目次
(一九八五年五月四日の霊示)
1.私は七千年前のインカ帝国の王
― 古代語が長々と続き意味不明 ―
善川 あなたはどなたですか。お言葉の様子では、古代インドのお方のようにお聴きするのですが―。
― そうでないという身振りでいぜん古代語が続く ―。
善川 それでは、これはギリシャ語でお話されているのですか。
― いやいや、そうでないという身振りで語り続ける。
善川 南インドの古代パーリー語でお話されているのでしょうか。
― いぜん古代語が続く ―。
善川 日本語でお話ねがえませんでしょうか。私どもでは何語か判りかねますので。
― ワ、ワタクシハ、ワタシハ……。
善川 インドの国ですか?
― イ、イインデ、イインデ、インデ……。
善川 インディオの国ですか。
― ワタシハ、インカ、インカ、インカテイコクニ、ウマレタモノデス。
善川 今からどのくらい昔に、そのインカの国に生れた方ですか。
― インカ、テイコク、ノ、オウデ、アリマシタ。イマカラオヨソ、七センネンマエニナリマス。
善川 なんという王様ですか―。
― ワタクシノ、ナハ、リエント・アール・クラウド、リエント・アール・クラウド。
善川 リエント・アール・クラウドという王様でいらっしゃいますか。
クラウド そうです。
(注・この時点でO川OOの言語中枢を使用することが充分できるようになった)
(注・この時点でO川OOの言語中枢を使用することが充分できるようになった)
善川 その方が、つまりあなた様は、いま天上界ではどの辺においでの方なのですか。
クラウド 私は、今、私の言葉を伝えているこの者とは、いわば魂の兄弟です。
善川 過去世において「神法」を説かれた方のお一人ですか、それとも政治だけをされていたお方ですか。
クラウド 私の時代には、いわゆる、祭政一致といいますか、「政(まつりごと)」は即ち宗教でもありました。
善川 その頃のインカ帝国では″太陽神″を信仰しておられたのですか。
クラウド そうです。
善川 何か教えの中心になるものがございましたか。
クラウド 人はどう生きねばならぬかというような教えが中心に説かれました。その当時の人達は、現在のあなた方に較べれば、はるかに神理を知っておりました。彼らは、生きながらにして、あの世、われわれのいまいる世界の人達と話ができるという能力を持った者が多く、私はその長として、インカの国を治めておったものです。
善川 それでインカの国が滅んだのは、最後は白人の攻撃によってなされたのですね。
クラウド わたしのインカの国は、今から七千年も前のこと、減んだインカはごく最近のインカのこと、文明としては既に衰え果てた文明であります。
善川 その頃のインカの人びとはどうなったのですか……。
クラウド インカの人びとは、その後また多く生れ変わってきております。
善川 インカの方がたは、その昔アジア大陸から、アリューシャンを渡っていったという説があるのですが、そういう経路を辿って民族が移動したのですか。
クラウド 必ずしもそうではありません。アジア民族よりも古いものです。
善川 それでは、インカ民族として独立誕生したのですか。
クラウド 古代アトランティスからもかなりの人間がインカの国へ逃れて来ました。また、ムーという国もありました。ここからも人びとが流れて来ました。それがインカ文明の源流であります。
善川 そのアトランティス、またはムーという大陸はいつごろ沈没したのですか。
クラウド アトランティスは今から約一万年前。
善川 ムーは、もっと古いのですか。
クラウド ムーは一万五千年ほど前です。
善川 その時に、そういう大陸の国々から人びとが渡って来たというわけですね。
クラウド そうです―。元からインカにいた人達もおりました。けれども、そうした文明を持った方々が、インカという国に流れ込んでくることによって、新たな文明が興きていったのです。
善川 その頃のアトランティスなり、ムーの大陸の方々の文明というのは、どの程度のものであったのでしょうか。
クラウド 非常に高度な精神文明を持っておりました。たとえば、テレパシーによる通信というものも可能となっておりました。
善川 科学文明の方はどうでしたか。
クラウド 科学文明も現代とは変わったものではありますが、非常に優れたものを持っておりましたし、海にも潜れば、空も飛ぶというような状況でありました。
善川 それは機械を使ってですね。現在でいうならば飛行獄とか、潜水艇とかいうようなものですね。
クラウド 形は違うが似たようなものです。
善川 自然科学の発達した所産として、そのようなものがあったのですか。
クラウド 自然科学というものではなくて、ムーとかアトランティスにおいては精神科学と自然科学とが一体となって進歩していたのであります。
2.私は神の根本法を説く霊系団の一人
善川 現在あなたは天上界におられるわけですね。そうすると、われわれの認識では、次元を一応十段階に分けて考えておりますが、あなたはその何段階ぐらいにおいでの方なのですか。
クラウド あなた方が九次元と呼んでいる世界です。
善川 そうですか、そんな高いところにおいでになる方ですか。それではお伺いしますけれども、私がいま一つの関心を持っていることは、本体と分身との関係ですけれども、現在肉体を持ってここにいる霊との関係はどういうことになっているのでしょうか……。
クラウド 私の魂の兄弟です。
善川 「魂の兄弟」ということは、本体と分身という概念とは違うのですね……。
クラウド 兄弟という意味と分身という意味と、あなたの頭の中では混じって、おかしな考えとなっております。兄弟という言葉は元は一つであるが、個性が違うという意味です。―分身というのは、同一個性をもった人間が、一人が何回も、何人にも分れて現世に生れてくるということであります。
善川 そうしますと、あなた様と、ここにいる霊との関係は、どうなるのでしょうか。
クラウド 同じ目的のために作られた魂の一人であります。神はさまざまな目的のために天使達を作られました。そしてたとえば「法」を説くために作った天使があります。そして同じ目的のもとに何人かが組をなして作られているのです。
たとえば、愛を説くという目的のために生れた人達もいます。たとえば知恵、知力をもって世を強化していくために生れてきた天使たちもおります。
あるいは、奇蹟を起こしていくということを目的に生れた天使たちもおります。医術を施すとか、芸術を盛んにするとか、その他さまざまな目的があるのです。それも神のいろいろな御意(みこころ)の顕れ方であります。
たまたま使っている兄弟とか、分身とかいわれる魂系団は、もちろん一般の方がたの魂の兄弟とは意味が違います。そういう魂の集団と申しますか、何人かのグループ、役割を持ったグループというのがあります。たまたま、私とか釈迦牟尼とかいう魂は、「法」を説くために何千年かに一回、法を説くという使命のために作られている魂の兄弟なのです。その目的において一つだということであります。
また、愛を説くためのグループがおります。これが、あなた方もご存知の、イエス・キリストのグループであります。彼にも魂のグルーープがあるのです。
善川 イエス様は、それ以前には何処でお生れになって、なんというお名前でありましたか。
クラウド イエスはエジプトの地に、クラリオという名で生れております。
善川 イエス様の一代前の方はクラリオという名でエジプトに―では二代前の方は何処でなんというお名前の方でしたか。
クラウド イエスの先々代はアトランティスに生れております。やはり同じような王であって、彼の名前はアガシャーと呼ばれたものでした。
善川 その方は今から何年ぐらい前のお方ですか。
クラウド 一万年を少し遡るくらい前のことです。
善川 魂の傾向としては、やはりアガシャーも神の愛を説かれていた方ですね。
クラウド 愛を説いておりました。彼のグループはいつの時代にも、愛を説いております。
3.今後説かれるべき「根本法」について
善川 今後予想される新しい時代の方向といいますか、その教えの基軸となるものはなんでしょうか。
クラウド やはり中心は心の教えであり、この三次元と他次元空間との関わり合いを解明するということが第一義となりますが、第二義、第三義として、やはりこの現代の世を解明していくための社会学なり、経済学なり、心理学なり、さまざまな幅広い学問領域を越えた教えというものが必要となってくるでありましょう。これまでのような宗教では、現代の人たちを救うことはできないのです。
現代には現代のさまざまな困難や悩みがあります。それは高度に発達した社会、文明、高度に発達した経済、こういった中において人間の悩みが生れているからです。原始時代の人間の素朴な悩みでは済まないのであります。あなた方は人間の心の悩みを解決するとともに、この文明を如何なる方向に進めていくかという、大きな指針を打ち出していかねばならないのです。
善川 個人の力だけでそのような幅広い教えというものが説けるでしょうか。
クラウド 少なくとも器自体は自分が作らなければ誰もつくってくれません。
善川 しかし、かなり専門的知識というものが必要になってくるのではないでしょうか。
クラウド そうでしょう。たとえば今日の宗教家の中で、世界経済に対して意見を言える人がおりますか。たとえば政治制度について、どれだけの意見が言えますか。法組織に対して、どれだけの意見が言えますか。株式会社制度に対して、どれだけの意見が言えますか。未来のあるべき社会の相に対して、どれだけのことが言えますか―。今の宗教家達のうちの、いったい誰が未来の。ユートピアの″相(すがた)″を説くことができますか―。
必要とされているのは、来たるべき未来社会の相であり、来たるべき未来社会の中で、人間が如何に生きていくべきかということなのです。
4.地球最後のユートピア実現の基礎づくりに尽くせ
善川 ユートピアというものは、人類の永年の夢であり、希望であり、目的であるわけでありますが、しかし、そのユートピア実現ということは、そうたやすく行われるものではなかろうと思うのでありますが―。
クラウド しかし、今その時期が来つつあるのです。高度に発達した文明、文明の利器、通信、経済、交易、こうしたものによって、いま地球は一つになろうとしています。五百年前に可能でしたか、千年前に可能でしたか、二千年前はどうですか、不可能でありましょう。宗教もまた地球的な宗教となるべき基盤はできてきているのです。このような文明の発達なしには地域宗教としての制約をまぬがれることはできないのです。いま世界は一つになり、地球は一つになり、新しい地球文明の中の一つの大きな宗教というものが、生れるべき素地ができてきたのです。
いまユートピアが出現すべき時期が来ているのです。地球自体がユートピアとなるということ、これが最終ユートピアです。地域、地域のユートピアを目指す動きは、今までもあったでありましょう。けれども、地球一つが、地球全体がユートピアになるという時期は、今のこの時期を逃がしてはあり得なかったということです。
5.地球規模の大災害の到来とその超克について
善川 ここで今一つ、裏の面で懸念されていることは、地球規模の破壊ということですが、このようなことについては、どのようなお考えを持っておられますか。
クラウド 創造の前には″破壊″があるでしょう。古いものを壊していかなければ、新しいものは建設されません。破壊という一局面だけを捉えれば、それは非常に悲惨なものとなるかも知れませんが、新しいものを生み出していくための脱皮であります。神は手荒い大工であり、作業人であります。
善川 ということは、人為的に行われることでしょうか。それとも天災として行われるのでしょうか。
クラウド すべてです。
善川 そういうことが行われるということになると、地球は致命的な大損害を受けることになるのではないでしょうか。
クラウド しかし考えてみなさい。新時代を迎える時期には、いつも共通の目的なり、危機がある時ではないでしょうか。たとえば、よくない例ではありますが、戦争という目的があれば国民が一つにまとまった、そういうこともあるでしょう。しかし、地球的な規模の災害や困難が来た時に、はじめて世界人類は手を一つに携えて、みんな共に頑張っていこうということが起こるかも知れません。それまでいがみ合っていた者達も、危機に際しては一丸となり、それに立ち向かおうとするかも知れません。
善川 天災に当たっては、そういうことも考えられるかも知れませんが― 人災ですね、人間同士のいがみ合いという、そういう形で現われる場合には、団結などということは、むずかしいのではないでしょうか。
クラウド いやそれもまた同じことです。
善川 では、相手国同士の憎しみ合いのもとに戦いが行われるということになり、それも大国間同士ということになれば、これはもう止めようもないという状況下におかれるのではないでしょうか。
クラウド しかし、それも戦争の形態としては、もう最後なのです。今までは、小さな村や小さな国の中で争いがあったでしょう。それが隣国同士の国の争いとなり、地球の裏側同士の国の争いとなり、そして、その段階が終わった時に、次は何がありますか、もうないのです。
善川 しかし、ご承知かとも思いますが、今日の戦争は、過去の戦争と違いまして、いわゆる核戦争という悲惨な戦争が行われるわけでありまして、それが現在、各国が保有している核戦力は大変なもので、一発いずれかの国が発射したら、後は交互のつるべ射ちの状態となり、その結果、地球上は、人類はもとより生き残れる生物というものは何もないという状態となるのではないでしょうか。
そのような状態の中で、そこにどのような反省が残り、どのような。ユートピア建設が夢見られるというのでしょうか?
クラウド ―あなたは、本当にそういう結果を信じているのですか。皆殺しになると本当に思っていますか? 最後の一人までいなくなるまで殺し合いをすると思いますか。そこまで人間の理性を信じられませんか―。
善川 これはまあ想像の域を出ないのですけれども、いずれかが、あるいは両方の国が再起不能な状態まで行かなければ終わりにならないのではないか、その間には当事者同士は別として、第三者がそばづえを喰う被害を受けるということになると思うのですが。
クラウド そうしたらどうなるわけですか。
善川 従って、いわゆる先進国といわれる文化の発達した人類がほとんど犠牲になってしまって―。
クラウド そうしたらどうなるのですか。
善川 そうしたら残るのは、アフリカであるとか、アマゾン地帯であるとか、あるいはチベッ卜の奥であるとか、こういうふうな、民度の低い未開の地の人類だけが生き残るのではないでしょうか?
クラウド そうしたらどうなるんですか。
善川 そこでどうして新しい文明が生れるというのでしょうか。
クラウド できて来ないのですか。
善川 出来てこないです。
クラウド どうして出来てこないのですか。
善川 彼らの文化水準が低いために―。
クラウド あなたの考えは、非常に単純化された考えであります。では私がさきほど申しあげましたインカの帝国の発展はどうなりますか。アトランティスは一夜に沈みました。どこが違うのですか。彼らの一部の人間だけが逃れて来ました。そしてアンデスの地にまた新たな文明が興りました。神の描かれた世界計画は、形は違っても、いつも本質は一緒なのです。アトランティスは不幸かも知れません。しかしインカの国は栄えました。インカもやがて滅びました。しかしこんどはギリシャの地に、そしてヨーロッパに、アメリカにと文明は広がっていきます。
古い文明は滅びていくのです。新しい文明が興るのです。それによってこそ人類の大いなる進化も、地球という神の創られた″磁場″の進化もあるのではないでしょうか。一つの地域に永遠に文化が栄えることが本当の進化でありましょうか。
アトランティス人であるならば、神はなぜ、この大陸を一夜にして沈めなければならないかと、天を呪ったことでありましょう。しかし、神の何百万年、何億年という眼で見た世界計画は、彼らにはとうてい分らないのです。一夜にして没した大陸の中には、善良な人達もいたのです。優れた人達もいたのです。宗教家も、神学者も、哲学者も、経済学者もいたのです。善良な家庭、家族、よき父、よき母、そしてよき子供達もいたのです。彼らはみな海の藻屑(もくず)と消えて行ったのです。
なぜでしょう、なぜそんな悲惨なことが起きたのでしょう。しかし、神の眼から見たらそれは悲惨ではないのです。大いなる進歩の前の荒療治なのです。そして、神はもっともっと大きな眼で見ておられるのです。神はこの地球の上の人間の生死というものだけに、それほど大きな配慮はしていないのです。なぜなら、人間は永遠の生命を持っているからです。
人間は何億年、何十億年と生きてきたのです。そのうちの僅か六十年、七十年という時をこの地上のある地域に住んでいるというだけのことなのです。大きな眼からみれば、そのまま七十年の寿命を完うしたことが、その人の魂の進化にとってプラスになるのか、あるいは三十年、四十年の厳しい人生を生きたことがプラスになるのか、これは分り兼ねることです。
そういう危機、あるいは戦争を経験するということも、永い眼でみれば魂のどこかの面で進歩のために役立ってはいるのです。戦争を知った次の世において、はじめて平和の大切さというものを考えることもあるのです。
もし、人間に永遠の生命というものがないならば、これは不幸であります。神は決して戦争を許してもいけないし、大陸を沈没させてもいけないのです。そうでしょう―。
6.天意、人為による地球上の変動には時間差がある
善川 そういう時期について預言者といわれるノストラダムスが予言していますが、一九九九年がその時期に当たるのでしょうか。
クラウド まあ今後、いろんなことが起きるでしょう。それは数十年のうちに起こるでしょう。
善川 それは一度に起こるのでしょうか。または、段階的に起こるのでしょうか。
クラウド それは言えません。けれども恐らくは、あなた方が生きているうちに一部それを見、それを聞くことになるでしょう。
善川 しかし私たちは、そのような事態の到来ということについての心の準備といいますか、自らを省みて神のみこころを再認識するという、そういう自覚を促す段階にあって、特別な任務につく時機ではないでしょうか。それとも、それには未だ時間が早過ぎるというのでしょうか。
クラウド 早過ぎるということはありません。任務があるのは当然です!
善川 私たちはその時期を迎えるまでの人びとの心づくりというか、心の準備を説くというのが大きな任務となるのでしょうか。
7.闇夜を照らす一本の蝋燭の灯たれ
クラウド 闇夜の法燈であります。世界が闇に沈んだ時に、どこかで光が必要なのです。光が射してくれば人びとはそれに向かって歩んで行けばよいのです。光は大きな光である必要はないのです。世の中すべてを照らす程の光など、あなた方に持てるけずはないではないですか。しかし世が闇夜となった時に、たとえ一本の蝋燭の灯であったにせよ、光があるということは、人びとに進むべき道があるということです。一本の蝋燭の灯であってよいのです。
法燈を点(とも)しなさい。照らしなさい。さすれば道が見えます。世の中すべてを光らそう、照らそうとすれば無理が起きます。それはあなた方の任を超えたことです。闇夜の一燈となりなさい!真なるものがどこかに、この地上にあればよいのです。
善川 そういう方向というものは、いま新たに私たちは認識されるのですが、さて私が、どのような灯を点すかということになると、その灯の選択にまた惑うのであります。蝋燭を点すか、あるいは懐中電灯によるか、あるいは燈火にするか、あるいは百燭光の電球にするか、どういうものを点したらよいのか、今のところ定かでないのです。
われわれにどれだけの灯を点さなければならぬ任務があるのか、われわれをご指導下さっている指導霊の方々におたずねせねばならぬと思っております……。
クラウド あなた方には、あなた方のできる範囲のことをやっていきなさい。その後のことは、その後の人たちがやっていくでしょう。
あなたはいま、蝋燭の灯を点すか、懐中電灯にするか、電球にするかというようなことを言っておりますけれど、よいのです。あなたはあなたで蝋燭の灯を点ければよいのです。迷うことはないのです。あなたは、あなたがやれる灯を点せばそれでよいのです。
他の人間はまた、他の光を点すでありましょう。あなたはあなたでよいではないですか。あなたにとっての蝋燭は一体何であるか、それはあなたが一番よく知っているはずです。他の人間には分りません。あなたにとっての蝋燭を探せばいいし、あなたにとっての懐中電灯を探せばよいのです。懐中電灯をあなたが照らしたからといって誰も怒りはしません。蝋燭の方が良かったのにとは言いません。懐中電灯は懐中電灯でよろしいです。蝋燭の灯を点す人は、他に出てくるでありましょう。それはそれでよいではないですか。
あなたにとっての蝋燭、あなたにとっての懐中電灯は何かということを、自ら問い、自らみつけなさい。あなたが一番知っています。教わるのではなくて、あなたが知っています。あなたができること、あなたに不可能なことをやれといっても、できるわけはないのです。あなたに出来ることといえば、自ら限られているはずです。それを選ひとりなさい。
それ以外の方法、いくつかの方法があるでしょうが、それはあなたには縁のない方法であります。
善川 とりあえず、私にとって出来ることは、新しい時代に向かっての、新しい教えが始まるんだという、警鐘を打ち鳴らすことが、精一杯のことだろうと思いますが―。
クラウド それで結構です。
善川 その警鐘は、どのような槌で叩けぱよいかということも思案となります。
クラウド その槌は天から与えられます。あなたはその槌で、警鐘を叩けるときに叩けばよいのです。一回叩こうが、五回叩こうがよいのです。やれるだけのことをやりなさい。
善川 いま私たちは、あなた様からお教え願ったこの世の将来像なり、世の人びとに、醒めなさい、その時はもう迫っているのです、と訴える警鐘を打ち鳴らさねばならぬということにつきましては、自身非常な驚きと不安、そして悩みとも哀しみとも名状しがたい感懐が胸裡に渦巻き去来するおもいにさせられております。
クラウド それはあなたにとって、不安、悩みとなっているようにも思えますが、それはあなたの全人格にとって、永い眼でみるならば、苦しみだか楽しみだかわかりません。そのような時代に遇って、警鐘を打ち鳴らせることを、すくなくとも光栄と感謝しなければなりません。そんな大きな心を持ちなさい。蚤に噛まれたら、もう今日明日にも死ぬような、そういうふうに思う人もいるし、蚊に血を吸われたらすぐマラリヤを患って死ぬのかと思って大騒ぎする人もいるし、それはその人の自由でありますが、それは自分の永遠に続く全魂から考えてみて、よく判断することです。
8.宇宙界人の存在様態について
善川 実在界を認識する意味での勉強のため、お聴きしたいのですが、あなたが常時おいでになられる九次元というところは、どういう世界であり、またそこにおいでの方達はどういうお姿で生活されておられるのでしょうか。
クラウド 九次元の世界は、もはや地球を超えております。九次元世界の住人は、もちろん地球において肉体を持ったことのある人もいますけれども、太陽系および太陽系以外の世界にも広がっております。われらはもう星というものを超えております。
善川 そうしますと、現在のこの瞬間においてあなた様は、この三次元世界へおいでになっておられるわけですか、あるいは、そうではなく、九次元の世界からご意志を伝達されておられるのでしょうか。
クラウド 適切な言葉が見当たりませんが、というのは、あなたはまだ物体的なものの見方で、われわれの意識、魂を観ようと考えているからです。もうここに在るのは「念」だけなのです。″想念″だけがあるのです。あなた方に分りいいように三次元には肉体があり、四次元には幽体があり、人間的な形をとっているけれども、これは一つの便法であって、そうしないと、自分とか他人を認識できないから、そうした形を「神」がお与えになっただけで、われらの世界に来るならば、そうした″体″ではなくて、意識とか念だけが存在しているのです。
それを人間的に解釈し直すと、それぞれの肉体を持ったような姿に見えるだけのことであって、そのようなものはないのです。念だけがあるのです。その念が、いま九次元にあるのか、三次元にあるのかといわれてもこれは非常にむずかしいことであります。念だけがあるのです。三次元世界を思っている私があるのです。わかりますか。まだあなたは形態というものに執われているのです。
善川 われわれ三次元の人間は、一応形態を通してものごとを認識するようになっております。しかしまた高次元の世界を認識しようとすれば、それは「念」という形而上世界を直観によって把握しなければならないということも考えております。
クラウド リエソト・アール・クラウドという名称で表わされているエネルギー体があるのです。リエント・アール・クラウドという名で称ばれている、たとえば「電磁波」があるのです。″電波″があるのです。リエント・アール・クラウドという電波なのです。この電波は、三次元に向かって放送されると、お聴きになっているような意味をもった言葉となるのです。九次元の世界で放送(放射)されているのが通常の状態だということです。電波(霊磁波)だと思って下さい。
善川 あなた様のおられるその九次元世界には、イエス、モーゼ、エル・ランティー様などといわれる方がお出でになられますか。
クラウド おられます。
善川 そういう″念″が常におられるわけですね。そういう方々には何かコミュニケーションというか、互いの意志を通じ合わせるというような会話とか、あるいは意志の交換とか、そういうことはされているのですか。
クラウド しております。
善川 たとえば地球なら地球の、さきほどお話のあった戦争なり、地殻変動などに関しての人類の指導方向などについてのご協議とか……。
クラウド しております。ただあなたが認識するような人間的な形ではありません。今あなたに言っても、想念だけがあるとか、意識だけがあるといっても、恐らく分らないでしょうね。手近な分るような形をもって言うとすれば、もやもやとした″ガス体″が相手を認識するのに、たとえば、古代インドの姿で考えてみたり、古代エジプトの姿で思い描いたり、その対象者を認識しようとする主体者が、いろいろと焼き直して考えてみるだけです。だが、そうした容体というものはどこにもないのです。
在るのは意識、愛に充たされた意識、慈悲に満たされた意識、法に満たされた意識、知恵に満たされた意識、こうしたものだけがあって、この愛なり、知恵なり、法なりを、九次元から八次元へ、七次元へ、六次元へと、放射しているのです。
善川 アモンといわれる方や、天之御中主といわれる方は、如来界においでになる方ですか、この方々は私たちをご指導下さっている方々ですが。
クラウド そうです。広い意味での如来界の高級霊です。
善川 それではどうも、本日は私どもの上に壮大かつ深遠な神のご計画なり、私どもの使命なりについて、ご教示を賜りましてありがとうございました。