリスモ5 グランツーリスモ6 | |
| 備考 | シビックにおけるFD型 初代と同じく中古価格が爆上がり中。ひええ……。 | |
概要
2007年3月29日に8代目のシビックをベースにフルモデルチェンジを受けたシビック タイプR(FD2型)は、1997年8月22日に初登場した初代から数えて3代目に当たる。
また、4ドアセダンのタイプRとしては 初代インテグラ タイプR(以下インテグラ) 以来となり、商品構成的にはモデル廃止となったインテグラやアコード ユーロRを統合した形となっている。
また、4ドアセダンのタイプRとしては 初代インテグラ タイプR(以下インテグラ) 以来となり、商品構成的にはモデル廃止となったインテグラやアコード ユーロRを統合した形となっている。
FDと聞くとマツダの超有名な2ロータリー搭載のスポーツカーをイメージするだろうが、こちらも負けず劣らずのスポーツモデル。
搭載されたエンジンは DC5型インテグラ や 先代シビック などに搭載されたK20A型直列4気筒エンジンであるが、DC5のものではなくCL7型アコードユーロR用のエンジンブロックの採用(というか流用)・吸排気系の見直し・圧縮比の向上などにより最高出力は225psに上昇している。
搭載されたエンジンは DC5型インテグラ や 先代シビック などに搭載されたK20A型直列4気筒エンジンであるが、DC5のものではなくCL7型アコードユーロR用のエンジンブロックの採用(というか流用)・吸排気系の見直し・圧縮比の向上などにより最高出力は225psに上昇している。
単純なカタログスペック上では先代比でたった5psしか向上していないものの、その一方で中回転域では10ps以上もパワーアップを果たしており、高回転型で低速トルクはあまり大きくなかった従来のホンダスポーツエンジンとは異なり、全域でトルクフルな特性で扱いやすさ・パワーも満点の仕上がりなった。ボディ剛性はインテグラに対し約50%向上させるなど、FFモデルのタイプR史上最速を目標に徹底的な性能向上が図られた。これまでのタイプRと異なる装備として、レカロ社製シートでは無く、新たにホンダオリジナルのRspecシートが採用されている。2008年にマイナーチェンジがなされたが、ボディ塗装色やテールランプの形状変更・電動格納式カラードドアミラーの装着・硬すぎたサスペンションの設定を変更した程度で、メカニズムに大きな変更はなかった。
そして2010年、排ガス規制への対応が困難という理由で生産終了を公表し、限定販売されたタイプRユーロを除き、タイプRの血統は途絶えることとなった。
その後、2015年12月に FK2 として約5年ぶりに限定販売として復活した。
その後、2015年12月に FK2 として約5年ぶりに限定販売として復活した。
ちなみに発売から今の今に至るまで中古価格がほとんど下落せず、資産としても中々優秀なクルマでもある。興味のある方、買うだけ買って遊んでみるのはいかが?(コイツも旧車化しつつある現状ホンダ車伝統のゴソウダンブヒンに徐々に悩まされつつあり、目一杯遊び倒すなら本当に今が最後のチャンスと言ったところである。)
無限がチューンした限定仕様車「MUGEN RR」は中古価額が爆上がりしており、状態の良い物では1400万円台もするほど。無論、もう少し先の話だが、このクルマがアメリカの25年ルールの対象になったらもうねぇ……。
無限がチューンした限定仕様車「MUGEN RR」は中古価額が爆上がりしており、状態の良い物では1400万円台もするほど。無論、もう少し先の話だが、このクルマがアメリカの25年ルールの対象になったらもうねぇ……。
解説
2000年代半ば、本田技研工業は経営と技術の両面で転換期を迎えていた。環境対応とコスト効率が最優先され、アコードやフィットといった量販モデルのグローバル統合開発が進む一方、創業以来の象徴であった高回転自然吸気エンジンと軽量・高剛性シャシーを核とする「操る歓び」は、企業戦略上の中心から外れつつあった。マニュアルトランスミッション車の販売比率は低下し、モータースポーツ由来の技術開発は社内でも限られた領域に留まっていた。しかし、栃木研究所四輪R&Dセンターにはなお「機械そのものの精度で速さを表現する」という思想を守り抜く技術者集団が存在した。彼らが自らの理想を具現化するために立ち上げたのが、FD2型シビック TYPE Rである。
開発責任者(LPL=Large Project Leader)は假屋 満。假屋はシビックSiRやインテグラタイプR(DC2/DB8)の運動性能解析に携わり、操舵応答と車体剛性の整合を重視してきた技術者である。テーマは「操る歓びの復権」。電子制御を排し、ドライバーの入力に対して車体が即応する構造を徹底的に追求することが目標とされた。開発拠点は栃木研究所、試験・量産は鈴鹿製作所で行われた。2004年に基本設計が完了し、2005年の第39回東京モーターショーで「Civic TYPE R Concept」として初披露。2007年3月30日に市販モデルとして発売された。型式はABA-FD2、価格は2,835,000円。欧州仕様FN2とはプラットフォームもパワートレインも異なる国内専用設計車である。
ボディ形式は4ドアセダン。これは市場的判断ではなく、構造上の合理性によるものだった。ハッチバックに比べて閉断面構造を形成しやすく、ねじり剛性を高めやすいためである。量産シビック(FD1/FD3)の骨格を基礎としつつ、Aピラー下部、リアフロアクロスメンバー、サスペンション取付部、トランク開口部に高張力鋼板を追加し、スポット溶接点を増設。溶接打点は標準車比で約1.5倍とされ、ボディ全体の結合剛性が向上した。これによりサスペンション入力がボディ変形に逃げず、操舵応答が正確に再現される構造が実現した。假屋はこの段階で「剛性は乗り味を決める基礎であり、エンジンよりも先に作り込むべき要素」と述べている。
エンジンはK20A型 2.0L直列4気筒DOHC i-VTEC。形式上はインテグラタイプR(DC5)と共通だが、内部構造は専用化されている。ブロックは専用鋳造、クランクシャフトは鍛造一体型、ピストンは高圧縮仕様(圧縮比11.7)。吸気系は大径スロットル(62mm)を備えたロングランナーインマニ、排気系は4-2-1等長エキマニを採用。最高出力225PS/8,000rpm、最大トルク21.9kgm/6,100rpm、リミット8,600rpm。自然吸気エンジンとしてリッター当たり112.5PSを達成し、当時の量産NAとして世界最高水準であった。VTEC機構は油圧制御による吸排気連動可変リフト方式で、高回転時には吸排気ともハイプロファイルカムに切り替わる。潤滑系にはリブ補強付きオイルパンを採用し、旋回時の油偏りを抑制。オイルポンプ容量も専用設定とされ、連続高回転時の油膜安定を確保した。エンジンマウントは金属接触部を強化し、振動遮断よりも情報伝達性を優先するチューニングが施されている。
トランスミッションは専用クロスレシオ6速MT。シンクロには高強度素材を使用し、高回転域での確実な同期を実現。ファイナルギア比は5.062。クラッチは強化ダイヤフラム式で、操作力と伝達トルク容量のバランスが取られている。ギア操作はショートストロークで、操作系全体がドライバーの自然な可動域に収まるよう設計された。電子制御装置はABSと電子スロットル(DBW)のみで、車両安定制御装置(VSA)やトラクションコントロール(TCS)は装備されていない。これは假屋が「ドライバーの入力を機械が判断する余地を排する」方針を徹底した結果である。
サスペンションは前ダブルウィッシュボーン、後マルチリンク。標準シビックのトーションビーム式を完全に廃止し、走行安定性と接地性を最優先した。前輪はキャンバー剛性を確保するため、ロアアーム取付位置を変更。ステアリング軸のキャスター角を大きく設定し、セルフアライニングトルクを高めている。リアはアーム配置を最適化し、旋回時の接地性を向上。減衰力特性は前後で独立設計。ステアリングは油圧式ラック&ピニオンで、電動アシスト式は採用されていない。ブレーキは前にブレンボ製対向4ピストンキャリパー+大径ベンチレーテッドディスク、後はソリッドディスク。タイヤはブリヂストンPOTENZA RE070(225/40R18)、ホイールは18×7.5J鍛造アルミ。
外装は量産シビックとは別設計。フロントバンパー、グリル、サイドシル、リアバンパー、トランクスポイラーはすべて専用であり、空力性能と冷却性能の両立を目的とした。Cd値は約0.30。200km/h域においても前後のリフトバランスをほぼゼロに保つよう設計されている。フロア下には整流パネルを配置し、リアディフューザーにより負圧を制御。高速走行時の安定性を確保した。車両重量は1,270kg、前後重量配分は約60:40。ボディカラーはチャンピオンシップホワイトを中心とし、TYPE Rの伝統を継承している。
内装は赤と黒を基調に構成。専用設計のバケットシートは高剛性骨格を持ち、着座位置とペダル角度が最適化されている。ステアリングは小径三本スポークタイプ。メーターは中央に9000rpmスケールのタコメーターを配置し、レッドゾーンは8300rpmから。ペダルレイアウトはヒール・アンド・トゥ操作を考慮して設計され、ブレーキとアクセルの高低差を最小限に抑えた。
2008年モデルはマイナーチェンジのみで、機構的な変更はない。シート表皮やホイールカラーの微調整に留まり、走行性能に関わる主要部は同一仕様である。開発段階から完成度が高く、追加改良の余地が少なかったとされる。
FD2の操縦特性は、前輪駆動でありながら高い回頭性を持つ点が特徴である。減速旋回時の荷重移動が線形で、ステアリング入力に対する応答が極めて自然。これは剛性分布、サスペンションジオメトリ、LSD作動特性、ドライバー位置など複数要素の総合的整合によって成り立っている。假屋は「単一の部品性能ではなく、システムとしての挙動整合を最優先した」と述べており、この設計思想が後のTYPE Rにも引き継がれていく。
当時のライバルであるランサーエボリューションXやインプレッサWRX STIが電子制御四輪駆動によって安定性を高めていたのに対し、FD2は極力、電子介入を排した。すべての挙動はドライバーの入力次第で変化する構造であり、この点が多くのメディアに「純粋なドライバーズカー」と評された理由でもある。
2010年4月、排出ガス規制改定と生産合理化を理由にFD2の生産終了が発表された。8月末で生産を終え、同年春には英国スウィンドン製3ドア「Civic Type R EURO(FN2)」が1,500台限定で導入された。FN2は快適性を重視したハッチバックであり、構造的剛性や回頭性の点でFD2とは性格を異にしていた。FD2はホンダが純粋な機械スポーツとして開発した最後のモデルとなった。
その後、FD2の思想はFK2、FK8、そして現行FL5へと継承される。ターボ化と電子制御が進んだ現代においても、ホンダが定める操舵応答の基準値やシフトフィールの目標値はFD2が起点である。假屋の掲げた「入力と挙動の一次比例関係」は、今なおTYPE R開発陣の共通概念として生き続けている。
FD2型シビック TYPE Rは、単なる高性能セダンではない。電子制御以前の時代に、純機械構造のみで人間の運動感覚を最大限に拡張した実験であり、ホンダという企業の思想を記録した構造体である。高剛性モノコック、専用K20A、6速MT、油圧ステアリング、LSD、そして制御に頼らない運動設計。これらすべてが一体となって“操る歓び”という概念を具現化した。FD2は技術的にも文化的にも、ホンダスポーツの最後の純粋形態として位置づけられる。
登場シリーズ
グランツーリスモ5
Cr.2,835,000で購入可能。
グランツーリスモ6
Cr.2,835,000で購入可能。
コメント
- 90年代生まれは運転免許取得時に、これのベース車が教習車だった人が多いと思う -- (名無しさん) 2023-11-21 16:52:03
- やっぱり古いホンダ信者として、老.害ジジイとして想像するタイプRといえばこの型が最後だと思ってる。エンジンはさておき、及第点の剛性にそこそこ軽いボディでコーナリングスピード激速っていう隠れたコンセプトは失ってほしくなかった -- (名無しさん) 2025-03-31 23:27:44
- FD2を収録しないポリフォまじヤバすぎるだろうが -- (名無しさん) 2025-09-09 03:53:06

