Abomination Vaults Player’s Guide - p2rdj @ ウィキ

アボミネーション・ヴォルト・プレイヤーズ・ガイド Abomination Vault Player’s Guide

　ガントライト／Gauntlightと呼ばれる謎の灯台が禍々しい光で輝くとき、オタリ／Otariの人々は不吉な出来事への前奏曲であると疑っている。ヒーローは灯台周辺の遺跡を探索し、下のダンジョンへと潜っていくこととなる。。 恐ろしいモンスター、危険な罠、そして復讐に燃える幽霊などが、Abomination Vaultsと呼ばれる広大なメガダンジョンに足を踏み入れようとする英雄たちを待ち構えている！

集結　Coming Together

　Abomination Vaults Adventure Pathは、コルトス島の南岸にある小さな町オタリ／Otariの近くから始まる。このプレイヤーズ・ガイドには町に関する荒っぽいネタバレのない説明を記載している。この地名集には、礼儀正しい場所についてはあまり語られていない事も書かれているが（クルークの隠れ家／Crook’s Nookにたむろしている荒くれ者など）、この地名集の内容はオタリの市民の間では常識的なものである。英雄たちの一部（あるいは全員）がオタリ出身である可能性はあるが、必ずしもそうである必要はない。キャンペーンの大半は、北へ30分ほど行った湿地帯フォグフェン／Fogfenのダンジョンで行われるが、英雄たちは何度もオタリに戻り、オタリの人々に頼るようになるだろう。
　英雄たちはお互いを知っているかもしれないし、知らないかもしれないが、全員に共通の友達がいるはずである：町の風変わりな奇妙な商人、リン＝シヴィンシ／Wrin Sivinxiを。リンのティーフリングとエルフの種族の混血は見逃せないものである。彼女の眼には瞳孔がなく、小さな羊のような角がエルフの耳に巻き付いており、指先にはキラキラとした光の粒が輝いている。リンは珍しいアイテムや伝承の知識のコレクター以上の人材である；彼女は星の研究者で、奇妙な出来事を予知することができる（この予知能力のために、英雄たちと友情を築いたのかもしれない）。なんにせよ、リンが英雄たちを集めて、フォグフェンの奥地にある謎の内陸の灯台、ガントライト／Gauntlightの周りで見た奇妙な光を伝えると、キャンペーンが始まるのだ！

属性

　Abomination Vaults Adventure Pathでは、キャラクターの属性に制限はない。英雄たちはオタリとその人々の運命を気にかけているべきであるはずなので、悪である可能性は低いが、どのような属性のキャラクターであっても奇妙な手がかりを調査し、ダンジョンで幸運を求めることができる。

種族

　オタリは小さな町であるにもかかわらず、他国の人々に対して非常に寛容である。これは、町が国際的大都市アブサロムに近く、わずか数日で行けるためと思われる。オタリの住民は他人を奇妙だと考えるかもしれない――確かにリン＝シヴィンシは多くの人からお人好しの変わり者だと思われている――が、それは個人の行動によるもので種族によるものではない。キャラクターは暗いダンジョンを探索するのに多くの時間を過ごすため、暗視を持つ種族には利点があるが、必須ではない。要するに、どのような種族であってもAbomination Vaults Adventure Pathには適している。

クラス

　どのクラスのメンバーでもAbomination Vaults Adventure Pathでは活躍の場があるが、キャンペーンの大部分を占めるのはダンジョン探索であることを覚えておくこと。交渉やペテンが得意なキャラクターは確かに危険な状況を切り抜けたり、敵を味方にしたりする機会があるだろうが、Vaultsには、このようなことが得意なキャラクターをサポートするような陰謀や影響力の網はない。奇怪な敵や怪物との戦いに強いキャラクターはもちろん、バードやウィザードのようにダンジョンの謎を解き明かす知識豊富なキャラクターも活躍するだろう。ダンジョンには罠や隠し扉がたくさんあるため、ローグはAbomination Vaultsのパーティに最適な存在である。さらに、Abomination Vaults Adventure Pathの各巻には、英雄たちが役に立つと思われる新しいアーキタイプが収録されているが、これらのアーキタイプを発見したり、それらへの使用権をアンロックしたりすることは、冒険の一部である！

言語

　ほとんどの英雄たちには共通語で十分であるが、他の特定の言語を習得しておくと便利な場合がある。アクロ語、エルフ語、地下共通語はすべてこのAdventure Pathで使用される。

技能と特技

　英雄たちは、パーティーが様々な技能と特技を持っている場合に最高のパフォーマンスを発揮する。 〈軽業〉と〈運動〉はダンジョン内での移動に重要であり、〈伝承学〉は特に奇妙なクリーチャーを識別し、この特定の妖力的な廃墟で待つ手がかりを解読するのに役立つ。最良の〈知識〉技能は、〈知識：洞窟〉、〈知識：オタリ〉、〈知識：霊〉であるが、他にも多くの〈知識〉技能が関係するだろう。また最良の特技に関しては、《用心深き眼識》は危険を発見（または回避）するのに役立ち、《脅威のイニシアチブ》、《追加HP》は戦いに勝つ可能性をはるかに高める。

この話の終わりには PLANNING FOR THE END

　Abomination Vaults Adventure Pathは、キャラクターを1レベルから10レベルまでレベル・アップし、11レベル程度で終了する。このキャンペーンを継続する機会は確かにある（例えば、Fists of the Ruby Phoenix Adventure Pathは11レベルから開始し、Abomination Vaultsが完結した次の巻から始まる）。このように、12レベルの特技や15レベルのクラス特徴に注目している場合、Abomination Vaults Adventure Pathの中でそれを選択する機会が得られる可能性が高いものではないことに注意せよ。

来歴

　次の来歴は、Abomination Vaults Adventure Pathのキャラクターに特に適しているが、英雄たちはどのような来歴を選択してもよく、以下に示すものに限定する必要はない。結局のところ、人々は自分の運命を求めるためにあらゆるところらやって来る。Core Rulebookに示されている背景の中での最良の選択は、侍祭、賞金稼ぎ、農夫、野戦医師、護衛、狩人、戦士見習い、鉱夫、放浪の民、野伏である。

愛書家／BIBLIOPHILE　来歴

　本を読むのが大好きな君にとって、奇書書房はオタリのお気に入りのお見せである。書店員のモリビント／Morlibintは、小説やアンソロジーなどの楽しい読み物を提供してくれ、常に最新の発見について君と話し合うことを熱望している。想像力が最大の魔法であることは知っていますが、実際の魔法の知識も必要なのである。
　2つの能力を上昇させる。1つは【知力】あるいは【魅力】で、もう片方は自由に能力値を上昇できる。〈秘術〉技能と〈知識：図書館〉技能を習得済みにする。《秘術の感覚》の技能特技を得る。

妖術的解剖学者／ELDRITCH ANATOMIST　来歴

　君は、様々な種類の傷を上手に処置できるように訓練された医師である。しかし、君は医者というよりも学者である。一部の文化では、肉体を極端に変形させ、人型から逸脱した形態を作り出している。遠く離れたネックスのフレッシュフォージではこのフレッシュウォープ化が行われており、君がいつしか研究したいと思っているある地下社会でもそうである――できれば安全かつ臨床的な距離を置いて。
　2つの能力を上昇させる。1つは【知力】あるいは【判断力】で、もう片方は自由に能力値を上昇できる。〈医術〉技能と〈知識：フレッシュウォープ〉技能を習得済みにする。《技能の保証：医術》の技能特技を得る。

フォグフェンの物語り／FOGFEN TALE-TELLER　来歴

　君はフォグフェンと呼ばれる沼地に怪物がいることを知っている。君は霧の中で、濁った水の中を滑るように進み、湿った土地の上に身を乗り出す怪物を見たことがある。牙や翼や触手をつけた沼の化け物の話をしても、オタリでは誰も信じない。本当にモンスターがいること、そして君を疑っていたことが間違っていたことを証明しなければならない。
　2つの能力を上昇させる。1つは【筋力】あるいは【魅力】で、もう片方は自由に能力値を上昇できる。〈運動〉技能と〈知識：沼地〉技能を習得済みにする。《ティタンのレスラー》の技能特技を得る。

マーケットの使いっぱしり／MARKET RUNNER　来歴

　オタリ・マーケットの経営者であるキーレノ・ラテナー／Keeleno Lathenarは、不機嫌で厳しい男である。30年前、ジャウル・メスミン／Jaul Mezminというワーウルフが妻のアイラ／Aylaを殴り殺した。キーレノはこの事件を忘れたことも許したこともなく、ジャウルが裁きを逃れて元気に生きていると信じてやまない。キーレノの使い走りをしているうちに、オタリと同じように彼のことを知るようになった。キーレノの疑いの目が自分にも向けられているため、君は他人に用心深くなっている――特に満月の近辺では。
　2つの能力を上昇させる。1つは【耐久力】あるいは【魅力】で、もう片方は自由に能力値を上昇できる。〈交渉〉技能と〈知識：オタリ〉技能を習得済みにする。《社交的》の技能特技を得る。

廃墟探索／RUIN DELVER　来歴

　オタリの後背地にある小さな遺跡はいくつか見て回ったが、ガントライトと呼ばれる不気味な灯台を見る勇気を持ったことはなかった。この遺跡はかなり荒らされていて、ほとんど崩壊していると聞いていたが、いつか探検して、何世紀も前にローズガード／Roseguardが悪のソーサラーを倒した戦いで残された宝物を見つけることを常に計画していた。古い遺跡の石は崩れやすいので、ガントライトを探索する機会があれば、足元には十分注意する方が良いだろう。
　2つの能力を上昇させる。1つは【敏捷力】あるいは【知力】で、もう片方は自由に能力値を上昇できる。〈軽業〉技能と〈知識：ローズガード〉技能を習得済みにする。《猫の如き着地》の技能特技を得る。

天体観察／STARWATCHER　来歴

　君はあなたはリン＝シヴィンシの最も親しい親友の1人である。君は星空の下で彼女と長い夜を過ごし、コズミック・キャラバンに関連する物語と、天が未来を予測する方法を学んだ。君はリンが閉所恐怖症を患っていることを知っている。彼女は、狭い場所と危険を感じ、角度に脅威を感じている。そのため、彼女の店は空に向かって開いているドーム型の帆布である。リンが問題があると思った場合は、君が最初に支援を申し出るだろう。
　2つの能力を上昇させる。1つは【耐久力】あるいは【知力】で、もう片方は自由に能力値を上昇できる。〈伝承学〉技能と〈知識：占星術〉技能を習得済みにする。《あやふやな知識》の技能特技を得る。

魔女の光の追跡／WITCHLIGHT FOLLOWER　来歴

　陰鬱な森や人里離れた沼地で、木々の間を揺れ動く光の列を見つけた。君が詳細を確認するために前に進み、光は数歩後退した。その後、君はあなたは噂を思い出した。ウィル・オ・ウィスプ、ラッシュライト、コープス・ランタン――どのような呼び方であっても――このような邪悪なクリーチャーは人々を破滅へと導く。あなたは、その魅惑的な魅力から逃れるために、究極の努力をした、そしてそして、人里離れた荒野の奇妙な光に二度と引き寄せられないようにしようと決意した。
　2つの能力を上昇させる。1つは【敏捷力】あるいは【判断力】で、もう片方は自由に能力値を上昇できる。〈生存〉技能と〈知識：ウィスプ〉技能を習得済みにする。沼地の地形と水域の副地形の両方への《地形の専門家》技能特技を得る。

コズミック・キャラバンのパンテオン Cosmic Caravan Pantheon

　リン＝シヴィンシの友人である英雄たちは、彼女がコズミック・キャラバンと総称される神格のパンテオンを信仰していることを知っている。希望する英雄はこのパンテオンに従うこともできる。パンテオンに従うためのルールはPathfinder Lost Omens Gods and Magicの92ページに記載されており、コズミック・キャラバンの詳細は以下の通りである。

コズミック・キャラバンのパンテオン COSMIC CARAVAN

関心のある範囲／Areas of Concern 星座、占い、夜、より良い明日への希望
属性 混沌して善（混沌にして善、混沌にして中立、中立にして善）
神泉 治癒または危害
信仰能力値 【敏捷力】または【魅力】
信仰技能 〈伝承学〉
領域 闇、運命、自由、月
代替領域 star、void
クレリック呪文 1レベル―object reading^APG、2レベル―グリッターダスト、6レベル―blanket of stars^APG
勅令／Edicts 地域に住む人々を助けたり、自暴自棄になった人や孤独な人に将来のより良い生活の可能性を見出させたり、特定の目的地を決めずに旅行したりする。
不義／Anathema 夜を悪の時間として描写し、天文学または占星術の機器を破壊し、同じ場所で2回続けて夜を過ごす。
好む武器 スターナイフ

　コズミック・キャラバンは、天文学者や占星術師の間では、天空の星座の集まりとして知られており、星の中心に円を描いて永遠に旅を続けると言われている。星とその間の宇宙をテーマにした多様な神々や半神を関連付けるのは、比較的新しい信仰で、アヴィスタン西部、特にヴァリシア、ニダル、ラヴォーネルで最初に目立つようになった。コズミック・キャラバンの信者によって崇拝されている神格は次のようなものがある：デスナ、グロトゥス、サーレンレイ；至高天の王、アシャヴァ、ブラック・バタフライ、プルーラ；エルフの神、ケテフィス；そして外なる神ヨグ＝ソトース。この信仰は特にニダルで広まっており、夜の崇拝は圧倒的にゾン＝クーソンと結びついている。コズミック・キャラバンの崇拝者の中には、闇に住む者はすべて悪であるという意味合いから夜を取り戻すために、Midnight Lordの神権政治に反対し、いつの日か転覆させようとする者も増えてきている。

オタリの地名辞典 Otari Gazetteer

　オタリは、歴史があり、不吉な秘密がかなりの割合を占める、繁栄している多様な材木と貿易の港町である。400年以上前に冒険者たちによって設立されたこの町は、コボルドや奇妙なモンスターからの攻撃、経済的な苦境や豊作、そして繁栄と争いのサイクルを乗り越えてきた。現在では、島の南岸で最も大きな集落の1つとして繁栄している。
　オタリは、迫り来る2つの断崖の間にある海岸沿いの谷間に位置している。オスプレイ川／Osprey Riverはこの谷の真ん中を通って海へと流れ込み、この川の両側にある頑丈な石が何百もの建物と深い港を支えている。オタリはめったに洪水を起こさないが町の下に掘られた多くの洞窟、過密地区、水路は定期的に洪水を起こす。
　オタリの日常生活は小さな町によく似ているが、東の端には巨大な水車、崖の中腹には材木を運ぶための独創的で巨大な樋、そして西にはサーレンレイを祀る見事なドーム型の寺院があり、スカイラインが際立っている。幹線道路の近くにあり、古くから様々な冒険者の拠点となっていたため、多くの観光客が訪れる。活発な貿易が行われているため、珍しい品物（さらには魔法のアイテム）を見つけることもそれほど難しくはない。
　オタリには1200人強が住んでいる。居住者のほとんどは人間ですが、ドワーフ、エルフ、その他の種族もここに住んでいる。その住民の大多数は地元の漁業と製材業で働いています。 大谷の人々は、小さな町の雰囲気を好み、大都市からの訪問者を気楽に楽しんでいますが、ほとんどの場合、フレンドリーで親切です。 コーヒーは主力であり、勤勉で早起きの町民の間で人気のある飲み物である。
　オタリの創始者の子孫であるオセフ・メニマス／Oseph Menhemesは、その気さくな性格と、伝統を重んじる町の人々のおかげで、町長を何期も務めている。彼は町の主要な木材会社を経営しており、裕福で影響力のある人物である。

1. 巨人の車輪／The Giant’s Wheel オタリ製材所／Otari Millの製材機器を動かす巨大な水車
2. フルームの荷揚げ場／Loading Flume この長い木製の傾斜台は、巨人の車輪からの木材を水路で港に運ぶ。
3. 円石池／Stone Ring Pond 古代からある立石に囲まれた不思議なほど澄んだプール。
4. リンの不思議屋／Wrin’s Wonders 噂を集める風変わりな女性が経営する独特の骨董品店。
5. ガランティーヌ・デリバリー／Gallentine Deliveries 常に迅速で信頼できる助けを必要としているデリバリーサービス。
6. グレイドのブレイド／Blades for Glades のこぎりや斧に加えて鎧や武器を販売するオタリの主要な鍛冶屋。
7. 奇書書房／Odd Stories フィクションを愛するウィザードが経営する書店。
8. オタリの守護隊／Otari Garrison オタリの市民警備員を収容する、バンカーのような石造りのこじんまりとした建物。
9. クロウの樽／Crow’s Casks 地元の農家や商人に人気の醸造所と居酒屋。
10. クルークの隠れ家／Crook’s Nook オスプレイ川を渡る橋として建てられた船乗りの居酒屋。
11. オタリ市場／Otari Market 食料品、工具、その他の日用品のワンストップ・ショップ。
12. オタリ水産／Otari Fishery 日中は漁業と造船所、夜はゲームや娯楽のための集いの場。
13. 干上がった廃墟／Ruins of the Thirsty アルパカは町で最大の居酒屋で、最近の災害で突然倒壊するまで続いた。
14. 乱暴な目張亭／The Rowdy Rockfish 驚くほど静かで静かな居酒屋。
15. 暁の華図書館／Dawnflower Library 大きな図書館とサーレンレイの寺院、他の多くの神格の社。
16. オタリ墓地／Otari Graveyard ほぼ静かではあるが、不吉な雰囲気のある崖の上の墓地。

オタリの名士録 WHO’S WHO IN OTARI

　ティーフリングの骨董品屋でスターゲイザーのリン＝シヴィンシ／Wrin Sivinxiに加えて、英雄たちはオタリとその周辺での冒険中に以下のような人物に出会うだろう。

ラルダス・ロングサドル Lardus Longsaddle

　オタリの衛兵は町の平和を維持している。彼らのリーダーは不機嫌で頑丈なラルダス・ロングサドル隊長である。オタリの衛兵とトラブルを起こした英雄は、隊長以外の誰かに対処することを望んでいるはずである――彼の呪いのような暴言は伝説的であり、彼は軽微な違反に対して短い懲役刑を科す傾向がある。逆に、犯罪者を捕まえた英雄は、ロングサドル隊長の珍しい良い面での地位を得る（大体は短い運命であるが）。

オセフ・メニマス Oseph Menhemes

　オタリの現在の市長は、オタリにある3つの製材会社の1つの家長で、オタリの巨大な巨人の車輪とフルームの荷揚げ場の所有者であるオセフ・メニマスである。オセフは公僕として、また子煩悩な家庭人としての役割に専念しているが、オタリの木材加工業を拡大させていきたいという野望を持っている。

ヴァンディ・バンダーデッシュ Vandy Banderdash

　オタリ最大の寺院である暁の華図書館の神官長は、ヴァンディ・バンダーデッシュというおしゃべりな女性である。信仰や職業に関係なく、初対面の人にいつも熱心に挨拶する。ヴァンディは、初対面の人に最適な読書を勧めるという驚くべきコツをもっている。しかし、少し前に妹が寺から貴重な書物を盗んで逃亡したため、盗みに対しては我慢できない。

イニャスメラ Yinyasmera

　賢いイニャスメラはクルークの隠れ家のオーナーで、この町でも指折りの経営者である。オタリの盗賊ギルドオスプレイ・クラブ／Osprey Clubの会長という事実は、その影響力が絶大であることを示している。彼女はオタリの町に忠誠を誓っており、地元の人間を標的にすることはめったに許可しないが、外部の人間は詐欺や強盗の公的な標的である。臆することなく法律を破る英雄たちは、やがてイニャスメラの目に留まることになる。

オタリ OTARI　　居住地 4

N 街

木材の町であり、貿易港でもあるこの町には、不吉な秘密が隠されている。
政府の長（選挙で選出）
人口 1,240 （人間60%、ハーフリング8%、ハーフエルフ7%、エルフ6%、ドワーフ5%、ノーム5%、ハーフオーク3%、ゴブリン2%、その他4%）
言語 共通語、ドワーフ語、エルフ語、ハーフリング語
宗教 カイデン・カイリーエン、エラスティル、ゴズレー、サーレンレイ
脅威 異形の恐怖、不気味な幽霊、コボルド、密輸業者
一般物の売買／Trinket Trade オタリでは古くから冒険者向けの商売が盛んで、レベル10までの消耗品が販売されている。
ラルダス・ロングサドル（混沌にして中立・男性・人間のソルジャー4） 口汚くて短気な街の衛兵の隊長
オセフ・メニマス（中立・男性・人間の市長4） 3つの製材会社のうちの1つの社長で、現在の市長
ヴァンディ・バンダーデッシュ（中立にして善・女性・ハーフリング・サーレンレイのクレリック5） サーレンレイの女神官で非常に知識豊富な町の歴史家
リン＝シヴィンシ（混沌にして善・女性・ティーフリングとエルフの混血・商人5） 風変わりな伝承のアイテムの商人、職人そして、物語や噂の収集家

地名録 GATHERING PLACES

　集まる場所はすべての居住地の中心であり、オタリも例外ではない。

クロウの樽 Crow’s Casks

　2階建ての石造りの建物のドアには、水漏れのする樽の上に酔っぱらったカラスたちが乗っている絵が描かれている。クロウの樽は単なる居酒屋ではない――醸造所であり、英雄と勇気とエールの神であるカイデン・カイリーエンの寺院でもある。経営者のマジロイ／Magiloyは引退した海賊で、新しい飲み物を試すのが趣味である。彼女は常に新しい調合酒を味わう熱心なお客さんを探している。

クルークの隠れ家 Crook’s Nook

　クルークの隠れ家は街でいくつもの役割を担っている――大きな木造建築は、オスプレイ川にかかる橋として、また一夜の宿として、そして街一番のシーフードで知られる酒場として。酒場の床には、釣りをするために下の川に直接アクセスできるトラップドアがあり、無鉄砲な（あるいは酔った）常連客は、どちらが強く、どちらが濡れるか、このドアをめぐって格闘することもあります。この建物の屋根裏は、オタリの盗賊ギルド、オスプレイ・クラブのギルドホールになっている――建物の名前からも分かる通り、おそらく町で最も秘密にされている特徴である。

オタリ水産 Otari Fishery

　Tamily Tanderveilは、日没の1時間前から真夜中の1時間前まで、毎晩、町の主要な漁場の1階を船員、労働者、旅行者に開放し、ゲームや娯楽のために集まる快適で居心地の良い場所を提供している。ゲーム中に飲み物やスナックを食べたい人のために、小さなメニューが用意されており、その収益は、Tamilyが即席のゲーム大会のコンテストや賞金という形で頻繁に還元している。

オタリの守護隊 Otari Garrison

　オタリ・ガードの本部は頑丈な石造りの建物で、警邏隊のユニフォームと同じ緑と白のバナーが掛けられている。この警邏隊は、町の平和を守り、周辺の道路を巡回して、盗賊やトラブルがないようにする。また、町の消防隊としても活躍している。

乱暴な目張亭 Rowdy Rockfish

　この名前にもかかわらず、乱暴な目張亭は、オタリの居酒屋の中で最も静かで趣のある場所である。外にはヒレを立ててボクシングのポーズをとる目張の看板がかかっているが、店内にいる常連客は穏やかで、内海地方で唯一、酒場で喧嘩をしたことがない酒場ではないかと思うほどである。目張亭の現在の所有者は、威厳のあるドワーフ、ブレルダ・ヴェンカーベール／Brelda Venkervaleで、先代の経営者である息子のラスダ／Lasdaが跡形もなく消えた後に引き継いだ女性である。彼女はまだ行方不明の息子についての情報を探しており、彼はまだ生きていると確信している。

ランドマーク LANDMARKS

　海からでも陸からでも、オタリには町の誰もが知っているいくつかの特徴的なランドマークがある。 町への新参者でさえ、すぐにこの建造物によって方向がわかる。

暁の華図書館 Dawnflower Library

　オタリ最大の神殿は町の最西端に建てられているが、崖下とはいえ高台にある隆起した棚の上に建てられている。この図書館の位置により、昇る太陽光線を捉えることができる。これにより、少なくとも空が晴れているときは、中央のドームが太陽の女神サーレンレイを象徴する輝く姿になる。
　暁の華図書館は、主にサーレンレイに捧げられているが、すべての非悪の信仰を歓迎する。建物の2つの棟にはそれぞれ社があり、中央には歴史、風刺、教科書、無数の刺激的な場所への地図など、さまざまな本が収められている。

巨人の車輪 The Giant’s Wheel

　このそびえ立つ水車の高さは、まさに圧巻である。直径30フィートの巨大な木製の水車は、機械化された製材所や切り出した丸太を運ぶ踏み車を回すのに必要なトルクを発生させる。巨人の車輪は代々メンヘメス家のものだが、オタリ製材所だけが使っているわけではない。他の2つの製材会社が水車を使うことにお金を支払っており、オセフは競争相手を監視することができる。水車を回す音は、鋸の音や荷を積むタラップの音と競うように絶え間なく聞こえる。夜になると、工場の忙しさが下の町にも聞こえてくる。
　巨人の車輪とその工場の日々の運営は、職長であるクロルテ・ヘンガス／Klorte Hengusという名のひどく傷ついた元グラディエーターが担っている。クロルテは若い頃、遠く離れた大都市の剣闘士として、一対の斧で戦う "ランバージャッカー／Lumberjacker"として名を馳せていた。しかし、真面目なクロルテは、その暴力的な過去を過去のものとし、自分が今、本物の木こりの下で働いていることに何の皮肉も感じていない。

材木用水路 Lumber Flume

　この長い水路は、オスプレイ川から分流された水と巨人の車輪からの木材を港まで数百フィート南下させ、船への積み込みを容易にする。この水路は、昔から地元の若者たちが上の崖から下の港に向かって「シュートに乗る」のを楽しむ場所であったが、クロルテ／Klorteはそうした愚かな行為に目を光らせている。

円石池 Stone Ring Pond

　浅い池のほとりに、高さ3mほどの立石が20個、まるで番人のように立っている。この場所は通常、デスナ（旅人の守護神）またはゴズレー（自然の守護神）の礼儀正しいが飄々とした巡礼者たちによって占拠されている。この場所にはWorliwynnという親切な自然の司祭が常駐しており、材木会社が自然と調和して働けるよう手助けをしてくれる。

商品とサービス GOODS AND SERVICES

　英雄たちの冒険には、質の高い装備が必要である。そこで、パーティはオタリに滞在する間に、いくつかの装備を購入することになるだろう。以下の店は、単に英雄たちが苦労して稼いだ富を使うための単なる場所以上のものとして役立つことができる；その所有者たちは、他の方法で英雄たちを助けることができる興味深い人々である。

グレイドのブレイド Blades for Glades

　この町の主な鍛冶場は、のこぎりや斧など木材の取引に使う道具を専門に作っているが、熟練した鍛冶屋は質の高い鎧や盾、武器も作っている。グレイドのブレイドのオーナーはカーマン・ラジャニ／Carman Rajaniという人間嫌いの男で、モンスターを裂くための剣を売るのも、木を切るための斧を売るのも同じように喜んで売っている。彼はオタリの創始者の子孫であり、無愛想な態度以上に町の人々から良い扱いを受ける権利があると信じている。

クロウの樽 Crow’s Casks

　この醸造所の主人であるマジロイは、美味しい（しかし時には怪しげな）飲み物に加えて魔法のポーションを作ってる――一回の訪問でどのような種類のポーションや怪しげな飲み物が売られているかについてはGMが情報を持っている。マジロイは、珍しい材料を取ってきてくれた人や、酒場の喧嘩を仲裁してくれた人に、特別なポーションやお得な飲み物を予約してくれるかもしれない。

暁の華図書館 Dawnflower Library

　オタリ最大の神殿には、通常の本よりも多くのものがある；クレリックは巻物、ワンド、魔法の武器を売っている。大神官ヴァンディ・バンダーデッシュは、非常に博識であるという評判通り、訪れる者に必要な巻物や武器を的確に案内することができる。

ガランティーヌ・デリバリー Gallentine Deliveries

　オロリア・ガランティーヌはオタリの第7世代の市民で、この地域で最も速く、最も信頼できる配達サービスの持ち主である。オロリアは、英雄たちがオタリで見つけることができないもの、必要とするものは何でも手に入れることができるが、そのような注文は、当然高額になるだろう。

奇書書房 Odd Stories

　ウィザードのモリビント／Morlibintは空想的なフィクションを専門にしているが、彼や彼の夫は教科書や教具、巻物なども売っている。モリビントは非常に読書家で、英雄たちが冒険で出会うかもしれない古代語やアンコモンの言語の書物を解読するのを助けてくれる。また、英雄たちが冒険で出会った珍しい本を熱心に購入し、転売して利益を得ようとする（もちろん、読んだ後だが）。
この醸造所の経営者であるマジロイは、おいしい（しかし時々疑わしい）飲み物に加えて魔法のポーションを作成します。GMは、1回の訪問でどのような種類のポーションや怪しげな飲み物が売られるかについての情報を持っています。 マジロイは、彼女のために珍しい食材を手に入れる人や、居酒屋の時折のバーの戦いを解散する人のために、特別なポーションやお得な情報を予約するかもしれません。

オタリ市場 Otari Market

　オタリ市場は、農家の露天市とログハウスの交易所を兼ねており、基本的な品物を一度に購入することができる場所である。冒険用具、軽装鎧、単純武器などを販売している。店主は気難しく、ユーモアのないキーレノ・ラテナー／Keeleno Lathenarである。数年前に狼のような怪物に妻を殺された彼は、いつか妻を殺した犯人の毛皮を手に入れたいと考えている。

リンの不思議屋 Wrin’s Wonders

　このドーム型の奇妙な建物は、いつもオープンしている。店主のリン＝シヴィンシは、冒険のための装備や魔法のアイテムを販売している。リンは少し変わっていて、至る角に脅威を感じ、上空の星座に真実を見出しているが、しかし、冒険者たちとの交流には熱心で、自身のコレクションである魔法の小物を披露してくれる。

危険地域 DANGEROUS LOCALES

　オタリのように小さくて快適な町でさえ、多地元の人々が避けることを知っている危険な場所が近くにある。

ガントライト・キープ Gauntlight Keep

　オタリから北へ30分ほど歩くと、フォグフェンという広大な沼地がある。その中には、苔が生え、害虫が跋扈する廃墟となったガントライト・キープがある。過去数世代に渡って、希望に満ちた探検家たちが遺跡を詮索してきたが、一般的には危険とみなされ、現在では完全に荒らされている。ガントライト・キープで最も謎めいているのは、海岸から遠く離れた遺跡の上にそびえ立つ灯台である。この灯台が光を放ったことは一度もないが、オタリではこの建造物に対して漠然とした不安を抱いている――この不気味な光が光るなら、不吉な事が起こっているに違いない。

オタリ墓地 Otari Graveyard

　暁の華図書館の上の崖の上には、崩れかけた霊廟と葉の落ちた木立があるオタリ墓地がある。この古びた墓地に立ち入る者は、墓地を管理する侍祭以外にはほとんどおらず、町の上にそびえ立っているにもかかわらず、たどり着くことは困難である。オタリの迷信深い人々の間では、夜になるとアンデッドが墓地を歩き回るという噂が絶えない。

オタリ後背地 Otari Hinterlands

　オタリ周辺の古い丘や森には、町が存在するずっと以前から住んでる者がいた。オタリから歩いて数時間の場所には、堕落した武将の要塞、アンデッドの徘徊する暗い洞窟、モンスターと忘れられた財宝に満ちた洞窟などがあると噂されている。

ローズガード THE ROSEGUARD

　アブサロムで名を馳せた冒険隊であるローズガードは、悪党ベルコラ・ハルヴェクス／Belcorra Haruvexを倒し、伐採の町オタリを築いた。現在もオタリの人々は、創立記念日であるデスナ月3日にローズガードを尊重し、敬意を表している。ローズガードは次のような英雄たちによって構成されていた。
　アエセフナ＝メンヘメス／Aesephna Menhemes：アエセフナはパーティのヒーラーであった。彼女はエラスティルのクレリックで、アブサロムのような大都市よりも小さな町の方がいつも居心地がいい。
　オタリ＝イルバシュティ／Otari Ilvashti：グループのローグであるオタリは、魅力的な楽観主義者であり、最も暗い時間帯でも、他の人たちに彼の魅力とユーモアで希望を与え続けた。
　ヴォル＝ラジャニ／Vol Rajani：ヴォルはパーティのファイターであり、ニダルから王族を追放されたと主張していたナンセンスな剣士であった。
　ザルマヴディアン／Zarmavdian：グループのウィザードは、風変わりな陰謀説とオカルトの伝承を追求した、十分な教育を受けた占術師であった。