目次
24.御祓で悪霊は払えない
27.「経済理念」のあるべき方向について
―― 大変有益なお教えをうけたまわりまして、ありがとうございました。蓮如様のお話は、一貫して現代的で、現代人が聴いて理解し、自分のものとして十分悟れる内容のものであったとぞんじます。
蓮如 それは、私が、現代というものに非常に興味を持っているからでしょう。
―― 親鸞聖人様も、「蓮如様は、私とは、ちょっと肌あいの違った、非常に秀れた方です」ということをおっしゃっておりましたが、実際、蓮如様は、新しい感覚をお持ちの方ですので、現代人には、そのお教えがよく解るのではないかと、このように思います。
蓮如 やがてね、あなた方の教えを受けた者のなかから、政治改革とか、経済改革をする人がでてきますから、そのときには、また私を呼んでください。また、そういうことについてもお話をしたいと思います。
―― 「政治」のこともさることながら、「経済」の問題が、今、非常に大きな問題だと思うので、どなたかこの方面の専門家にお教えを願いたいと思っております。
蓮如 そうした方も、まあ、おりますけれども、経済の基礎がね、経済に心がないからいけないのです。どうやったら、利潤を極大にできるかとか、経済学者はそんなことばかりを考えています。しかし、そうじゃないのです。どうしたらみんなが、幸福になれるか、その点から経済を考えていく必要があるのです。利潤の極大がどうのではないのです。やがて企業はね、私は思いますが、企業というのは、一つの精神的な柱がなければやっていけない時代がくると思います。まあ、あれは一つの信仰なんですね、利潤極大という信仰を持って、企業をやっているのです。それが当然だと思っている。だれが間違えたか知りませんが、そうではないのです。
企業というのは、これからは、「社会正義」の実現、「社会的理想」の実現、あるいは、「仏国土、ユートピア建設」の一翼を担うものとして活動していかなければならなくなってきます。やがて、そういうことが分かってくるでしょう。あなた方は、そういうことをも、教えていかなければなりません。
―― 今、おっしゃった経済の基本理念、あるいは、農業問題、こういうことについては、私どもも、これから学んで行かねばならないと考えております。
蓮如 農業問題、これはね、どちらかといえば、私の任を越えていますので、そういうことまで蓮如が言うようではちょっと眉唾(まゆつば)になってしまうでしょう。ですから、それについての発言は、控えておきます。
―― 蓮如上人様には、長時間にわたりまして、宗教的真理をあらゆる角度から現代的にお説きくださったのみでなく、現代世相の諸問題、さらには、人倫に関する問題につきまして、深いご教訓を賜りまして、まことにありがとうございました。現代の心ある人びと、または、未来の、この世に生を受けてこられる方がたになり代わりまして、厚くお礼を申し上げます。本日は、まことにありがとうございました。