目次
9.未来型食生活
10.便利な空中邸宅
11.未来人のための肉体強化法
(一九八九年三月十三日の霊示)
1.科学の進展を促した三つの理由
アイザック・ニュートンです。
さて、本章は最終章になるということですので、未来科学のあり方、また霊天上界にあって、予見される今後の科学を取り巻く時代の環境について語りたいと思います。
科学に関しては、人類はそうとうの期待を集めている、期待を寄せていると思えるのです。いったいどういう世の中が今後くるのだろうか。
もちろん、宗数的福音というものもあるでしょうが、宗数的福音は、従来、ともすれば心のなぐさめ的に使われてきたことが多かったのに対して、科学そのものは発展・推進の原理、その具体化の原理として力を発揮してきたものであり、今後もますます本領を発揮していくであろうと推定されているのです。
さて、未来科学がいったいどのようになるか、ということは、実は地上に生きているみなさんが、今、どういう社会の到来を、どういう生活の到来を理想とするか、あるいは理想とする可能性があるかということと関係があるのです。科学の進展は、その進展を促した理由として、三つのものがあると思えるのです。
第一には、人間は飽くなき興味・関心を持ってきたということ。この飽くなき興味、関心によって科学の発展があった。したがって、この興味、関心ということが、第一番目にあげられます。
第二には、創意工夫ということです。心を尽くし、思考を尽くして、よいものを生み出していこうとする努力、これが科学の根源にあります。
科学の根源の第三にあるものは、何であるかというと、不思議な現象に説明をつける、それを客観的、合理的なものとして、説明をつけるというところにあるのではないかと思います。このような性格がきわめて私たちが必要とするもの、卑近な材料そのものを変えていく原動力になっているのだと思います。
すなわち、科学というものは、人間の心に去来したもの、人間の頭脳に去来したものを、それを三次元世界において具体的に実現していく力というふうに言い換えてもよいでしょう。すなわち、発想を具体化する、現象化する力ということです。これが科学なのです。あるいはもちろん逆の言い方も可能ではありましょう。現実の世界の中から、帰納していく力、現にあるもののなかに潜んでいるルールを発見していく力、こういうふうにも考えることもできるでしょうが、ニュートンとしての私の生涯をふり返ってみると、ほとんどがそうしたものではなくて、天上界から天降ってきたように、次つぎとアイデアが生まれ、そのアイデアをこの世界において、どのように活用するか、発揮するか、ということに主眼があったと思えるのです。
2.いっそう情熱を注がれるべき天才教育
ここにおいて、私は、もういちど天才論が必要だというふうに、今、感じています。天才論が必要であり、天才教育が必要である。そのことに、強く心を引かれるのです。各国の政府は、国民すべてのレベルを上げるという努力をするのは当然のことながら、天才教育というものに、もっともっと情熱を注がねばなりません。日本という国においても、この国を将来的に発展させていくためには、本格的に天才を養成するということに取り組まねばなりません。これをしなければ、国の繁栄・発展はありません。ぜひとも、ぜひとも天才教育ということに力を注いでいただきたい。
天才たるものは、いったいどういう特徴を持っているかと言えば、このインスピレーション、天降ってくるインスピレーション、あふれ出てくるインスピレーションというものを受け取って、この意味を解読し、そしてこれを解説し、三次元世界のなかにおいて実現していく、こういう力を持っているのです。そうすると、この天才たちを保護するためには、どうしなければならないかというと、この天降ってくるインスピレーションを受け取るということが可能になるような体制をつくってやること。そして、それを公表、発表することに関して、彼らが傷ついたり、迫害を受けたりしないようにしてやること、こういう配慮がとてもとてもだいじであるのです。
したがって、こうしたこの世ならざるものを感じとり、それを発表するという人たちに対し、彼ら個人個人の勇気を必要条件とするのではなくて、そうしたものをすばらしいものとして、受け止める土壌をつくっていかねばなりません。私は、そのように思います。
ですから、今後科学にさまざまな進展があるでしょうが、それらはどれも生きている人間というものを介在として現われてくるものなのです。人間というものを介在しなくて、突然に現われることは決してないのです。必ずだれかの手によって、だれかの発明によって、だれかの創意工夫によって地上に現われてくるものなのです。
3.睡眠調整によるライフスタイルの変化
さて、人間が興味関心を持ち、創意工夫をし、そして合理的に説明をつける。こうした方向のなかに未来科学が見えるという話をいたしましたが、では現代人が、今後、興味関心を持つものはいったい何でしょうか。どのようなものに対して興味を持ち、関心を持っていくのでしょうか。それは本書の読者各人の胸に描くことでもあるでしょう。あなた方は、どういう世界に住んでみたいか。今自分の思いのままの環境が展開するとして、どういう環境を考えるか。そうしてみると、人間は無駄を省きたいという気持ちが、ひじょうに強いでしょう。できるだけ無駄を省いて、自分の自由な時間を確保したい、値打ちのある活動に没頭したい、こういう気持ちが強いであろうと思います。
そうすると、現代社会を見ていて、まことに無駄であると思われる領域、これが発見されねばなりません。いったいどの部分が無駄でしょうか。
そうすると、まず第一に考えられるものは、睡眠だということに気がつくでしょう。八時間の睡眠、人によっては十時間、十二時間の睡眠を取っている人がいますが、これらは地上において、活動することがまるで何もなきかのように見えます。ほんとうにいろいろな興味、対象があれば、この睡眠の部分も自由になったはうがいい、こう思えるのです。
したがって、今後、この睡眠調整の機械は必ず発明されるようになります。この睡眠調整機械を通して、コントロールができるようになるはずです。すなわち、睡眠の一時間の質をもっと上げていく、こういうことです。こういうふうにすることによって、ひじょうに幅広い時間帯に活躍できるようになります。
そうすると、どういうふうになるかというと、睡眠の調整ができるのですから、今のようにワンパターンの生活環境が変わってくるのです。サラリーマンたちは朝の八時のラッシュに揉(も)まれ、そして、帰りも五時、六時のラッシュに揉まれて、そして仕事に、職場に行き、自宅に帰るということをくり返していますが、この睡眠の調整ということが効いてくるとどういうふうになるかというと、一日二回転、ないし三回転の仕事ということが可能になってきます。
それは、すなわち朝早く起きることがセットできるタイプの人は、午前の五時から働いて、昼前には引き上げる。そして、午後は自分の自由な時間を満喫する。また、中頃をとる人は、朝の九時、十時に出勤して、夕方に帰るという従来の形をとる。そして次のタイプは午後に出社をして、そして夜中に帰ってくる、こういうタイプです。この三通りの生活パターンが可能になるでしょう。
そうすると、現在の限られた空間問題がかなりかたづいてきます。交通のラッシュ、これがかたづきますし、空間の利用度が三倍になってきます。何しろ、大都市のオフィスといっても、土・日は休みであるし、そして、夜中も休みである。その週休二日が三日にならんとするような勢いがありますから、これだけ寝かしているということは、きわめてもったいないことです。
三交替制ぐらいで仕事ができるようになれば、オフィスの活力はひじょうについてきますし、また交通網も収入は維持しながら、ゆったりとした交通網を確保できます。また、繁華街などでも、二回転、三回転の仕事が始まっていくわけで、たとえば、飲食街でも昼間の飲食街、夜の飲食街、また、朝の飲食街、現在コンビニエンスストアーにしかないような、こういう制度がすべての仕事において可能になってきます。
こうすると、どういうことかというと、空間的拡張をせず、設備投資をしないで、もっと多くの人間が働きながら生きていける環境を創出することが可能となってくる、ということを意味しています。すなわち、会社が千人の会社であっても、そのままの空間資源で二千人の人を雇えるようになる。そういうことが可能になってくるわけであります。
こういう世の中になるとどうなるかというと、夜はもちろん人工照明がもっと強くなって、電車などの交通機関は二十四時間動くようになるでしょう。そして、それがいっこう差し支えないようになるでしょう。朝型であった人は、必要があれば夜型に切り替えることも、昼型に替えることも自由自在にできるようになってきます。
この睡眠調整機械というのは、ある種の振動を頭脳に与えて、切り替えるようになっていくでしょう。ちょうど現在、美容室においてパーマをかけているような具合で、あのように頭にお椀のごときものをかぶせて、そして一定の電気ショックに近いものを与えて、そして体のリズムを変える、そういうものがやがて発明されていくだろうと思います。
4.夢のような再加工処理機
さらに、この世に出て無駄だと思われるもの、これはいくつかあります。まずゴミです。毎日、毎日、山のようなゴミが出てきます。ゴミであるとか汚物であるとか、このようなものが山のように出てきます。この部分に改良の手を加えずにおくということは、科学の将来にとってはきわめて無駄が多い。各家庭において、このゴミを再処理する方法が開発されねばならないと思います。現在のように、月・水・金にゴミを取りにくるというような、こんな仕事はなくなっていくでしょう。それはまるで、ジューサーとかミキサーを使つて、いろいろなジュースをつくつているように、まつたく、この再加工処理機械を使つて別なものがつくり出せるでしょう。
その新しい機械は、二つの部分で成り立っていると思います。一つは、ゴミと思えるもの、これを全部そのなかに投げ込むと、その機械のなかでその成分を分類して、そして分類ごとに溜めていく、そういう作業があります。鉄分は鉄分として、アルミニウムはアルミニウムとして、水分は水分として、蛋白質は蛋白質として、ビニールはビニールとして、ゴムはゴムとして、こういうふうに遠心分離機にかけたように分離されて、それぞれの同一の素材が固まります。それは固まりになります。次は、この素材が固まったら、これの分析結果が出てまいります。そして、ちょうど電子レンジでも見るように、鉄分が何グラム、水分何グラム、蛋白質何グラム、ゴム何グラム、ビニール何グラムというような形で出てきます。
そしてこれを材料にして、自分がつくりたいと思うものを、ボタンを押してコンピューターにかけます。そうすると、その成分に基づいて、再加工の可能なものが次の図表のなかに出てきますテレビ画面のなかに出てきて、これを再加工すると、この成分からスプーンが三本できます。あるいは、草履(ぞうり)が一足できます。あるいは、このような飲み物をつくることが可能です。このような蛋白質を使って団子をつくることが可能です。こういうものがコンピューターによって打ち出されます。そして、そのなかから選択ボタンを押すと、次の加エプロセスによって、その製品ができあがります。こういうものが各家庭におかれるようになります。
ですから、廃棄物をどんどんそのなかに投げ捨てると分解し、そして基本単位に固め、その基本単位の素材として、次につくり出すもの、これを構想し、ボタンを押すことによってそれがアウトプットされる。ある意味での自給自足経済のようなものが始まります。リサイクルが家庭において始まるようになってきます。これはきわめて便利なものです。
そして、もちろんこのリサイクル部分として必要がない部分については、新たな経済取引の対象となるでしょう。自宅では鉄の部分について、全然必要がない、ということであれば、この鉄の部分が鉄の塊、球となったり四角い塊となったりしているわけですが、このようなものを選り分けられて、不要な部分を各家庭にあるダストシュートのなかに入れると、それがコンピューター管理によって、各家庭から一挙に集中センターに集められていきます。
そこで、いろいろな各素材ごとにまとめ直されて、大工場に送られていきます。アルミニウムはアルミニウム、銅分は銅分、その他のものはその他のものとして大工場の地下に送っていかれて、そこで大規模な再処理が始まっていきます。家庭で使えなかったものについては、大規模な処理が始まり、そして一か月分のこうした再処理物品の統計が出てきます。
たとえば、現在一か月あたりのガスのメーター、電気のメーターの検針がくるように、この再処理として出したものがどれだけのものであったかが、これがメーターのなかに記載されて、それがその家族の、一家の一か月の経済行為として判定されます。この経済行為の部分が五千円なり、一万円、あるいは二万円の利益を生み出すことになりますから、この部分がガス料金や電気料金と相殺されるかたちになっています。そういう便利なかたちにやがてなっていくのです。
5.さわやかな生活を約束する錠剤
さて、以上がいわゆるゴミですが、もう一つどうしても考えねばならないものとして、人間が出す、あるいは動物が出す汚物の問題があります。この汚物をなんとか変えようという努力が今後進んでくると思います。なぜ、あれほど悪臭があるか、見た目が美しくないか、そしてまったく役に立たないのか。一昔、二昔、三昔前においては、これらは野菜を育てたり、肥料にしたりするという役に立つ面がありましたが、化学肥料が進んだ現在においては、ひじょうに役に立たなくなってきております。
そこで、今度はある種の薬が発明されるようになります。食後にその錠剤を二錠ないし三錠、必ず飲むように指示されます。そうすると、いったいどういうふうになるか、ということですが、この排便なら排便の仕組みが変わってくるのです。お腹のなかで、その錠剤によって化学変化が起きてきます。そして、現在の大便なら大便が、違ったものに変化していくようになるのです。それは一種の菌、発酵菌にも似ていましょうか。大腸のなかで化学変化を起こさせて、そして違った性質のものに変えていくのです。どういうものであるかというと、見た目も鮮やかで美しいものに、そして臭いもひじょうに馨(かぐわ)しいものに変えていきます。また容易に分解されて、水に流れていくもの。こういうものに切り替えられていくでしょう。
したがって、今のようないやらしい臭い、気持ちの悪いという考え方、こういうものがなくなっていくでしょう。まことに天上界のような馨しいものに変えていくことは可能だと思います。これがやがて発明されるようになっていきます。
6.反重力装置の自家用飛行機の出現
さらに地上の生活を見ていて不便である、いやであると思われるものに、いったいみなさんは何があるでしょうか。もちろん、すぐに改良にかかれるものとしては、交通の便ということがあげられるでしょう。交通はひじょうに便利にはなったが不便なところも多く残っています。一つには空の便の使い方ということになりましょう。空港までがきわめて遠い、それをどうにかならないか。飛行機では日本国内どこへでも一時間で行けるけれども、この空港までの距離が遠い。これをどうにかしたい。もちろん、こういう考え方が出るわけです。
これに関しては、もう少し安全で、そして移動の簡単な自家用機が開発される。これは間違いのないことだと思います。ヘリコプターのようなものでも、かなり大きくて不便ですが、もっと簡単なもの、あるいは自家用車クラスの飛行機、空中艇というものが必ず開発されます。そして、空港まで楽に行けるようになるでしょう。これはひじょうに安全な機械です。反重力装置という重力に反発する装置を持っていますので、地面に激突しないのです。いわゆる、落ちかかってもフワリと浮いてくる感じになります。磁石と磁石とが反発し合うように、重力と反発し合って空中に浮かぶ機械ですので、墜落の心配がありません。絶対に墜落しませんし、他の飛行機とぶつかることもありません。近寄るとその反発作用によってぶつかることがないのです。こういう飛行機が必ず発明されるでしょう。それは、そう遠い将来のことではないと思います。たぶん、ここ数十年のうちに、そういう飛行艇も一部発明されることになると思います。
そして、これがUFO製作への第一歩となっていくでしょう。
UFOという話を今いたしましたが、当然ながら宇宙旅行に出るための宇宙船、これの開発が必要になるでしょう。もっともっと高度な技術が要求されるようになるでしょう。しかし、これは現在でも日進月歩であって、ますます精度の高いものになっていくでしょう。
7.新たなエネルギー源
また、その次に言っておきたいこととしては、燃料、エネルギーの問題です。現在では石油、ガス、そして廃(すた)れましたが石炭、また、電力、これらが中心です。そして、原子力というのが一部入っています。この原子力に関しては、危険ということで反対する人もかなりおります。
さて、今後の燃料というものを考えたときに、新たな燃料源として開発されるものが二つある。そう言っておいて間違いないでしょう。
一つは、化学変化のエネルギーを使うという方式です。フラスコのなかで実験していても、ある種の薬品どうしをかけあわすと急に発熱することがありますから、あのように化学変化をするさいに出るエネルギーというものを利用する、そういう装置が開発されます。その自家用の装置を開発することによってエネルギーが使えるようになってくるでしょう。これが一つです。
もう一つは、ウラニウムを原料とする原子力に変わるものが出てきます。これとはまったく別なものが出てきます。そうした鉱物が発見されます。ウラニウムよりももっと安定的で、もっと莫大なエネルギーを生む、そういう鉱物が必ず発見されるようになるでしょう。それはおそらく、21世紀の初頭に経験されることだと思います。あと十数年すれば、たぶんそういうものが発見されるというふうに私は思っています。必ず、これは今後そうなるでしょう。
8.第二のエジソンによる霊界通信機の完成
さて、これ以外に現在、どういうものが改良される必要があるかということですが、これは私以前にすでにエジソンが霊言でも語っていたようでありますが、霊界との通信機械、これの開発、これも百年以内に考えられることであると思います。霊界からの通信が受けられるということ、また霊界の様子がテレビの画像に映るというような、こういうシステムです。これは霊界の科学者もかなり研究していますし、もう、こちらの世界においては実用の域に近いところまででき上がっています。これをなんとか地上に降ろして、地上の発明家の力によって完成させたい、こう思います。
第二のエジソンのような方が出て、それを発明し、そして霊界とのコンタクトをとる。自分が死別した父や母、祖父、祖母などとも通信がとれるような、そういう世界にしたい。あの世の世界はあの世の世界としてあってもいいけれども、このテレビ電話によって話ができるような、そういう装置をぜひともつくりたい。それをつくることによって、おそらく大いなる福音となり、宗教家たちは本来の仕事ができるようになると思われるのです。
あの世があるかないかという証明に大部分の努力を要求されてきたわけですが、これは実に無駄なエネルギーであった、と私には思えるのです。科学的観点から言ったならば、あの世があることを科学的に立証したほうが早いのであって、それを立証した上で人間の生き方、神の教えというものを、もっともっと説いていけば、どれほど力強いかわかりません。この部分がなかなか信用されないでいるのですから、霊界通信機械というのはぜひともつくりたい、そう思います。
そして、もう一つ必要があるとするならば、霊界通信機械だけではなく、霊界探訪機械というものも必要だろうと思います。今、深海艇というのがあって、海の底に潜ってその景色をカメラにおさめていく、そういう装置がありますが、同じように霊界において、さまざまな世界を探訪して、それを地上に通信していく、そういう機械も必要であろうと思います。その機械は、この要請上どういうふうになるかというと、自らの存在を四次元波動、五次元波動、六次元波動というふうに次元別の波動に切り替えていけるだけの、素材変換のメカニズムを持っていなければ駄目です。そういうメカニズムを持った機械、これはもっと先になるでしょうけれども、これも開発される必要がある。そのように思います。
9.未来型食生活
さらに、次に未来科学の姿としてありえるもの、これは今一つ考えられるのは、食べ物の変化ということでしょう。もう少し、食生活に変化があっても悪くない、私はそのように思います。今後は、もっともっと新たな食糧品というものが開発されるようになるでしょう。それは天然物の食品だけではなくて、人工物の食品がもっともっとつくられていくようになるでしょう。現時点でも、かなりこの科学分野での研究が進んでいますが、食品科学というものがもっともっと進んできます。そして、いろいろな素材から、人間の好みのものをつくり出せる。そういう努力がありえるでしょう。
また、食品以外で目覚ましい変化があると思うのは、飲料水、飲み物のほうです。これも、現在まだ地上にないような飲み物が今後発明されるでしょう。地上にある飲み物は、たいていは果汁というものが発想の根源にあります。これ以外につくられたものとしては、炭酸飲料というようなものがあるでしょう。
しかし、今後はもっともっと健康飲料の分野において、技術革新が進んでいきます。そのドリンクを飲めば超人的なパワーが出てくるというようなものは、いくらでも開発されてきます。それは可能なことであるのです。そのドリンクを飲めば、一気に長距離マラソンが可能になるような、そういうものがたぶん出てくるでしょう。また、そのドリンク剤のなかに、さまざまに体調を切り替えるような、そういう成分を持ったものが出てくるでしょう。その飲料水を飲めば頭痛が治り、頭が爽快になる、胸が爽やかになる、体調がよくなる、活力が漲(みなぎ)ってくる。こういうことです。とくに現代人は、疲労困憊(こんぱい)していますので、活力をとり戻すための飲料水というのが必要になってくるでしょう。これは、ごくごく近い将来から始まっていくというふうに思います。
この意味において、飲料水のみならす、ビタミンのたぐいがもっともっと進化します。ビタミンに代わるようなものも発明されてくるようになるでしょう。
10.便利な空中邸宅
さて、これ以外に、未来科学の姿として予見されるもの、それは一つには家のあり方というものが、私は変わってくると思います。今、地上の常識では土地に家を建てるということになっています。そして、土地の値段がひじょうに高いために、持ち家ができない。それが問題になっていますが、今後空中に浮かぶ家というのがつくり出されるでしょう。これについても法律の規制がまた始まりますが、土地が高すぎるならば、土地の上に建てなければよいという考えをする人が出てきます。空中に浮かぶ家。かつて、世界の七大不思議といわれた、空中庭園のような、こういう家が出現するでしょう。これはおそらくは、可能であるというふうに私は思います。
この空中に浮かぶ家を可能ならしめる条件としては、その家にもちろん空間を移動するだけの装置が必要です。これが一つです。もう一つは、さきほど言いましたように、反重力装置によって、適当な反発力を生み、それが空中に浮くようにしなければなりません。この事実はそう先のことではありません。
現在でもニューセラミックの世界において、超伝導ということが起きています。ある種のセラミックを使うことによって、空中に物が浮き上がるという現象が開発されていますが、この超伝導の考え方を用いれば、家が空中に浮かぶということが可能なはずです。そして、地上数十メートルのところに浮かんでいるぶんには、どこにも迷惑はかからないということになります。この家は、現在のあなた方が住んでいるような家である必要はないのであって、ちょうど金魚鉢のような家であってよい。そのような丸いシャボン玉のような家であって悪くない。せいぜい家の中が見られないように、下半分は不透明にし、上は透明にする。こういう家であってよいでしょう。
したがって、ガラスの玉のなかにミニチュアの家が入っているような、こういう姿に見えるかもしれませんが、こうしたものがあっちにもこっちにもポッカリ、ポッカリと空中に浮いていくようになるでしょう。そして、空中に家を持っているということが、今後はある意味でのステータスシンボルになっていくでしょう。そして、これは空中の家で、別荘でもありますから、家ごとどこでも好きなところに行けるわけで、きわめて便利です。たとえば、ご主人が地方に転勤があるということになれば、単身赴任であるとか、あるいは家の留守番を頼むことになったのが、家ごと移動していくことになりますから、とても便利です。土・日あるいは週末は地方に家が移り、そしてウィークデーになると東京に戻ってくる、こういうこともあるでしょう。
そして、新たな仕事としては、この家の格納庫みたいなものも、また有名になるでしょう。空中に漂ってばかりいてはいけないので、家を預かるという仕事も必要になってきますので、このときには、空中に浮かぶ家を飛行場のような大きな土地を持っている人が預かる、家のマンション、アパートのようなそういう仕事が始まります。これは、空中に浮かぶ家を、一種の磁力線によって引きつけて動かないように固定する。こういう作業です。錨(いかり)を降ろすかわりに、磁力線によってそれを結びつける。そういう作業で、ちょうどタコが舞い上がっているように、そういうかたちで、あるいはアドバルーンが複数上がっているようなかたちで、一定のところに預けられる家も出てくるでしょう。
もちろん、こうした空中の家の大部分は地上ではなくて、海上に浮かんでいることのほうが多いでしょう。地上に浮かぶとさまざまな日照の障害が出たりするという非難もあるので、たいていの場合、海上に浮かんでいることが多いでしょう。そうすると無限の余地があるわけです。
また山岳地帯に浮かんでいる家も数多くあります。それは景色がひじょうにいいからです。そうすると、たとえば長野の方面に浮かんでいる家があって、そして東京のほうに出社ということになれば、午前の五時ごろになると、自動装置によって、急に飛行艇としての家が動き始めるわけです。まだ、家の人が眠っているうちに、その家が動いていきます。そうして出勤間際、八時ごろになると東京上空に止まっている、そういうかたちになります。このように自動タイマーで家が移動したりするような現象が起きるでしょう。もちろん、これと並行して水中での家、海底あるいは海中での家というものが発明されるでしょう。海が好きな人もいますから、海の底に住む人も出てきます。これも可能でしょう。
11.未来人のための肉体強化法
さて、これ以外の未来社会の構造についてお話をしておきたいと思います。現在の生活でひじょうに不便であって、未来社会人から見れば唖然(あぜん)とするようなもの、それがいったい何であるか、そうしてみると、もちろんこれは病気というものがあるように思います。あまりにも病気が多すぎる。いろいろな薬だとか手術だとかやっているが、なぜそれほど病気が蔓延するのか。これは不思議な現象です。
そこで、人間の人体、そのものをもっと強くするという方法が当然発明されてきます。人体を増強していく。生理的にもっと強くしていく。こういう研究、医学的研究が進んできます。そして、おそらく百年後の人類というものは、現在の人類の二倍、三倍の体力を持っていて、病気に対しても抵抗力が強い人類ができ上がっていくと思います。それは可能なことであるのです。あらゆる病気を研究し、それに負けないような肉体組織をつくっていくということです。これは可能であろう、そう思います。病気は次第しだいになくなっていきます。
12.日進月歩に目をみはる先端科学
そして、さらに未来社会の科学を見てみると、何があるかというと、これは一番の研究課題は、やはり無から有をつくる、有から無をつくるといった作業です。仏教で「色即是空、空即是色」と言われているそうでありますが、まったく何もない状態から一定の物質をつくり出す、こうぃう作業が研究の中心になります。これが最先端の物理学の先にあるものです。現代の物理学は素粒子の研究に勤(いそ)しんでおりますが、その先にある研究は何かというと、まるで空中から物をつくるように、その素粒子のもっと小さな粒子から、いろいろな物をつくり出していく、その工夫です。これは可能になってきます。おそらく、いろいろな物をつくり出すことは可能になっていくでしょう。
それは現代人が見たら、まるで神のごとき力であるというふうに思えます。それは、どういうことかと言うと、これもさきほどのミキサー、ジューサーの例を引くならば、そのような機械のスイッチを押すと、そして機械が作動し始めると、必要なものがそこに現われてくるというかたちになりましょう。
たとえば、こういうふうに言えましょう。石炭なら石炭、これを集めてきて、そしてジューサーのような機械のなかに放り込む、そしてスイッチを入れる。三十分うなりを立てて、そのジューサーのようなものが動いて、そして止まってみると、この石炭が今度はダイヤモンドに変わっている、こういうことが可能なわけです。そうぃう変換が可能なわけです。こういう時代です。自宅でダイヤモンドがつくれる。そういう時代が来るようになります。まあ、このたぐいを言えぼきりがないほどの日進月歩です。
現在のワープロ、コンピューター、こうぃうものも、もっともっと簡単で、もっともっと能力を持ったものに変わっていきます。ワープロなども今のようにそんな難しいものではありません。これはほんとうにしゃべっただけで、文字になる。あるいはしゃべらなくても思っただけで、文字になってくるような、こういう機械がおそらく発明されるでしょう。思っただけでというのは、頭に一種のヘルメットをかぶり、ここにいろいろな電気回路を埋め込んであって、脳波の変化に基づいて打ち出していく、頭に描いた図をそのまま出していく、こういう装置がやがて出てくるようになります。人間の頭のなかで描いたものを読み取る機械が出てくるのです。それに基づいて設計図なり、絵なり文章なりが出てくる。こういう機械が発明されていくでしょう。
以上さまざまに語ってきましたが、これがみなさんを待ち受けている科学の未来の姿であるのです。