勝利ポイント Victory Points
出典 Gamemastery Guide 148ページ
ゲームにおいては、目的に向かっての進捗を追跡する方法を使うことで頭の中だけですべてを管理する必要がなくなることがよくある。本項では、勝利ポイントによって成功を追跡するための独自のサブシステムを構築する方法を説明する。この章に掲載された他の多くのサブシステムも、別の名前で使われることが多いものの、同様に勝利ポイントを用いる。
ゲームにおいては、目的に向かっての進捗を追跡する方法を使うことで頭の中だけですべてを管理する必要がなくなることがよくある。本項では、勝利ポイントによって成功を追跡するための独自のサブシステムを構築する方法を説明する。この章に掲載された他の多くのサブシステムも、別の名前で使われることが多いものの、同様に勝利ポイントを用いる。
勝利ポイント(VP)はGMの強力な武器であり、1回の判定の結果だけでなく、サブシステムを使ってPCの進歩を追跡できる。勝利ポイントは汎用性があり、一遭遇の中で追跡して解決することもできるし、キャンペーン全体を通して集めて物語の結末を決定することもできる。
勝利ポイントの命名 Naming Your Victory Points
出典 Gamemastery Guide 148ページ
勝利ポイントの名称を変更し、そのサブシステムをより反映したものにするのもよいだろう。勝利ポイントという名称は具体性に欠けるので、冒険の主題に合った名称をつけ、プレイヤーがそのサブシステムが表す活動に参加しているように感じられるようにする。VPの名前を変えた例としては、感化ポイント(187ページ)、潜入ポイント (196ページ)、研究ポイント(190ページ)、評判ポイント(200ページ)などがある。名称は代表的なものでなければならず、PCにその名称が何を指しているのかを理解させなければならない。本項では、勝利ポイントの使用方法を説明する際に、「ポイント」という単語を残すことが多いが、望むなら「ポイント」という単語を省いても構わない。
勝利ポイントの名称を変更し、そのサブシステムをより反映したものにするのもよいだろう。勝利ポイントという名称は具体性に欠けるので、冒険の主題に合った名称をつけ、プレイヤーがそのサブシステムが表す活動に参加しているように感じられるようにする。VPの名前を変えた例としては、感化ポイント(187ページ)、潜入ポイント (196ページ)、研究ポイント(190ページ)、評判ポイント(200ページ)などがある。名称は代表的なものでなければならず、PCにその名称が何を指しているのかを理解させなければならない。本項では、勝利ポイントの使用方法を説明する際に、「ポイント」という単語を残すことが多いが、望むなら「ポイント」という単語を省いても構わない。
勝利ポイントサブシステムの構造 Victory Point Subsystem Structures
出典 Gamemastery Guide 148ページ
勝利ポイントを追跡するための一般的な構造がいくつかあり、それを新しいサブシステムに使用できる。以下に挙げるサブシステムのいずれかを基準として構成を考えてもよいし、もし君のゲーム運営方法に合致するものがなければ、まったく別の構造を独自に作成してもよい。最も重要なことは、PCやその対戦相手がどのようにして様々な形の勝利点を得たり失ったりするかを考えることだ。
勝利ポイントを追跡するための一般的な構造がいくつかあり、それを新しいサブシステムに使用できる。以下に挙げるサブシステムのいずれかを基準として構成を考えてもよいし、もし君のゲーム運営方法に合致するものがなければ、まったく別の構造を独自に作成してもよい。最も重要なことは、PCやその対戦相手がどのようにして様々な形の勝利点を得たり失ったりするかを考えることだ。
累積型勝利ポイント Accumulating Victory Points
出典 Gamemastery Guide 148ページ
最も一般的な構成は、勝利ポイントを累計していき、成功の閾値に達したら止めるか、一定時間内にできるだけ多くの勝利ポイントを集め、その結果を様々な閾値に照らして測定するものだ。187ページの感化サブシステムは、この仕組みの好例である。各PCは様々なNPCに影響を与える機会を一定数持っており、あるNPCとの勝利ポイントが特定の閾値に達すると、PCはそのNPCを説得したことになる。
最も一般的な構成は、勝利ポイントを累計していき、成功の閾値に達したら止めるか、一定時間内にできるだけ多くの勝利ポイントを集め、その結果を様々な閾値に照らして測定するものだ。187ページの感化サブシステムは、この仕組みの好例である。各PCは様々なNPCに影響を与える機会を一定数持っており、あるNPCとの勝利ポイントが特定の閾値に達すると、PCはそのNPCを説得したことになる。
この構造の類型として、PCの敵対者も勝利ポイントを蓄積でき、PCは敵対者よりも先に目的に到達するか、あるいは与えられた時間枠の終了時に敵対者よりも多くの勝利ポイントを獲得するかという移動目標を得られる。これはPCが敵対勢力と対峙する状況において、PCが勝利ポイントを貯めつつ敵対勢力が勝利ポイントを減らしていくよりも、劇的で膠着状態に陥る危険性が低いため、非常に有効な構成となる。
困難な目標を達成したり特定の決断を下したりした場合にPCに勝利ポイントを与えることで、君はサブシステムの追跡を冒険やキャンペーンのように、より大きな規模で行える。このようなサブシステムは通常、PCに蓄積された勝利ポイントをいくつかのランクと比較させる。通常、これらの結果は勝利ポイントを多く獲得するほどPCにとってプラスになるが、時には完全に成功しすぎると、労働者を説得して暴徒を激怒させるほど徹底的に反乱を支持させるなど、意図しない結果を招くこともある。もし君が独自のサブシステムを作成するのであれば、これらのランクを完全に定義するのではなく、最後に君の最善の推測を用いるだけでよいだろう。
累積型のロール Accumulating Rolls
出典 Gamemastery Guide 148ページ
勝利ポイントを得るためにPCが判定する必要がある場合、成功の度合いに応じて得られるポイントは君に委ねられている。ほとんどの場合、以下に詳述する標準となる規模が有効である。
大成功 PCは2勝利ポイントを得る。
成功 PCは1勝利ポイントを得る。
大失敗 PCは1勝利ポイントを失う。
勝利ポイントを得るためにPCが判定する必要がある場合、成功の度合いに応じて得られるポイントは君に委ねられている。ほとんどの場合、以下に詳述する標準となる規模が有効である。
大成功 PCは2勝利ポイントを得る。
成功 PCは1勝利ポイントを得る。
大失敗 PCは1勝利ポイントを失う。
つまり、PCの判定の結果、パーティが得られる勝利ポイントは通常1か0のいずれかだ。しかし、特化したPCはパーティに2勝利ポイントを与える可能性が高く、無謀な計画は1勝利ポイントを失う可能性が高い。
減少型勝利ポイント Diminishing Victory Points
出典 Gamemastery Guide 149ページ
この方法を用いると、PCは一定数の勝利ポイントを持って開始し、それを貯めるのではなく、失わないようにしようとする。おそらくPCは竜の卵が割れないようにしたり、ダメージや損失、危険を最小限に抑えようとしているのだろう。この類型はあまり一般的ではないが、PCがポイントを失っていく状況の緊急性を伝えるには最適である。時にはこのサブシステムで緊張感を加える必要がある! 通常、PCが勝利ポイントを全て失うと、不利益を与えるイベントが発生する。時間制限がある場合、最終的な結果は、時間切れになる前により多くのポイントを保持するほど良くなるかもしれない。
この方法を用いると、PCは一定数の勝利ポイントを持って開始し、それを貯めるのではなく、失わないようにしようとする。おそらくPCは竜の卵が割れないようにしたり、ダメージや損失、危険を最小限に抑えようとしているのだろう。この類型はあまり一般的ではないが、PCがポイントを失っていく状況の緊急性を伝えるには最適である。時にはこのサブシステムで緊張感を加える必要がある! 通常、PCが勝利ポイントを全て失うと、不利益を与えるイベントが発生する。時間制限がある場合、最終的な結果は、時間切れになる前により多くのポイントを保持するほど良くなるかもしれない。
減少型のロール Diminishing Rolls
出典 Gamemastery Guide 149ページ
この構成を用いると、PCは通常判定に失敗した結果として勝利ポイントを失うが、特に間違った判断をしたり無謀な行動をとったりした場合にも失うことがある。ここでもまた、理にかなった規模の結果を使用できるが、標準的な成功段階は以下の通りだ。
大成功 回復可能なら、PCは1勝利ポイントを得る。そうでない場合は、成功と同様。
成功 PCは勝利ポイントの喪失を免れる。
失敗 PCは1勝利ポイントを失う。
大失敗 PCは2勝利ポイントを失う。
この構成を用いると、PCは通常判定に失敗した結果として勝利ポイントを失うが、特に間違った判断をしたり無謀な行動をとったりした場合にも失うことがある。ここでもまた、理にかなった規模の結果を使用できるが、標準的な成功段階は以下の通りだ。
大成功 回復可能なら、PCは1勝利ポイントを得る。そうでない場合は、成功と同様。
成功 PCは勝利ポイントの喪失を免れる。
失敗 PCは1勝利ポイントを失う。
大失敗 PCは2勝利ポイントを失う。
複数ポイント型サブシステム Multiple Point Subsystems
出典 Gamemastery Guide 149ページ
複数ポイント型サブシステムでは、複数のポイントの体系があり、それぞれが異なる何かを測定する。例えば、長距離レースでは、PCと対戦相手の双方が自分のマラソン・ポイントを獲得しようとし、先に10ポイントを獲得した方が勝利する!
複数ポイント型サブシステムでは、複数のポイントの体系があり、それぞれが異なる何かを測定する。例えば、長距離レースでは、PCと対戦相手の双方が自分のマラソン・ポイントを獲得しようとし、先に10ポイントを獲得した方が勝利する!
196ページの潜入では、複数種別のポイントを持つ勝利ポイントサブシステムの異なる例を示している。PCはある場所への潜入を成功させるために、一定の潜入ポイントを獲得し、失敗によって敵に警戒ポイントを与えないようにする。
潜入のように、複数のポイントを時間的な要素と組み合わせて、時間経過とともに、PCが自動的にゆっくりと警戒ポイントを獲得することを検討する。
障害物とDC Obstacles and DCs
出典 Gamemastery Guide 149ページ
サブシステムを準備する際には、PCが直面する可能性のある障害や、サブシステムに関与する際に利用できる手段を考えること。事前にDCを設定し、DCを設定するための通常のシステムを使用する。それ以外のことは、その場で即興で行える。全体的にDCが高くなると思われる場合、必要なポイントを設定する際に、低い値を選択するように(下記の「規模の設定」を参照)。
サブシステムを準備する際には、PCが直面する可能性のある障害や、サブシステムに関与する際に利用できる手段を考えること。事前にDCを設定し、DCを設定するための通常のシステムを使用する。それ以外のことは、その場で即興で行える。全体的にDCが高くなると思われる場合、必要なポイントを設定する際に、低い値を選択するように(下記の「規模の設定」を参照)。
極めて容易な場合と、極めて困難の場合を考えてみよう。PCが対抗している相手は誰で、その対抗者にはPCが利用できる弱点がどのようにあるだろうか? それらのDCを低く設定するか、克服することでより多くのVPを得られるようにする。リサーチを行ったり、巧妙な戦略を考え出したPCは、挑戦を克服するのが容易になるはずだ。
規模の設定 Setting Your Scale
出典 Gamemastery Guide 149ページ
目標に到達するために必要なポイントの数は、プレイ中にサブシステムがどのように感じるかに大きく影響する。サブシステムを強力なNPCとの交渉のような単一のシーンで使用する場合は、ゲーム・セッションのほとんどまたはすべてを占めることを意図している場合よりも、数を低く設定しよう。表3-1(150ページ)は、勝利ポイントの規模の可能な値を示している。「冒険全体」の規模は、遭遇単体で用いるものではなく、PCが全体の遭遇やダンジョンを克服したときに勝利ポイントを付与する、より大きな物語の一部であるサブシステムのためのものだ。
目標に到達するために必要なポイントの数は、プレイ中にサブシステムがどのように感じるかに大きく影響する。サブシステムを強力なNPCとの交渉のような単一のシーンで使用する場合は、ゲーム・セッションのほとんどまたはすべてを占めることを意図している場合よりも、数を低く設定しよう。表3-1(150ページ)は、勝利ポイントの規模の可能な値を示している。「冒険全体」の規模は、遭遇単体で用いるものではなく、PCが全体の遭遇やダンジョンを克服したときに勝利ポイントを付与する、より大きな物語の一部であるサブシステムのためのものだ。
この大きな規模は、パーティの焦点を多く占めるサブシステムを対象としている。冒険中に背景で動作するサブシステムは、より小さな規模を使用する必要がある。これは通常、「冒険全体、副次」の値である。さらに低くなる可能性がある。例えばダンジョンを基準とした冒険があり、コボルドの部族とやり取りして小さな利益を得る機会がいくつかある場合などだ。冒険全体に登場するにもかかわらず、VPを獲得することは物語の小さな部分であるため、より低い値を使用する。実際、VPサブシステムをまったく使用しないことを選択するかもしれない。
表には、1つ以上の閾値の数値も掲載されている。これらは、PCが部分的な利益を得る(または、減少型サブシステムの場合は、不利益を受ける)ポイントである。PCが特定の閾値に達したときに部分的な利益を与えるか、サブシステムにひねりを加えて、時間が経つにつれて引き続き関与し、報われていると感じられるようにするべきである。
表3-1:勝利ポイントの規模 Victory Point Scales
試練の期間 | 終了時のVP | VP閾値 |
---|---|---|
すぐに終わる遭遇 | 3~5 | ― |
長時間の遭遇 | 7~10 | 4 |
セッション1つのほとんど | 15~25 | 5、10、15 |
冒険規模、副次 | 15~20 | 5、10、15 |
冒険規模、中核 | 25~50 | 10、20、30、40 |
値はさまざまな要因にも依存する。これには、DC、PCが勝利ポイントを獲得するための機会の数、PCが自分自身を展開する方法の柔軟性(たとえば、PCが未修得で試みることを強制されると、大失敗を引き起こす可能性がある)などが含まれる場合がある。また、勝利ポイントを直接獲得しない作業にPCが費やす必要がある努力の程度(たとえば、感化サブシステムを使用してNPCに関する情報を発見するための判定など)も含まれるかもしれない。使用したい最終ポイントを決定する際には、これらすべてを考慮すること。
独自のサブシステムの運用 Running your Subsystem
出典 Gamemastery Guide 150ページ
新しいサブシステムを実行する際は、さまざまな異なる技能や選択しを使用して創造性と協力を促すことで、課題を新鮮に保つことを忘れないようにしよう。同じ判定を何度も繰り返すのではなく、PCが期待する見返りが減少することを避けるためだ。また、時間制限を使用して各PCが参加するよう促したり、同じPCが繰り返し判定を試みることにペナルティを設定するなど、各PCが参加することを直接促すルールも作成できる。
新しいサブシステムを実行する際は、さまざまな異なる技能や選択しを使用して創造性と協力を促すことで、課題を新鮮に保つことを忘れないようにしよう。同じ判定を何度も繰り返すのではなく、PCが期待する見返りが減少することを避けるためだ。また、時間制限を使用して各PCが参加するよう促したり、同じPCが繰り返し判定を試みることにペナルティを設定するなど、各PCが参加することを直接促すルールも作成できる。
すべてのPCが参加する必要がある課題を設定することもできる。たとえば、パーティの主催者が各来賓を個別に歓迎している場合、各PCは自分の方法で印象を与える必要があるかもしれない。また、潜入中には、各PCが“なりすます”や“忍び足”の能力を試す必要があるかもしれない。課題に適している場合は自動成功と見なされる対処がある一方で、実現不可能なアイデアには自動失敗が適用されることもあるだろう。
報酬 Rewards
出典 Gamemastery Guide 150ページ
サブシステムの報酬の構造は、その範囲によって大きく異なる。単一のセッションで解決されるサブシステムは、特に要求が厳しくない限り、通常は達成経験値(XP)を与える。その場合、遭遇丸々1つと見なされる場合もある。一方、複数のセッションやキャンペーン全体にわたるサブシステムは、途中の重要な節目で意味のある達成XPを与えることがある。比較的目立ちにくく裏方にあたる、または成功を必須としないサブシステム(例えば、PCの決定に基づいてPCの出資者がどのような支配者になるかを追跡するサブシステム)を持っている場合、サブシステムから直接XPを与えないこともある。その場合、「成功」は定義されていないからだ。
サブシステムの報酬の構造は、その範囲によって大きく異なる。単一のセッションで解決されるサブシステムは、特に要求が厳しくない限り、通常は達成経験値(XP)を与える。その場合、遭遇丸々1つと見なされる場合もある。一方、複数のセッションやキャンペーン全体にわたるサブシステムは、途中の重要な節目で意味のある達成XPを与えることがある。比較的目立ちにくく裏方にあたる、または成功を必須としないサブシステム(例えば、PCの決定に基づいてPCの出資者がどのような支配者になるかを追跡するサブシステム)を持っている場合、サブシステムから直接XPを与えないこともある。その場合、「成功」は定義されていないからだ。