目次
5.精神病者へのアドバイス
(問)
私は、高校に通うために、上京。大学も、希望通りのところへ入りました。ところが、高校へ入ってからノイローゼ気味になり、以後、坐禅をし、三週間反省をしてみましたが、反省はできませんでした。そこで、その後、ある研究所のお世話になりました。しかし、そのとき、自殺未遂まで起こし、現在は、精神病院に入院中です。今までの自分の苦しい状態から脱皮しようとして、いろいろなことを試みたのですが、だんだん悪い方向へいってしまいます。自分としては、早く正常な人間になって、今までの自分の苦しみを活かして、苦しんでいる人を助けたいと思っております。私が、今の苦しみから脱皮する方法を、どうか教えてください。
男性 37歳
(答)不幸の第一の原因について
この方は、今からおよそ二十年ほど前に、心の曇りをつくるようなある事件を起こしています。本人は、そのことに関して、すでにかなり忘れかかっておりますが、この事件は、本人の深層心理において意外に尾を引いています。
すなわち、この方は、二十数年くらい前に、ある人を深く傷つけたことがあるはずです。しかし、その反省が十分できていません。そして、深く傷つけられた人は、この方に対して、恨みの気持ちを今だに持っています。この和解が、まず大事です。この方の不幸の第一の原因は、ここにあります。
生きている人間であれ、死んでいる人間であれ、他人から恨みを持たれるということは、毎日、大変な苦痛を負うことになります。人に恨まれておりながら成功する人はいないのです。これは生きている人間、他の方たちに対しても同じです。人に恨まれて成功するということは、絶対にありません。人に感謝されて、喜ばれて、誉められて、そして、成功する。これが、人生の常であります。人から恨まれ、妬まれ、謗(そし)られ、怒られ、それでいながら、成功するということはないのです。
ですから、自分がいくら努力しても芽が出てこないとき、いくら成功しようと焦っても焦っても、努力しても努力しても報われないときには、何かそれを阻害する要因があるのではないかと振り返ってみる必要があります。それは意外と、自分以外のところにあることがあります。
自分が無意識のうちに向上したい、何とか伸びていこうと思っても、その途中において、無意識のうちに、知らないうちに、他人を踏みつけたり、他人を蹴落したりしていることがあるのです。その蹴落された人、あるいは、踏みつけられた人が、その後、その影響によってどのように人生の影響を受けたか、人生の方向が変わったか。そういうことに関しては、傷つけた側が、本当は責任を負わなくてはならないのです。
ほとんどの人間は、無意識のうちに加害者になっておって、自分の言った言葉、自分のなした行為によって、他人の人生を狂わせ、下降せしめているのです。そして、その責任については、何ら考えていないことが多いのです。このように、世の中には、無意識のうちに他人を害してる人が多いと言えます。この方の場合も、その一人です。この方には、無意識のうちに害してしまった人がいるのです。そのために、この人は、非常に不幸になっています。ですから、この方が傷つけた人に対する許しをこう気持ちがなければ、この方の病気は治りません。これが、まず第一点です。
不幸の第二の原因について
第二点。この方は、その研究所で大変間違った教えを受けています。ここで間違った教えを受けたために、精神的に狂った方向へと動いていってしまったのです。また、この研究所において、この方は、三人の霊に憑依をされました。この三人ともが、気違いの霊です。この方は、非常に憑依されやすい体質ですから、こういうところへ行ってはいけない。霊的な体質、霊的に感応されやすい体質というのがあるのです。
そういう方は、情緒不安定な人とか、気違い、精神障害者、あるいは、重度の病人には近寄らないことです。人間というものは、神仏ではありません。神仏ならいざしらず、また、奈良の大仏みたいに偉大な存在であるならば、多少の人間心でもってどうこうということはありません。少々の悪霊でどうこうということはありません。
しかし、生身の人間であるならば、しかも、精神的にふらついているときには、強度の精神障害者やノイローゼの患者、あるいは、重度の病人には近寄るべきではないのです。彼らには、もちろん、当然のことながら、あの世の地獄の霊たちが、亡者がとり憑いて、ずいぶん害を及ぼしています。健全な人でも危険なのですから、ましてや、この方はこういう情緒不安定で、精神的に弱い人には近寄るべきではありません。
この方は、その研究所へ行って、三体の気違い霊に憑依されてしまったのです。それが、今の苦しみの二番目の原因です。ですから、方向としては、まず和解です。憎んでいる人がいたら和解する。直接会って謝れない場合には、心のなかで一生懸命に詫びることです。そして、神に対して許しをこうことです。それがもっとも大切です。
不幸の第三の原因について
三番目。この方は、家庭のなかで、やはり愛というものを感ぜずに生きてきた人です。すなわち、家庭運がずいぶん悪かったようです。家族のなかにも、たくさん不幸が起きています。そのはずです。家族のなかでも、運が悪いですね。かなり運が悪いです。
先祖のなかにも、運悪く迷っている人が数多くいるため、家全体が暗い雰囲気のなかにあります。身内が、家族、親、兄弟、あるいは、祖父母の間まで入れてですね、代々がどうも不幸なようです。このように、家族全体が非常に不幸で、黒い雲に被(おお)われているときには、そのなかの一人だけが頑張っても、なかなかうまくいかないでしょう。
ですから、この方の場合のように、本人が精神病院に入っている場合には、まず残された家族、親戚の人たちに、正法の実践をしていただき、心に光を出す。家庭を明るくする。すなわち、家族を明るくしていく訓練が必要です。本人が明るくならない場合は、まず周囲から明るくしていくことが大切です。これが方法です。
いいですか、健全でない人がいたら、その人に反省とか、光をともすことは無理です。まず、その周りの人たちが健全になっていくことです。この人の周りの健全な人たちが一人でも多く、一日でも早く、真理に目覚めて、正法を実践していく。周りが光ってくることです。それが大事です。そして、生きている人びと、他の人たちからどんどん励ましてやることが大事です。いいですか、こういう人びとというのは、悪霊の精神波動を相当受けていますから、いい人からはげましの言葉を受けることが大切なのです。そうすることによって、立ち直りもあります。結論としては、ます和解、反省すること。それから二番目に、まわりの人たちが変わっていくこと。三番目には、励ましてあげること。この三つです。
(1986年7月31日の霊示)